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12:日常生活を取り戻す冴えた方法・・・・・・のはず?

誤字脱字報告ありがとうございます。

 その夜、お父さんがホテルにやってきました。

 案の定、何か色んな人が付いてきました。ただ、モールから車を持って来てくれたので助かります。


「すまない、マスコミも一緒についてきてしまった」


 部屋に入るや否やお父さんはそう言って謝ってくれます。


 私達がすでにチェックインしているので、お父さんはフロントを通らずに部屋まで来ているから、ホテルの人が言わなければ部屋番号は判らないと思うのですがどうなんでしょう?


「それより、家の方はどうなったの? ガラスとかは直ったのかしら?」


「ああ、ガラスは今日入れて貰えたから大丈夫だ。あと警備会社も呼んで契約をした。ただ工事はこの週末になるそうだ」


「色んな意味でセキュリティーは強化しないとだよね」


 お姉ちゃんが大きく頷いています。しばらくはマスコミの人対策でのセキュリティーも考えないといけないそうで、なんと防犯カメラまで設置するみたいです。


「今が夏休みで助かったわね」


「うん、そうじゃないと学校があるからね。でも、夏期講習が来週から始まるからそれまでには家に戻りたいよ」


「そうねぇ、着替えとかもあるし、警備会社の工事が終わったら戻りましょう」


 色々とあったので、やっぱり自宅の安全を考えて警備会社の工事が済むまではホテルに宿泊する事になりました。でも、ツイン二部屋なので部屋割りがちょっと微妙です。


「子供二人を一緒の部屋っていうのも不安なんだよな」


「え~~~大丈夫だよ、お父さんと一緒っていうのもなんか嫌!」


 お姉ちゃんの発言にお父さんが大ダメージを受けています。うん、まあお姉ちゃんも年頃ですから。


「ひ、ひよりは良いよな? お父さんと一緒の部屋で」


「う~~~ん、お姉ちゃんがいい」


「あぅ・・・・・・」


 お父さんは無情にも床に沈みました。

 前世の記憶があるから、いくら現世のお父さんと言っても二人部屋はちょっとね。うん、実際はそこまで忌避感がある訳では無いんだけど、やっぱりここは年頃の娘あるあるだよね、お約束だよね。


「貴方達はまったく」


 お母さんは苦笑を浮かべて私達を見ます。私とお姉ちゃんはこっそり舌を出しますが、お父さんは乙ってるので気が付きません。


「あなた、それより弁護士さんはどう? 良い方が見つかりそう?」


 お父さんも顔を上げてソファーに座り直します。ただ、その表情はすっごく暗いですけど弁護士さんは見つからなかったのかな?


「色々と尋ねてみたが流石に弁護士と知り合いという人はいなくてな。ただ、どうやら犯罪被害者支援のNPOがあるらしいのでそこを訪ねてみようかと」


「あら、でもそうよね。そういう所が無いと困るものね」


「ああ、市の窓口で紹介してもらえるみたいなんだ。明日にも行ってみる」


「会社は大丈夫なの?」


「ああ、こんな時だからな、今週は休みを貰えることになった。まあ、あれだけテレビで騒がれればな」


 そう言って苦笑するお父さん。会社の人は勿論、お仕事先の人達にも今回の事件は知れ渡っているそうです。そのおかげでお休みが貰えるのは皮肉な物ですね。


「あ、あと今日病院に来た刑事さんの内、県警から来たっていう人達が何か変だったの。やたらとひよりの事を聞いてきて」


 お母さんは今日の様子をお父さんに聞かせる。すると、お父さんも困惑した表情でそれを聞いていた。


「なんだそれは、不味いな、ひよりの力に探りを入れているのか? ただ日本の警察ってそんな事もやってるのか?」


 ある意味私はこの世界ではファンタジーかSFの世界の住人ですよね。


「小説とか映画とかでは超能力者同士の戦いとかあるけど、実際に超能力者とかいるの?」


「私みたいな存在もいるから、いても可笑しくはない気はするよ?」


 それこそ、この世界に転生したのが私一人という事は無い気はする。それに、この世界でこれだけ魔法とか超能力とかのお話があるんだから、実際に居るけど普通の人は知らないって事も有り得るよね。


