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107:パトカーの定義ってあるのでしょうか?

誤字脱字報告ありがとうございます。

「な、何が起きているんだ!」


 バスの中ほどに座っていた佳奈お姉ちゃんのお父さんが事態に付いていけない模様。

 我が家のお父さんがフォローを入れているみたいですが、果たしてどうなりますでしょうか?


 まあ今の状況が判っていないのは佳奈お姉ちゃんの御両親だけですから、ただお母さんの方は周りの状況を見て、ついでに佳奈お姉ちゃんを見て、何となく察しているみたいです。


「返りの風が吹いて効果があるかどうか。流石にチンピラを差し向けるのは諦めましたか?」


「どんな武器を持ち込んでいるかじゃないかしら? もっとも、遠距離から狙撃するには高速道路は移動速度が速すぎると思うわね」


「なら遅くするんじゃないかしら?」


 かつては魔女っ子さん達が思い思いに発言をしています。

 その発言内容がありそうなので嫌ですね、日ノ本には言霊と言う言葉が有ってですね。


「どうやらこの先の道路が障害物で封鎖されたようです」


 バスについている無線から連絡が入りました。

 どうやら道路上に樹木が倒れて来て完全に道を塞いでしまったみたいです。


「ここまでやるのかしら? 相手もそれだけ必死?」


 お姉ちゃんも困ったわねといった表情を浮かべていますが、バスの中の誰一人焦った様子は・・・・・・あれ? なんかブルーさんだけちょっと表情が違いますね。


「ま、不味いよ、手前に避難できるサービスエリアとかあった?」


「え? そうですね、回避できるような降り口も、立ち寄れるサービスエリアなどもありませんね」


「ふむ、何でしょうか、どうせならサービスエリアに罠を張って、そこへ避難させた方が計画的な気がするのですが、なぜそうしないのでしょう?」


 私なら絶対にそうしますよね。ただ、その返答はなるほどと言った物でした。


「進路上のサービスエリアやパ-キングエリアなどには警察官達が投入されています。その為、異常があればすぐに連絡が来ます」


「そっか、警察官なら配置しやすいですね」


 今回の件はそもそも術者同士の戦いだけではありませんし、テロ防止などを謳い文句にすれば警察も導入しやすいと思いですから。


「停車後も気をつけないと、私だったらガソリン満載のタンクローリーを後方から突っ込ませるわね」


 過激な発言をするのはトパーズさん。


 私達の会話を余所に、ブルーさんは何か顔を青く? 赤く? とにかく顔色を悪くしながら何か焦っているみたいです。どうしたのでしょうか?


 でも、トパーズさんってどっから見てもフワフワした可愛らしいお嬢様系の見た目に反して過激な性格をされているようです。でもトパーズさんが言う様に、成功するしないでは無く騒ぎの拡大を意図するなら確かにそれも効果的かもしれませんね。


「注意がそれた所を狙撃とかも出来るしね。もっとも、私達が張った結界総てを貫けるならね」


「停車中であればより強固な結界も張れますよ?」


 なんせ八重垣も既に改良済みです。停車しているからと言って、そうそう突破できるとは思えません。


「後ろの覆面パトカーがライト出したね。早めに止めるみたい」


 後方を見ていた佳奈お姉ちゃんが様子を伝えてくれます。すでに渋滞の後ろが見えてきているので、バスもハザードを点灯させて速度を緩め始めました。


「左右から高速接近するものあり!」


「上に登る方が対応しやすい? ちょっとドア開けて貰える?」


「あ、私も外出ます! 周囲を見てきますね!」


 お婆ちゃんの所の姉弟子さんが遂に停車したバスのドアを開けて、上に手を掛けて身軽にバスの屋根に登って行きます。すると、ブルーさんが慌ててその後を追いかけていきました。

 それに釣られたのか、お婆ちゃんの所の人達は次々に外へ出るとバスの上に登っていきます。


 そんな中で神主さんの所から来た人たちは、どうやら結界を更に展開しているみたいです。神道はいつ見ても不思議な術ですね、あれでなぜ結界が張れるのかが良く判りません。何となく精霊術に近い気がします。


「あ、あれは木人兵ですか、彼らがもっとも得意とするものですが、通用しない事は判っていると思うのですが」


 グリーンさんが不思議そうな表情を浮かべますが、言っている傍から屋根上組からの攻撃で木人兵は炎上していきます。


「足止めと、こちらの消耗待ち? それにしては数が中途半端ね」


 レッドさんが不思議そうにしていると、何かヒュルヒュルという花火が上がる時のような音が何処かからか聞こえます。


「何の音かな?」


 疑問に思って音の出所をバスの窓からキョロキョロと探すと、空から何かが落ちてくるのが見えました。


「空から何か来るよ!」


ドゴーーーーン!!!


