5話 狩人ギルドと強い熊?
すぐに狩人ギルドが見つかったので早速入ってみる。
「こんにちは。ギルドの説明聞きたいです」
入ってすぐにカウンターにいる女性に話しかけた。
「はいはい、登録ですか?」
「いえ、説明聞いてから登録しようかと」
すぐに登録したら強制される事があるかもしれないからな。
ここは慎重にいこう。
「では何が聞きたいですか? 一通り説明します?」
「はい、お願いします」
一応一通り聞いてみたが、よくいうクエストとかそういうのは無いようだ。
じゃあこのギルドは何が出来るかというと、狩人専門のギルドなので、食用の肉をメインで買い取るそうだ。
そして狩人なので、害獣の退治とかもあるが、基本は冒険者ギルドがやるので、ほぼ無いらしい。
なので肉の買い取りと、肉を取り扱う商店へ卸したり、あとは狩人の質を上げるのをメインに運営してるそうだ。
そんなの冒険者ギルドで出来るだろうと聞いたら、冒険者は荒くれ者が多く、獣の狩り方や肉の捌き方が酷いので、それで狩人専門のこのギルドが出来たらしい。
今ではこの国のみならず、世界各地に狩人ギルドがあるようだ。
それを聞くとなるほどなと思う。
冒険者ギルドは色々なものを扱う何でも屋のイメージだ。
だが狩人ギルドは狩りをして獣を狩り、その肉などを卸す。
なら、肉屋さんとかは狩人専門のギルドに依頼するよな。
その方が安心だからだ。
何事も専門業者の方が都合がよく便利なのだ。
おれは納得して強制依頼とか無いか聞いてみたら、よっぽどの事がない限りは無いという。
それも強制されるのが嫌ならギルドを抜ければ良いし、それで抜けても罰則も無いし、その街で再登録出来ないだけで、他の街なら登録出来るとか。
これならほぼほぼ強制が無いということだろうから、おれは狩人ギルドに登録することにした。
「ありがとうございます。では、この水晶に手を乗せてください。ステータスとスキルを確認します」
多分これは城でやったステータス確認の水晶だろうと思った。
するとやはりステータスが水晶に出てきたが、スキルも見れるようだ。
あれ? 城でやったのはステータスだけだったな。
ん? 待てよ? 確か人数が多いから後日にスキルチェックするとか言ってたか?
まあ良いやとスキルも確認してもらうが、特にスキルは無いみたいだ。
ちょっと残念。
「はい、ステータスは一般人の平均みたいですね。とりあえずこれで登録できましたので、ギルドカードが出来るまで少しお待ちを」
そういえば城やこの水晶には、おれが見えるステータスにある、オーラが載っていない。
俺にしか見えないのだろうか? まあ指摘されてないならいいやとあまり気にしないことにした。
それとカードを作るのに時間が掛かるようなので、この辺で狩れる獲物の情報と危険な生物についての本がないか聞いてみたら、端にあるとのことで、パラパラとそれらを見ることにした。
本には王都の周りは定期的に魔物の駆除が行われるので、危険は少ないようだ。
だが東の森は強い生き物が多いので、南がオススメらしい。その南には買取金額の高い動物も多いので、これは南で狩りをして、金が貯まったらすぐに違う国に行こうと計画した。
「カシマさん、カードが出来ましたよ。所で名字があるのは貴族様か何かですか?」
なんだか名字で呼ばれると貴族というのはテンプレらしいので、平民ですよと言い、今度からはタツキと呼んでくれと伝えた。
あと、カシマというのも消して貰った。
少し待たされたが仕方ないだろう。
いっそタツキという名前も変えようかと思ったが、特に他の名前が思い付かないからタツキのままにした。
それで早速、南に向かった。
そこは綺麗な一本道があり、左側に森もあるが、整理された森という印象だ。
あまり無理しないように道なりに進み、森の様子を見ながら狩りをしていった。
たまに見える動物を、青い勇者の装備を一瞬だけ身に付けて、一瞬で命を刈り取る。
屠殺なんてしたこと無いので、結構来るものがあった。
生き物を殺すなんて昆虫程度までしかしたことがないからなー。
大きいとキツイ。それを思うとやはり命の重さは身体の大きさなんだなと再認識する。
あ~虫に生まれなくて良かった。
そんなこんなで一匹狩って少し解体したら、入れるものが何もないことに気付く。
少し慌てたが、ステータスをよく見てみると、どうぐ袋なるものがあることに気付く。
少し探したがそれらしき物はない…と思ったが、腰に付いていた。
麻の袋っぽい物で、大きさも手のひら程度しかない。
こんなものに入るのか?と思いながら、一応袋を開けてみると、まあでかくなること…
「どうなってんのこれ?」
手のひらサイズの袋の入り口が両手を広げたサイズにまで広がった。
