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108/135

108:装甲車の居住環境は良いのでしょうか?

誤字脱字報告ありがとうございます。

「うわぁ、何か思いっきり現実から乖離している気がする」


「そ、そうね。いつから日ノ本は紛争地帯になったのかしら?」


 装甲車をテレビなどでは無く、実際に目にすると思いっきり威圧感がありますよ。

 如何にも常時ではありませんといった雰囲気が漂っていて、パーキングエリアに居る他の人達もザワザワとしています。


「初めて見たわ、流石は装甲車って感じよね」


「あれ、対呪術防御もされてるわね。うわぁ本気だよ、ガチガチだよ」


 何やらレッドさん達が騒いでいますが、私が見た所でも結構な対魔術防御が施されていますね。

 この世界でここまで防御を固めた車両が存在するのは驚きなのです。まあ前世でも龍車と呼ばれる地龍を使用した馬車がありましたが、威圧感は此方の方が思いっきり上です。 


「迫撃砲なんざ出してこられたら、この対応も致し方ないさね」


 もっとも、その相手との戦闘が今も行われているのでしょう。

 まだ遠くでパンパンパパパといった音が聞こえていますが、次第に小さくなっているのは遠ざかっているからでしょうか?


「日常生活から思いっきり遠ざかってるわね」


「そうだなぁ、まさか銃と魔法が飛び交う世界があるとは思いもしなかったよ」


 結構メンタル的にタフなお母さんとお父さんも黄昏ています。目の前に現れた非日常の象徴のような装甲車で、嫌でも現状を認識しちゃったのです。


「これって世間から隠れて大人しく生活する意味ってあるのでしょうか?」


 ここまで物事が大きくなってくると、当初の家族みんなで目立たずのんびり生活が根底から崩れて行ってますね。


 え? とっくに崩れて無いかなんて、そんな事はないですよ?


 ただ、今回の相手は私達の能力とかでは無く、自分達の利益の為に行動しているようです。日ノ本への明確な攻撃との事で、日ノ本における公式、非公式問わず自分達の縄張りを守るために行動しているのかな?


「敵の実働部隊は明らかに減っています。入国に際しても厳重警戒をしていますので、今回の襲撃部隊を殲滅すれば組織的には麻痺状態になると思われます」


 パーキングエリアで停車している為、竹内さんがこちらのバスへと乗車してきました。

 そして、今判っている範囲での状況を説明してくれました。


「大陸系マフィアの術師は把握できている範囲での無力化に成功しました。武器を使用しての実働部隊も既に包囲が完了しており、このまま殲滅戦へと移行されます。併せて、余子浜、奈古屋、逢坂、神部にある拠点も、先程強襲部隊が突入し、多数の逮捕者及び、資料を押収しております」


「うわぁ、まじで凄いわ。思いっきりガチじゃん」


 竹内さんの説明に私達はドン引きですが、面子の問題ですからね。

 ただ、意外にあっけない幕切れなんだなと何となく終わった実感がわきません。


「それだけで済まないからの装甲車さね。そうじゃろ?」


 私達が何となく終わったのねと弛緩した空気を漂わせていたら、黙って聞いていたお婆ちゃんが竹内さんに笑いかけます。ただ、何と言いますか、肉食獣のような微笑み?


「はあ、そうですね」


 竹内さんが溜息を吐きます。

 そして、その溜息の理由は結局の所、今回の襲撃における武器の種類だったようです。


「我々の調査において迫撃砲の存在は把握できておりません。この日ノ本で迫撃砲による攻撃などあってはならない事なのです。そして、この事は私達の調査が万全ではない事を意味しています」


 悲痛な表情を浮かべる竹内さんですが、この時私の表情は、きっと何言ってるんだろうこの人といった表情を浮かべていたと思います。


「ひよりちゃんは何か言いたそうね」


 私の表情に気が付いたトパーズさんが、私に話を振って来ます。その為、私は言っても良いのか判らないながらも、疑問に思った事を素直に話す事とします。


「そうですね。良く判らないのですが、迫撃砲の入手ルートとかどうでも良くないですか? 海を隔てているとはいえ、少しずつ持ち込もうと思えば何とでもなると思うのです。それよりも、やらないといけないのは最初から皆さんが言われてたように手を出したら採算が合わない、面子以上にヤバいと思わせられるかどうかですよね?」


 面子やら何やらとかはよく聞く話なのです。

 でもね、それって組織の上の人達が、自分の命が危険に晒されていないから言えることだと思うのです。

 だから、やる事は結局は一つなんですよね。


「一人残らず殲滅、日ノ本にいる者達を炙り出し、追い立てて、最後の一人まで殲滅する。そこではじめて抑止効果が出ると思うのです」


 私が考えながら発言していると、お婆ちゃんが心配そうにこちらを見ていました。


「それじゃと恨みを買いすぎるさね。家族にも危険が及ぶさね」


 お婆ちゃんの言いたいことも判らなくは無いです。

 でもね、わたしは知ってるんだよ。人はどんなに都合の良い考え方をする生き物なのかを。


 前世でも魔物による侵攻によって人類存続の危機にある中において、それでも貴族達は自分達の欲に塗れて他者を犠牲にする者が多数いたんだ。貴族にとって平民は人では無く、いくらでも替えの利く駒でしかなかったんだよ。


「どんな組織でも権力者ってさ、自分の事は安全だと、自分は犠牲にならないって思ってるんだよ? でもね、それって間違いなんだって教えないと、何度も同じことを繰り返すよ? それこそ、家族を狙われたらさ、私たぶん悪魔にでもなれるよ? 敵の本拠地もろとも一帯を焼け野原にするよ?」