 私の声とほぼ同時に、結界に触れた落下物が派手に爆発しました。


「迫撃砲だ!」


 運転主の警察官が叫び声を上げますが、迫撃砲の攻撃は結界に阻まれて内部には衝撃は欠片も伝わって来ません。ただ、バスを渋滞最後尾のかなり手前に止めていなければ周辺の車は巻き込まれていたと思います。


「ち、これって周囲の被害を気にしてないよね? 無差別って好きじゃ無いわ」


 話している間にも迫撃砲の砲弾が次々と降って来るのが判りました。


「いやはや、これは戦場の様さね。まさか日ノ本でこんな事が起きるとは、長生きも良し悪しさね」


 お婆ちゃんはそう言うと、何かの呪文を唱え始めました。

 そして、呪文が終わると同時にバスの上から何かが迫撃砲弾が飛んでくる方角へと飛び去って行きます。

 更に数秒が過ぎた時、高速道路脇の山の頂付近で一際大きな爆発が発生し、漸く迫撃砲の攻撃が終了します。


「やれやれ、次はどうするか、このまま終わるとは思えないさね」


 何時の間にか木人兵の攻撃も、良く判らないものの突撃も終了しています。

 ただバスの周囲は、迫撃砲の至近弾や爆風の被害でボロボロな様相を見せていました。


「おそらく今の攻撃で結界剥がしを狙ったのかしら? これで引き上げてくれたりしないわよね?」


 思いの外派手な演出でしたが、お姉ちゃんのメンタルは予想以上にタフだったみたい。


「お姉ちゃん、今の攻撃でも動じてないねびっくり」


「まあひよりの姉を十年以上やってればね」


「え! 意味判んない!」


 抗議の声を上げる私にお姉ちゃんはコロコロと笑いますが、私はこんな派手さは無いと思いますよ。


「こら、油断するんじゃないよ。よく耳を澄ませてご覧」


 外から戻って来たトパーズさんが私達を叱ります。私達は言われたとおりに耳を澄ませると、遠くでパンパンとかパパパという甲高い音が鳴っているのが聞こえました。


「ん? これって、もしかして銃撃戦ですか?」


「ああ、こっちの者達が強襲したんだろう。戦況は不明だけどこっちだって準備していたからね」


「あ、前方を塞いでいた障害物が除去できたみたいですね。車の流れが動き始めましたので車を動かします。路面がガタガタなので座席に座ってください」


 運転手さんの声に、みんなが思い思いの座席に座ります。ただ、そういえばブルーさんがサービスエリアがどうこうって言ってたよね?


 無事に戻って来ていたブルーさんに先程の事を尋ねると、ブルーさんは顔を引き攣らせて別の話を始めるのです。


「で、でもさ、あの渋滞に嵌まっていた人達って後ろの状況をどう思ってるんだろうね? 後ろで爆発がドンドンなんて普通では経験できないよね!」


「えっと、そうですね? それで、サービスエリアへ寄ってもらいます?」


「え? そ、そうね。みんな次第かな?」


 非常に狼狽えているブルーさんを訝しく思いますが、なぜかお婆さんのお弟子さん達はその様子を見てクスクスと笑っています。


「ひよりちゃん、乙女の尊厳の危機だから、それ以上聞かないで上げて?」


 グリーンさんがこっそりと私の席へと移動して、周りに聞こえないくらい小さな声でそう囁いてきました。その為、なんだか良く判らないのですが、このお話はここまでにしたのです。


 そしてバスは直近の休憩所は危険との事にて、更に先のパーキングエリアで一旦停車する事になりました。また、そこで更に覆面ではないパトカーが更に2台追加で先導する事となったそうです。


「でも、パトカーで抑止出来る相手では無いと思う?」


 まさかの迫撃砲ですよ? 警察官が居ようが、パトカーが守っていようが関係なく攻撃をしてくると思います。そこでなぜ追加で白黒パトカーに先導させるのでしょう? 怪我人が増えるだけな気がします。


 私達がサービスエリアに停車して、それぞれ数人ずつでトイレに行ったりと時間を消費していると、白黒ツートンカラー車が2台、駐車場へと入って来ました。


「・・・・・・えっと、パトカー?」


 確かに思いっきり警察の文字が書かれているのが見えますし、白黒ツートンカラーです。

 でも、でも、あれってパトカーと呼んだら駄目な気がします。


「うわぁ、装甲車が入って来た」


 うん、日本の警察ってあんな車両も持っていたのですね。

何か殺伐として来ているのでしょうが、殺伐感が欠片も感じられないのが・・・・・・

伊藤姉妹の活躍すらないですし、何か迫撃砲とか出てきている割に、相手に小物臭がw

戦力が平等でないと、盛り上がらないと痛感している今日この頃?

あと仙術って意外に調べてみると地味だったり、良く判んなかったりするのですよね(ぇ

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― 新着の感想 ―
[一言] 警察にゴーレムがあれば「パトレーバ」みたいに出来そうやね…
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