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11:事件の後の方が大変でした

誤字脱字のご連絡ありがとうございます。

 翌日、診断を終えて無事退院の許可はおりたんです。でも、そこには4人の警察の人が待ち構えていました。


「そう、それで怖くなって2階へ行ったのね」


「うん、前にテレビで運動靴を履いたスーツの人は怪しいってやってたからピンときたの」


 小学校3年生の子供っぽく聞かれる事に答えていくのは結構大変ですね。昨日お母さん達と予行演習をしておいて良かったです。


「すぐに110番出来て偉かったね、よく頑張った」


 年配の男性警察官の人が笑顔を浮かべて褒めてくれます。そして、その横では若い人がメモを取っていますけど、その二人とは別にいる男性と女性の私服の警察官はこちらをじっと見るだけで何の発言もしません。それに、今聞き取りをしている二人はまるでこの二人は関係が無いかのように振舞っているのに違和感を感じます。


「ひよりちゃんは霊感とか強い方かな?」


 突然、今まで黙っていた一人が口を開きますが、何でしょう雑談でしょうか?


「金田警部、今は関係ない話はご遠慮願いたいですな」


 今まで温和な表情をして、事件の状況を聞き取りしていた、えっと竹内さんだったかな、が顔を顰めて口を挟みます。


「状況はだいたい解ったでしょう。あと気になるのはあのベランダで何が起きたかでは?」


「それはそうなんですが」


 薄っすらと微笑みを浮かべるこの金田さんっていう人、目が何か嫌なんですよね。


「う~ん、幽霊とか怖いから見たくない」


「そうだね、幽霊怖いもんね。そうだ、今までお部屋の中で置いてあるものが勝手に移動してたりとかした事はないかな?」


「う? お姉ちゃんとお母さんが良くいじるよ?」


「そうじゃなくて、あれ? さっきまでここにあったかな?ってなった事とかない?」


「う~~~ん、無い!」


 私は元気よく返事をする。


 その私の横ではお母さんが訝しそうな表情で、目の前の警察の人達を見ているね。


「あの、失礼ですが警察の方ですよね?」


「ああ、お話を伺っていた竹内警部補と加藤巡査は所轄の担当です。私と佐藤警部補は県警所属になります」


 この金田さんがそう説明をします。でも、お母さんはそういう事ではなくって、何が聞きたいのか説明をしてもらいたいんだと思いますよ?


「伊藤さんのお宅へ盗みに入った件は聞き取りさせていただいた内容と、状況証拠で把握はできているんです。ご自宅への犯人の侵入方法など一般的な物ですから、これから余罪を調べていく事になるくらいで、ここ最近空き巣被害も増えていましたからその何処までが同じ犯人の仕事か、そう言った所は所轄が調べます」


 今度は佐藤さんという人が話し始めました。金田さんと違って状況を説明してくれますけど、何か話の方向性が変じゃないかな?