「あ~~~、その・・・・・・そうならない様に善処するわ」


 真顔で話す私に嘘を言っていないと判断したのかトパーズさんが思いっきり顔を引き攣らせて答えてくれます。そして、お母さんが私の頭を抱きしめました。


「ひよりちゃん、大丈夫よ。そんな事には絶対にならないわ。そんな事にならない様に大人達がみんな頑張っているのよ。ですよね?」


 お母さんの問いかけに、聞いていた皆さんが思いっきり頭をブンブンと縦に振ります。


 ただ、くどいようですが前世で魔物よりやっかいだったのは欲深い人間だったのです。そんな人間を黙らせるためにはそれなりの方法が必要となって来ると思うのですが、お爺ちゃんなら判ってくれそうなのに。


 私達がそんな会話をしている間にも、装甲車の先導でバスは移動を開始する事になりました。

 竹内さんも自分の覆面パトカーへと戻って行きます。ちなみに、装甲車には乗ろうともしませんでしたが、見るからに居住性が悪そうなのでそのせいでしょうか?


「安全と居住空間を天秤に掛けたらどっちを取る?」


「居住空間だよね!」


 お姉ちゃんの言葉に即答する佳奈お姉ちゃん。

 私は安全を取るなあと思いながらも、とりあえずバスが動き出したので座席に座ってシートベルトを締めました。まだまだ追突とか危険な事が発生する可能性はありますからね。


「そういえば銃撃戦で負傷者や死傷者とかは大丈夫ですか? ポーションいりますか?」


「そこら辺はこっちで準備して渡してあるわ。私達はそもそも戦闘向きじゃなく薬とかそっち系だしね」


「そうね、ひよりちゃんのくれた薬草の御蔭で即死しなければ大体何とかなるわ」


「死にたくなるくらい不味いけどね」


 レッドさん達が作っているのか私の疑問に即答でお返事がきました。ただ、ブルーさんだけが何か凄い顔をしているのは自分達で作ったポーションを飲んだからでしょうか?


「お姉さん達が作れるなら、私やひよりが作ったポーションを市場に出しても問題ないのかしら?」


「それはまだ待って欲しいかな。需要に対し供給が足りていないのは確かだから、もっとポーションが欲しいのは確かなんだけどさ、まだ販売ルートが確立されてないんだよね。一度ルートが確立されちゃえばおかしな横槍は無くなると思うから、もう少し待って」


 成程、お婆ちゃんの所に喧嘩を売る人達が早々いるとは思わないけど、余計な騒動は困るという事?

 まあそれは私達も同様だから、お婆ちゃん達を隠れ蓑に出来るなら大いに助かるのです。


 そんなこんなで車は進みますが、驚いたことに道を遮断していたと思われる大木などは大型重機によって道路から取り除かれていました。渋滞発生からまだ一時間も過ぎていないので、奇跡的な早さだと思います。


「あっさり障害物が除去できたのね。ちょっと意外だわ」


「そうだよね、もう1つや2つは何か仕込みが有っても良いよね。あっさりしすぎ?」


 パーキングエリアへの襲撃も未遂で終わったみたいですし、あまりに戦力不足ですね。


「お婆ちゃん、ところで大陸系の術って木人兵みたいなのが主流なの?」


 後ろの席に座っているお婆ちゃんを振り返って尋ねると、お婆ちゃんは何となく記憶を辿りながらみたいな様子で教えてくれました。


「そうさねぇ、木人兵みたいな術は確かに多いさね。有名どころで、屍鬼、まあキョンシーなんぞと呼ばれておるが、死人を操る術、木片では無く紙の人型を使った物、何かを依り代にするさね。それ以外だと、あの者達は自身を強化して空を駆けたり、異常な速度で走ったりと身体強化も有名さね」


「師匠の言うとおりだけど、私的には大陸武術と一体化した身体強化の方が下手な術より脅威だなあ」


 レッドさんもどちらかと言えば肉体言語で黙らせるのが得意っぽいので、そこら辺は相性なのでしょうか? 武術となると相手の方が一枚も二枚も上そうです。


「ひよりちゃんは武術とかは得意なの?」


 グリーンさんが尋ねてきますが、そこは思いっきり否定します。


「思いっきりインドア派なのです。運動は敵ですね!」


「え? そ、そう? でも、すごく運動できそうな印象なのに」


 そう告げるグリーンさんの視線は、思いっきり私の胸元に注がれています。


「何でしょうか、無性に暴れたくなって来たのです」


 ハイライトが思いっきり消えた眼差しでグリーンさんを見返したその瞬間、バスの前方、即ち装甲車の方で立て続けに爆発が起こったのでした。


何かで、今どきの戦車は冷暖房完備で過ごしやすいと聞いた? 読んだ? 事があります。

ただ、本当に正しいのかは不明ですがw

ただ、何か狭そうですよ・・・ね?

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― 新着の感想 ―
[一言] 昔の戦車にはエアコンついてないそうですね。 でも冷戦以降は放射能や毒ガスとか外から空気を取り入れられない状況を想定するので、エアコンとかは必須、更に最近は電子機器の為にも車内を冷やさないとい…
[一言] 戦車の冷暖房は、たぶん精密機器を守るためですね。 おいら兵器は門外漢ですが、昔のIT技術者なので、想像はつきます。 マシンルームは冷暖房完備ですけど、それは人間でなくコンピュータのため。 …
[一言] 戦車に冷暖房ないと電子機器やられるから 人のためというより戦車のためだよ
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