123:新、魔女っ娘戦士爆誕!
誤字脱字報告ありがとうございます。
自分のオーラとか考えた事も無いのです。その発想は前世では無かったですね。魔力は魔力なので、それに違いを感じるのは濃いか薄いかくらいしかありませんでした。
「実際に変わるのか検証してからが良いと思うのです。魔女っ娘になる為にはそれなりの秘密とか契約があるのですよね?」
この私の一言で、まず佳奈お姉ちゃんを使って検証する事になりました。
「こ、ここで何で私が犠牲にならないとなの!」
「佳奈お姉ちゃん、それはね、佳奈お姉ちゃんは汚れ役だったんだよ?」
「まあお色気担当は無理よね」
「二人とも酷い!」
私達の遣り取りに、周りが苦笑を浮かべているのですが、ともかくまずは変身前と変身後の差を検証するそうなのです。
「近年生まれた魔女っ娘は、変身したら認識阻害が発生するわ。そうでなきゃあれだけバレバレの恰好で本人特定できない訳はないわね」
トパーズさんがお約束的な事を言っていますが、暴言と言えなくも無い様な? ただこれは世界に浸透した新たな法則だそうです。
「魔女っ娘の歴史は新しいけど、不思議なエネルギーであっという間に世界に認められたみたいなのよね。原因は知りたくないから調べて無いけどね」
レッドさんも思いっきりぶっちゃけました。不思議なエネルギーですか・・・・・・結構思い当たるものがありますけど、言わぬが花なのです。
「一応、この式神が佳奈さんを追尾します。その後、一度結界を張り変身後に再度追尾するか試します」
目の前で変身すると、身バレという現象が起きる可能性があるそうです。その為、一度魔法を遮断する結界で隔離してから変身する事になりました。
「榊が変身を見ていると意味が無いさね。佳奈、あっちの部屋へ移動するさね」
お婆ちゃん達にドナドナされて行く佳奈お姉ちゃんに対し、ハンカチをパタパタしてお見送りをします。
なんと佳奈お姉ちゃんの衣装? はグレードアップするそうです。今までの姿はすでに身バレしている為に、新たに衣装のみならず外見も変化させるタイプでお試しするそうなのです。
「ふふふ、期待してていいわよ~、思いっきり趣味に走ったから」
ブルーさんがニマニマしながら私達に微笑みかけますが、うん、若い女性がしちゃ駄目な表情ですね。
もともと過激系レイヤーっぽかったブルーさんなので、期待より不安が大きい気がします。
「もし私達が変身しないといけなくなった時はブルーさんは外して貰おうね」
「そうね。何か失うものが大きすぎる気がするわね」
お婆ちゃんから事前に聞いていた話では、佳奈お姉ちゃんのバージョンアップには微調整も含めそこそこの時間が掛かるそうです。だいたい2時間くらいって言ってたかな?
「まあ無い物を作るんじゃなくて、誰も使わなくなった物の手直しだからこんな短時間で出来るのよ。それに佳奈はまだまだ見習いだから機能を削る方向で大変なのよ」
こちらに残っていた魔女のお姉さんが教えてくれました。
そもそも魔道具なのですよね。だから魔力が無いと使えないけど、性能が良い物は魔力が多く必要なので魔力のまだ少ない佳奈お姉ちゃんでは使用できないのは当たり前でした。
「あの、要らないと言うか、譲って貰える変身用のジュエルとかはありませんか?」
「う~~~ん、どうかな? そもそも門外不出のものだから。それこそ敵に解析されちゃったら変身できなくなるからね」
「やっぱりそうなのですね。術式の隠蔽なんかもされてたもんね」
私の言葉に苦笑を浮かべるのは、いつの間に調べようとしたんだ? という意味なのかな?
ただ、魔道具ですからね、非常に興味があるのです。
そうこうしている内に、どうやら佳奈お姉ちゃんの変身が終わったそうです。勿論佳奈お姉ちゃんの姿は見せない為、グリーンさんが終わった事を此方へと伝えに来たのです。
「まあ簡易的な調整だし、上手く探知出来ない事が判れば次は姿を見せて行っても良いけどね。ただ、本人は人前に出るのは凄く嫌がりそうだけど」
そう言われると見たくなるのが人情なのですが、今はまず神主さんの式が佳奈お姉ちゃんを特定できるかの方が重要です。
「それではいきますか」
そう言って神主さんが式に佳奈お姉ちゃんへの下へと行くように指示を出しますが、一旦は浮かび上がったのですがその場でくるくると回るだけで一向に佳奈お姉ちゃんへと向かう様子がありませんね。
「これは成功なのかしら?」
お姉ちゃんが言う様に、式は結局もとの紙に戻っちゃいました。
「なるほど、これはこれで興味深いですね」
神主さんも少し考え込んでいます。恐らく、何か別の方法が無いか考えているみたいです。
「まずは検証じゃな。どれ、儂も試しにやってみるかの」
そう告げるとお爺ちゃんが何かを始めます。大きなお数珠をじゃらじゃらさせながら真言を唱えていますが、ハッキリ言って何をしているのか判りません。
「・・・・・・喝!」
お爺ちゃんの一際大きな声に思わず体がビクッとなります。ただ、外から見ている分には何をしようとしているのか全然判りません。
「ほう、ほう。手応えが全くないのう」
お爺ちゃんがお数珠をじゃらじゃらさせながら笑っていますが、どうやら何かの術を飛ばそうとしたようですが、結局のところ手応えは無かったみたいです。
その間にも神主さんが式を飛ばしましたが、今度は問題なく飛んでいきますよ?