「う~ん、超能力者かあ、それこそ一昔前は結構騒がれたし、テレビの番組でもやってたよな」


「でも、スプーン曲げとかだよね? 今はマジシャンの方が凄いよ?」


「うん、私あのユダって人好き! 凄いよね、テレビで見ててタネが全然わかんない」


 ここ最近売り出し中のマジシャンの話でお姉ちゃんと盛り上がる。


「そのマジシャンが実は魔法使いだったとしても誰も判らんぞ?」


 なるほど、お父さんの言う事に思わず納得してしまった。


「そっか、マジシャンだったら魔法使っても怪しまれないよね、頭良いね!」


「それなら私もマジシャンって言えばいいの?」


「それは無理だろう」


「無理ねぇ」


 どうやら小学校3年生では無理があるらしい。そもそも、今回の場合ではマジックのタネを公開しないと納得されないだろうって、不条理な!


「また事情聴取とかに来そうだし、警察だったらホテルの人も通しちゃいそうだし、何か考えないとよね」


 お母さんの言う事はもっともです。となるとやっぱり魔法で対処しないとなんだろうけど、どういう魔法が良いかとなると難しいんだよね。


「記憶を無くす魔法は無いの?」


「うん、そんな魔法は無いよ」


「一人二人の記憶を消しても今更だしな、日本中に映像が流れているからな」


 警察も問題だけど、それ以上にテレビも問題な気がする。ただ私達の顔写真は出回っていないそうなので、その点では安心と言えば安心?


「芸能人とかじゃないから肖像権とかは守られるはずよね」


「ただ今はネットがあるからな。ネットで流れるのは時間の問題な気がするな」


 お姉ちゃんの言葉をお父さんが完全否定、でもプライバシーって何なんだろうね。もっとも、前世でもそんな物はなかったけどね、ただあっちは映像や写真なんかなかったけどね!


「その辺も明日相談してこよう。ただ現在問題となるのは夕食だな」


 話の進展が見られなくて、どちらかと言えば問題ばかりが見えてくる中、お父さんが突然夕飯の心配をします。


「そういえばそうね。駅前で食べる? それともこのホテルのレストラン?」


「どちらでも良いと言えば良いが、たぶんだがマスコミが張っている気がするな」


「「あっ」」


 お姉ちゃんと私が揃って声を上げます。


「ホテルのロビーは勿論だが、レストランのある階も見張ってるだろうなあ」


「すっごい迷惑だね、私達何にも悪いことしてないのに」


「ここって出前は出来ないの?」


 家だと時々ピザとかを頼むけど、やっぱりホテルだと難しいのかな?


「いや、出来なくはないと思うが、それで部屋がバレる不安はあるな」


「そうなの?」


 心配しすぎな気はするけど、今は用心するに越したことは無いのかな。


「しょうがないわね、私が何か買ってくるわ」


 お母さんが突然そう言うと、お父さんが持って来てくれた着替えの入ったカバンをゴソゴソしだしました。


「お化粧もちょっと弄ってくるから待っててね」


 私達が見つめる中、お母さんは服とお化粧道具の入ったポーチを持ってバスルームに入って行っちゃいました。


 しばらくした後、バスルームから出てきたお母さんを見て、みんなが思わず思います。


「え? だれ?」


 あ、思うだけじゃなくて声が出ちゃいました。


「おお、小百合、すごいな、綺麗だぞ」


「お母さんすごい!綺麗だよ!」


 私と違い、お父さんとお姉ちゃんは出てきたお母さんを見て褒めまくります。


「え、えっと、お母さんすっごい美人だよ!」


「ふふふ、みんなありがとう。どう?これでマスコミとかの目はごまかせるでしょ?」


 普段無造作に後ろで纏めている髪を綺麗に流し、毛先を内側にカールしてます。そして、何よりも違うのがお化粧です。普段のナチュラルメイクではなく、アイシャドーなどで目元をしっかり強調し目力がすごいです。それに、普段から使っている自家製化粧水でお肌もぴちぴちです。