まあこういうものなんだと深く考えずに、狩った獲物を入れていく。
全部入った所でステータス確認する。
するときちんと、どうぐ袋の中にはのウサギの肉と掛かれているではないか。
きっとアイテムボックスの代わりだろうと思いながら、装備を戻す。
そこで思ったが、装備を解除したら、この袋も消えるのでは?と思ったが、どうやら腰に付いたままのようで一安心。
でも昨日までこんなのあったかなーと思いながら、便利なのでいいやと思い、2匹目を目指して歩いていく。
そんなこんなで勇者装備のおかげで、何も危なげもなく5匹狩ることが出来た。
そろそろオーラがなくなりダルくなってきたので帰ることにした。
内容はウサギが2匹に鹿が2匹、それと熊っぽいのが一匹だ。
熊っぽいのは、襲われたから首をチョンパした。
急に襲われたから何も考えずに身体が動いたけど、今思うとめっちゃ怖かった。
ここ道のすぐそばですけど?と思ったものだ。
日が暮れる頃には狩人ギルドに着いたので、狩りは5時間くらいかなと予想。
おれ時計しない派なんだよねー。
だってこの世界じゃスマホ使えないんだもん。
しかももう充電切れてただのゴミだし。
一応どうぐ袋には入れてあるけど、もう使わなそうだ。元の世界に戻れなそうだしな。
どうせ魔王倒したところで戻れんさ。
「おかえりなさい。成果はどうでした?」
狩人ギルドに入ると受付嬢からおかえりの挨拶をされた。
「ただいま。まあまあでしたよ」
成果を伝えると買取所の場所を教えて貰い、そこに行くことにした。
「お? 新人か? 何狩ってきたんだ?」
ギルド職員の男性だろうか? とりあえず狩った獲物を伝え、どうぐ袋から順に取り出す。
「なんだ? 魔法鞄持ってんのか。にしては袋みてーだな。珍しい形だな」
どうやら魔法鞄という、どうぐ袋に似た物がこの世界にはあるようだ。よかったよかった、これでごまかせる。
今日の成果、5匹全部を出し終えると、ギルド職員が驚いていた。
「おいおいこりゃウォーベアじゃねーか! どこで狩って来たんだ?」
驚くくらいの獣だったのかと思い、南の街道のすぐ近くで出たと伝えたら騒ぎだした。
なんでも南に出るような獣じゃなく東の森の深くにしかいないらしい。
そんな危険なもの出ないで欲しいと思いながら、集まってきた職員達が何やらまた騒ぎだした。
「これ魔石あります! アサシンベアかもしれません!」
その言葉にこの場が半ばパニック状態になった。
おれには訳ワカメなので黙ってたら、何でもウォーベアの変異主で上位になるようだ。
つってもよく分からんので黙ってたら、ギルドマスターが来て部屋に連れてかれた。
「おまえがあの熊を殺ったのか?」
少しドスが効いてて怖い声なんですけど?
まあ嘘を言うわけもなくそうだと伝えたら、狩った場所を詳しく聞かれた。
場所を伝えると考え出して、1つの結論を出した。
「多分、前に東の森に行った中堅冒険者を追って行ったのかもな…」
何でも少し前に若めの中堅に成り立ての冒険者が、東の森に腕試しに行ったそうだ。
そこで返り討ちにあって方角も分からず南の森まで逃げて帰ってきたとか。
「今まで数件、不審な獣の死骸が報告されてたから、多分あのアサシンベアがやってたんだろうな」
とりあえずアサシンベアの被害が無くて良かったとお礼を言われた。
だが他にも東の森から強力な魔物が来てるかもしれないから、これから注意喚起するという。
おれもまた出くわすかもしれないから、気を付けよう。
「しっかしよくアサシンベアに勝てたな。この魔物は名前の通り、音もなく近寄りあっという間に獲物を殺すから、目撃情報も滅多にないAランクの魔物だぞ」
なるほどなと納得した。
おれも音がしたと思って振り向いたら、腕を振り下ろしてるとこだったからな。
とっさに勇者装備を身に付けて避けてすぐに首チョンパした。
ただ戦闘能力事態はB~Cランク程度らしく、隠密力で危険なためAランク指定らしい。
確かに硬さとか無かったしな。
「とりあえずアサシンベアの討伐。それと未然に危機を救ってくれたから、素材の買取金額と合計で金貨10枚渡す。他の肉の代金もあとで渡す」
とても助かったと言われ、その金貨も貰うことにした。
これですぐにでもこの国を出れるなと思いながら、受付にて買取金額の金貨10枚と銀貨3枚を貰って、ギルドを出ていくことにした。
いやーなんか危なかったけど、服代の分と合わせて金貨30枚は貯まったな。
そして買うのを忘れていたポーション類と、あと魔法が使えたらと、魔導書なんかも初級と中級の物をいくつか安いものを買い、この国を出るために馬車で旅立つことにした。
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