「あれ? 探知できたのです?」
「いえ、佳奈さん達がいる部屋を探知させたのです。その場合どういった反応が返ってくるのかと思いまして」
「なるほど。ちなみに部屋の中を見る事が出来るのです?」
「やってやれなくは無いですが、今はどういった者が何人いるかを探らせました。変に視覚を付与すると罠に引っかかりそうですから」
そう言って笑う神主さんですが、成程、お婆ちゃん達ならやりそうですね。
「ああ、ちゃんと人数は把握出来ますね。ただ、佳奈さんらしき魔力量が探知できませんね」
「魔力量が誤魔化されているのです?」
「はい、恐らく魔道具に最初から魔力が付与されている為に自身の魔力と混じって大きく感じられるのでしょう。成程、他の魔力と混ぜるとは、魔女の方々も侮れませんね」
うん、良く判らないので首を傾げておきましょう。ただ、魔力って混ざるのですね、初めて知りました。
「混ぜるな危険?」
「ひより、怖い事を言わないで。貴方が言うと何か起きそうな気がするわ」
「・・・・・・お姉ちゃん、それをフラグって言うんだよ」
私よりお姉ちゃんの言葉で何か起きるかもと身構えていたんだけど、不思議と何も起きないですね。おかしいなと首を傾げていると、やっぱりトパーズさんが部屋に駆け込んできました。
「小春ちゃんとひよりちゃん、ごめん、急いできて! 佳奈が大変な事に!」
「あ、わかりました!」
走り出すときにお姉ちゃんと視線が合いましたが、あれは絶対に私のせいだという眼差しです。でも、これは絶対にお姉ちゃんの方のフラグだと私は強く主張しますよ。
そして、隣の部屋へと駆け込んだ私達が見たのは・・・・・・。
「男の人は入らないでください!」
後ろでグリーンさんが私達に付いてやって来た人たちを遮断しています。
うん、ちょっとセンシティブですね。男性には見せられませんね。
「何がどうなっているのこれ?」
「ふぇぇ、小春~~~」
「あらまあ、これってどうなっているの?」
お姉ちゃんも正に目が点になっています。私も、口がポカ~ンと開いちゃったのです。
「佳奈お姉ちゃんが、佳奈妹になっちゃった?」
「ふぇぇぇぇぇ~~~~ん」
まさに魔女っ娘とはかくありけりな、推定年齢が10歳くらいの佳奈お姉ちゃんが目の前で、ぶかぶかのレオタードっぽい布を身に纏って座り込んでいました。
「ごめんね佳奈、ちょっと遊びすぎちゃったわ」
そう言って謝る魔女さん達だけど、どの顔も全然反省している様子が無いのです。
「ちなみに、変身を解除すれば元に戻るの?」
「さて、それが出来んでこまっとるのさね」
お婆ちゃんは溜息を吐きながら私達を見て、次にお弟子さん達を見渡します。
「もともとまだ魔力が安定していない佳奈に、みんなが挙って邪まな魔力を混ぜるもんだから。まあ魔力が抜けて行けば自然と戻るわ。別に魔力が変質した訳ではない・・・・・・はずよ?」
何となく微妙な語尾が気にはなったのですが、そうすると私達が呼ばれた理由は何なのでしょう?
「ごめんね、あれを何とかして貰えるかしら?」
そう言って指示された先には、鼻血を出して池を作っているブルーさんと、姉弟子さん二人の合計3名が倒れていました。
「過剰魔力で姿が変わった際に着ていた衣装がストンと落ちたのよ。それを見てああなったわ。困った者よね」
近くに寄って見下ろすと、どの顔もすっごく満足そうな表情で気絶していますね。
「これ、治さないと駄目なのかしら? というか、治すのは頭ですか?」
うん、お姉ちゃんがすっごく冷めた表情で見下ろしています。
ただ、聞くところによるとこの姉弟子さん二名は、一応この場では筆頭株になるそうです。
「お婆ちゃん、真面目に?」
「非常に不本意さね。現実は厳しいのさね」
うん、目を逸らして言う言葉じゃ無い様な、溜息を吐きたくなるのはこっちなのです。
「ふぇぇ~~~~ん、どうせならボンキュッボンがよかったよ~~~~」
後ろでは、相変わらず佳奈お姉ちゃんの泣き声が聞こえますし、カオスなのです。
ひより:「過剰広告にご注意くださいなのです」
小 春:「ひより、突然何を言い出すの!」
ひより:「サブタイトルで新、魔女っ娘戦士ってあるのです。でも紛い物なのです!」
小 春:「まあ否定はしないわよ? でもね、大きなお友達は気にしないと思うの」
ひより:「中身あれなのですよ?」
小 春:「ひよりに言われると佳奈も堪えると思うわ」
ひより:「お姉ちゃん酷い!」