「うん、どこかの女優さんかと思った」


 化粧は本当にすごいですね。


「ちょっとお弁当買ってくるわ、適当でいいでしょ?」


 そう言ってお母さんは部屋を出て行きました。


「ちょっとテレビつけるね」


 お姉ちゃんはそう言ってテレビを点けると、幸い報道番組などは終わった後のようで私の事を放送しているチャンネルはありません。


「むぅ、テレビはだめだね、スマホで見るしかないかな」


 そう言うとテレビはそのままにスマホを弄り始めました。


「あ、やっぱり、このホテルの前に結構報道陣がいるみたいだね。ネットで騒がれてる」


「何って言われてるの?」


「誰か芸能人がこのホテルに宿泊してるんじゃないかって、情報求むみたいな書き込みがいっぱい」


「むぅ、被害者側なのに何かひどい気がする」


「そうだよなあ、お父さんもどうかと思うのだが、とにかくもう少し我慢してくれ」


 悪くないお父さんが謝ってくれるのですが、私の不注意で要らない注目を浴びてしまった事に申し訳なく思います。


「でも、今回の犯人で思ったけど、もう少し身を守るための何かを考えないと駄目だね。浄化で対応できる範囲を完全に超えてたもん」


「真ん丸ダイヤモンドで何か作るの?」


「たぶん? お姉ちゃん達には渡してたのには物理結界の魔法も入れてたの。でもあれも交通事故とかを想定してて、身の危険を感じた際に篭められた魔法なの。だから1回発動して終わり、今回は役に立たなかったと思う」


「ああ、執拗に攻撃されたら意味がないのか」


 お父さんも私の説明に納得します。


「本人に魔力がないとどうしても効果が限定になっちゃうの」


「そもそも魔法がありえないんだけどね~」


 お姉ちゃんはそう言って笑います。


「お姉ちゃんも魔女っ子の一員なんだよ?」


「あ、そうだった!」


 今更ながらに魔女っ子の自覚が無いみたいです。もっとも、お姉ちゃんが使えるのは浄化と初級の治癒くらいなんで仕方が無いのかもしれません。


 その後、お母さんが無事お弁当を買ってきてくれました。モールの食べ物屋さんのちょっとお高い感じのお弁当で嬉しかったのは内緒です。てっきりコンビニのだと思ってましたからね。


「明日は、ホテルを変えたほうが良いよな?」


「そうね、マスコミの人に大きく顔バレしているのはお父さんくらいだから大丈夫そうだけど、何ともいえないわね。あ、それと明日は絵美が来てくれるって言うからお父さんは車に乗ってって」


「お、そうか。車使えるなら楽だな。ホテルをどうするかは任せる」


「判ったわ、絵美とも相談してみる。あなたには悪いけど、場合によっては二人を連れて絵美の家に避難させて貰うかも」


 絵美さんは、お母さんの学生時代からの友達です。絵美さんが独身だからなのか、ちょくちょく遊びに来てくれます。


「それも仕方が無いな、市役所で話を聞いたらまた連絡する」


 そう言うと、私とお父さんは隣の部屋へと移動しました。

 うん、結局は私とお父さんペア、お姉ちゃんとお母さんペアで部屋を分けることになったのです。仕方が無いのですよね、お姉ちゃんにまさかジャンケンで負けるとは・・・・・・。

ブックマーク、評価ポイントありがとうございます><

じわじわと読んでいただける人が増えて嬉しいです。


誤字報告って、どなたが指摘してくれたのかが判らないんですよね。

改めてわざわざ指摘してくださっている方にお礼申し上げます。m(_ _)m

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― 新着の感想 ―
[一言] じゃんけん・・・ぐふっorz 見えないけど攻撃力ある一撃・・・ある意味で魔法だwww
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