「今後の裁判等で犯人及びひよりさんが怪我を負った状況、理由などが争点となると思われます。私達はそこの部分を知りたいと思いまして」


 続けて佐藤さんが説明しますが、所轄の人と言う竹内さん達は眉を顰めるだけで口出ししてこないです。


「そうなんですよ、空き巣だけですと量刑も軽くなってしまいますから」


 金田さんが続きを口にしますがすっごい胡散臭いです。だってね、思いっきり悪意が噴き出してるんですよ。でもって、二人の説明で違和感が思いっきりあるんですよね。


「あれは偶々発生した自然現象だってテレビで言ってましたが」


「ああ、私も見ましたよ、あんなに局所的なダウンバーストですか、有り得ないですね。あと竜巻とかもありましたか?」


 反論するお母さんに対してのすっごく人を馬鹿にしたような話し方にイライラが募ります。


「でも、あのおじさん何人も人を殺してるんでしょ? そう言ってたよ?」


「え?」


「なんだって?」


 ここで、竹内さん達が思いっきり反応します。

 真面目そうな竹内さん達を利用するのは申し訳ないですけど、このいけ好かない二人の意識を自分から逸らさないと、という事で多少話を誇張してみたり。


「ひよりが警察に通報したって言って、大きな声で叫んだら顔を真っ赤にして言ったの。お前も前の奴らみたいに苦しめて殺してやるって」


 ここで不安な表情を浮かべる。出来れば涙でも流せばいいのだろうけど、このくらいの子供の泣き方がよく判らないので断念です。


「殺人となると、ちょっと署に連絡してきます」


 竹内さんが慌てて席を外します。ここで電話はしないんですね。


「いやあ、ひよりちゃんは凄いね、しっかり犯人と会話してたんだね」


 うん、この金田って人は犯人に対してまったく関心が無い事が良く判った。

 この人の興味の対象は私だ。


「お母さん、気持ち悪くなってきた」


 これは嘘ではない。この目の前の金田、もう呼び捨てでいいや、が発する悪意が本当に気持ちが悪い。


「この子もまだ回復して間もないので、これで失礼していただきたいのですが」


「う~ん、肝心の事が聞けてないんですがね」


「いえ、これで失礼します。犯人の自宅でも進展があったようなので。お子さんに無理をさせてしまい申し訳ありません」


 更に粘ろうとする金田に、部屋の入口から戻って来た竹内さんが大きな声で金田に話します。


「余罪もあります、また現場は鑑識の意見が重視されますよ。うちで集まった情報を基に方針会議が開かれるみたいですから、戻りましょう」


「鑑識にあの現象が解明できる訳がないと思いますが、まあ良いでしょう。また改めてお伺いさせていただきます」


 嫌な視線を私に向け、金田達は帰っていきました。


 その後、病院の受付で挨拶をしてお母さんの車に乗って移動するんですが、どうも向かうのは家ではなくってホテルみたい。


「家に帰らないの?」


「まだ家の周辺が騒がしいみたいなの。警察の人もまだいるし、テレビ局の人も周りにいっぱいいるみたい。お父さんからまだ家に帰ってこない方が良いって」


「え? テレビが来てるの?」


「うん、だけどね、何か困った感じなんだよ。あのベランダでひよりが吹き飛ばされたのとかスマホで撮られてて、事件じゃなくて変な方向で騒ぎになってるの」


「ん?変な方向?」


「うん、オカルトとか、超能力とか、何かそんな方向」


 お姉ちゃんが説明してくれるには、どうやら私は10メートル以上空に打ち上げられたらしい。ただ幸いなのは地面へ落ちる際の映像は庭を囲む垣根で映っていないので、ふわりと落下する所は見られていないので問題は何で空に飛ばされたかという所みたいです。


「ワイドショーとかでも何度もその映像が放送されているんだよね。犯人逮捕の瞬間まで映ってるから」


「自称科学者も含めてあ~でもない、こ~でもない、と勝手に理由をつけて話してるわね。でも、あれってひよりの魔法よね?」


「うん、ビー玉を使った魔法」


「あ、それで何かを投げつける動作をしてたんだね。映像が小さくてよく見えてなかったんだ」


 お母さんやお姉ちゃんと会話をしながらホテルへと向かっています。ただ、後ろから指向性のある悪意が此方へと向けられているのを感じました。


「う~、病院を離れれば消えるかと思ってたけど、誰かこの車を追いかけて来てる」


 お母さんがバックミラーを、お姉ちゃんが後方を見ます。


「どれか判んない」


「小春、あまり振り返って見ちゃだめよ」


 お母さんがお姉ちゃんに注意しますが、どうやら相手にも気が付かれたみたい。真後ろの車は違うから、その後ろの車かな?


「さすがにお母さんはカーチェイスなんて無理だから、このままホテルに向かうわ。運が良ければ信号なんかで撒けないかしら」


「何かこうなってみると芸能人の人って大変だね」


 お姉ちゃんはそう言って座席にまた座り直した。

 それにしても映像記録かあ、考えた事もなかったから思いっきり油断しちゃったね。そもそも、こっちの世界では魔法なんて無いもんね。前世では当たり前にあったから、今後は気をつけないとだね。


「上手くいくか判んないけど、悪意の遮断してみるね。こっちを意識出来なくなるかも」


「あ、駄目よひより、そんな事したら絶対変に思われるわ」


 私が結界を張ろうとしたらお母さんに止められちゃいました。


「そうだね、どんな風になるのかは判らないけど、車が上手く離れてからでないと不味いかな」


 お姉ちゃんも同じ意見みたいです。


「う~~~、難しいよ、何か考えすぎて何にも出来なくなりそうだよ」


 私の言葉に二人は笑います。


「そうね、お昼も近いからホテルじゃなくってモールへ行きましょうか。あそこなら人混みに紛れれるかもしれないわ」


「でも、逆に周りの人に囲まれたりしないかな?」


「そんな事にはならないわよ、別に我が家は芸能人っていう訳じゃないから」


 という事で駅前の地下駐車場へと車を入れます。ただ、追いかけてきた車もすぐ後をついて駐車場に入って来ました。


「さて、車を停めたら走ってモールへ行きましょうか」


「でも、車で待たれたら意味ないよ?」


「その時は歩いてホテルへ行きましょ、別にここに車を停めておいても良いわ、近くに停める所が空いてない良さそうな駐車場所を探してね」


「あ、あそこは?」


「でも、モールの入口から遠いよ」


「そっか、あ、あそこの車が出る、あそこよくない?」


「そうね、あそこにしましょう」


 割とモールへの入口傍で車が出ようとしている。その車が出るのを少し待って、お母さんは車を駐車した。


「さ、急ぎましょう」


「うん、あの車はあっちに停めようとしてたから」


 私達は車の影に隠れるようにして、駆け足でモールへと駆け込んだ。


 何か呼び止めるような声が聞こえたけど、もちろん止まる事無くモールへと、そこで初めて私は悪意遮断と認識阻害の魔法を使う。認識阻害といっても、別に消える訳でもなく、周囲と何となく同化して感じられるという魔法で、挙動などが周囲と大きく違えば勿論発見されちゃう。あと、カメラとかにはばっちり映るんだよね。


「さて、さっさとお店に入っちゃいましょう。その方が気が付かれ難いでしょ?」


「お昼時間前だし、お店も空いてるよね。う~んと、カレーうどんが食べたい!」


「あら、カレーうどんね、ひよりは?」


「カレーうどんで良いよ。久しぶりだね」


 お姉ちゃんと笑顔で顔を見合わせる。家でカレーは作ってくれるけど、カレーうどんは無いもんね。


「はいはい、お店に向かいましょう」


 三人で無事にモールにあるカレーうどんのお店に向かいました。

 その間にも、ドタバタと男の人が二人後方から走って行きました。たぶんあの二人が追いかけて来た人かな? 悪意遮断してるので、指向性が強いと判断が出来なくなるんですよね。


「お母さん、お店に入ると認識阻害解けちゃうから注意です」


「あら、でもそうね。お店の人に気が付いて貰えないと大変ですものね」


「それだと入り口でずっと待ちぼうけ?」


 笑いながら会話している内にお店に到着、まだお昼前で無事にお店の中へと入れました。


「お母さん、お家に帰れないと学校に行けないよね」


「うん、私も塾に行けないのは困るよ」


 カレーうどんを食べながら、お母さんと今後の事を相談します。それに、何と言ってもお姉ちゃんは受験生なのです。


「お姉ちゃん、迷惑かけてごめんね」


「大丈夫、ひよりのせいじゃないから。悪いのはみ~んな、あの犯人だよ!」


「そうよ、ひよりは気にしなくていいわ。ただ学校は夏休みだからともかく、塾は二日くらいお休みしないと。小春は大丈夫だと思うけど保障は出来ないし、今後の事については弁護士の人に相談する必要があるってお父さんと話してたんだけどね。ただ、そこにマスコミ対策とかも入れないと駄目かしらね」


「弁護士さん? なんで?」


 お母さん曰く、今回の損害とか、慰謝料とか、色々と面倒事があるそうです。ただどうしたら良いかとか相談できる人が全然いないので、そこで止まっちゃっているみたい。


「色んなとこから電話とか来ているみたいで、留守電とかすごい事になっているみたいよ」


 お母さんは笑いながらそう言います。でも、それってぜんぜん笑い事じゃないよね。


「普通は警察の人とかに相談するんでしょうけど、今日の対応を見てるとね」


「そんなに警察の人って良くなかったんだ」


「でも、あの竹内さんとかは普通だったけど・・・・・・」


「そうねえ、お父さんが調べるって言ってたから大丈夫よ、貴方達は心配しないで」


 お母さんはそう言います。でも、今日の騒動も含めて不安はありますよね。

 お姉ちゃんはあの場に居なかったので警察の人の印象は判ってないけど、確かに警察の人に相談するのは不安が出るよね。竹内さんも同じ警察官だしどうなんだろとは思うし。


 そして、ご飯を食べた後は結局歩いてホテルへと向かいました。

 駐車した車の様子を見に行く事自体が今は危険だからね。ただ、お父さんが合流すれば結局のところ所在はバレてしまうんだろうな。

文章の言い回しって難しいですね。方言っぽいのも出ちゃったり、私独特の言い回しとか・・・

昔、友人に言葉が変って言われたのを思い出します。自分では標準語を話しているつもりなのに><


あ、あと宜しければブックマークとか評価ポイント入れていただけると嬉しいです。

やっぱり、ブックマークとか増えていると励みになるのです。

宜しくお願いします。m(_ _)m

あと、感想もぜひ!と言いながら本文に追われて感想のお返事掛けて無いのですけど、ごめんなさい。

ちなみに、ストックはすでに切れていますので、どこまで連日投稿が出来るのか(ぇ


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― 新着の感想 ―
[気になる点] 別段マスコミの好奇心の為に色々証明する必要もないですからねぇ~ 昔の超能力者や霊能者はマスコミに潰されてますし、自分たちの書いたシナリオの為に行動しているマスコミに餌を与える必要もあり…
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