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妖精霊使いはのんき者 ~召喚勇者の日常~  作者: テトジジ
第ニ章 ~精霊との旅立ち~

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10話 新たな旅路

 これからヒナ精霊だったシーアと旅を共にすることにした。

そしてシーアは名付けをして格が上がったから、下位精霊になったそうだ。


 少し前までウンディーネがいたが、今はいない。

 一緒に来るわけないと思いながら一緒に来るか聞いたが、やはり来なかった。

 ただ興味深い人間と言うことで、たまには様子を見に来るわねと言って、スゥっと消えていった。


「タツキー! ウンディーネがね、わたしをとおして呼べば気がむいたら来るってー!」

「気が向いたらかよ」


 思わず苦笑するが、気ままな精霊らしいと思う。


「さて、これから歩いて次の国に行くけど、その間に魔術の練習しながら向かうぞ」

「はーい! わたしもやるー!」


  シーアもやる気のようだが、ウンディーネに注意されていた。

 なんでも、精霊にお願いして使って貰うのは魔術ではなく魔法だそうで、何が違うのか聞くと、魔法は神の奇跡を再現するからこの世の法則から外れ、威力も効果も桁違いだそうで、魔術はその魔法を模して人間でも使えるようにした物だから、単純に魔法の劣化版になり、この世の法則を外れないらしい。


 なので、おれが使えるのは魔術で、人間の一般的な威力や効果になる。

 だがシーアは下位ながら精霊なので、その威力も桁違いになるのだろう。

 そこで試すことにした。


「シーア、少し実験するぞ」

「はーい、なんのなんの?」

「シーアは水以外の魔法は使えるか?」

「つかえなーい!」

「そうか、ならウォーターボールを同じ魔力量で使ってみるぞ」

「はーい!」


 まずはおれが魔力量を5で撃ってみる。

 道端にある少し大きめの石に向かって放つ。


「よし、弾けろ石め。ウォーターボール」


 するとサッカーボール大の水の塊が出現して、かなりの勢いで飛び出す。

 大きめの石に当たると、バゴッという音がして真ん中辺りが少し弾ける。


「まあこんなものか。これでも生身の人間に当たると重傷になるだろうな」


 今のおれじゃこの威力は2回しか撃てない。

 常に勇者装備をするわけにもいかないから、何とか10発くらいは撃てるように修行するか。


「よし、じゃあシーアに魔力を5だけ渡すから、それでウォーターボールを撃ってくれ」

「はーい! 魔力ちょうだい!」


 元気に手をあげて魔力を要求するシーアに、5だけ魔力を渡す。

 さて、魔法が魔術とどのくらい威力が違うのか見せて貰おうか!


「む~ん、ウォーターボール!」


 おれのウォーターボールよりも一回り小さい大きさの水が、音がするかのようにギュギュっと中心に向かって渦を巻くように凝縮した瞬間、目に見えない早さで石に向かって行った瞬間…


「は?……」


 目の前にあった大きな石が、一瞬でピンポン玉くらいの大きさにバラバラに粉砕された。


 あまりの威力の違いに少し放心してしまう。


「むふ~! タツキ、みてたー?」


 反応がないのか下から覗き込んでくるシーア。


「こりゃやべー…」


 先ほどのウンディーネの言葉が甦ってくる。


「下位精霊でも使役できたら国が動くわ。それくらい凄いことなのよ。初級の魔法でも1つ2つ上の威力になるから、簡単に戦争の道具にされるかもね」


 見つかるとヤバい事は分かった。それに…


「多分、貴方なら大魔法も使わせられるわね。それをこの国に向けたら城の1つくらい簡単に消せるわね」


 ただの下位精霊ですら大魔法1発撃てば国が沈む。

 それを聞いて少し戦慄してしまった。


 そりゃこんな精霊を操れるなら、力に溺れて国をいくつも滅ぼしたり、魔王になろうとかしてもおかしくない。

 だから数百年に1度は世界の半分は滅びるんだろうな。


 おれも何がきっかけでそうなるか分からないから、十分に気を付けよう。

 それとシーアにも気軽に魔法を使わないように教育したり、魔法を加減出来るように訓練をしていこう。


 そんなこんなで、数日歩きながら旅をしていると…


「シーア、そろそろ昼食にするか」

「はーい! タツキ、まりょくほしいー!」

「はいはい」


 昼食を食べるのはおれだけ。シーアは魔力があれば生きていける。というより、何も食べずとも自然にある魔力を取り込めばいいから、おれが魔力をあげなくていい。

 ただそれだと気が引けたので、ご飯の度にシーアにも魔力をあげてたら、それが当たり前になってしまった。

 まあ魔力をあげると嬉しそうにするから、こちらも嫌ではないしな。


 そうきて昼食を食べてる時にふと思った。

 シーアをもっと人間っぽく出来ないだろうか?

 何でそんなことを思ったかというと、今のシーアは少し水色でそれでいて若干半透明だったりする。

 なので、今は森を進んだり街道に出たりしてるから、人に見られてないが、これが人に見られたり街に入るとなれば、このままじゃまずい。

 入れるかもしれないが、一目で人間じゃないと分かるし、精霊と分かれば噂は広まるだろう。そうなると国の上の奴らに報告がいって、おれを拘束しようとするかもしれない。


 そうなったとき暴れて逃げるか国を滅ぼすか、大人しく利用されるかのどれかだ。

 そうならないようにしたいのだ。


「ん~、どうするかな。シーア、おれの肌みたいにシーア自身も出来ないかな?」

「タツキの肌? なんで~?」

「おれとずっと一緒にいられるからかな。それとシーアは半透明だろ? ならお揃いにしてみないか?」

「ずっといっしょ! おそろい~!」


 そう言うとまたそこらを自由に飛び回る。

 本当に子供のようにはしゃぐし、空を飛べるからしょっちゅう嬉しそうに飛び回っていた。

 これも街に入る頃には空を飛ばないようにしないとな。


 まずは人間に見られることが大事だ。


「シーア、出来るか?」

「うん! できたー!」

「はやっ!」


 おれの前に猛スピードで突っ込んできてピタッと目の前に止まるシーア。

 前みたいに突っ込んでこられると装備を着けてないときっと死ぬ。

 なのでシーアには突っ込んでこないように何度も言い聞かせて、ようやく出来るようになった。


 はして目の前に来たシーアをまじまじと見つめる。


「お~? 人間そのものじゃないか?」

「タツキと一緒ー!」


 そういうやいなや、またもや超速で飛び回る。


 そこでシーアは感触まで再現するようにもう一度呼んで伝える。


「シーア、肌の感触も同じように出きるか?」

「んん~、できない!」

「そっか、感触までは無理か」

「この体じゃできない!」

「うん、そんなのか、それじゃ、おいおいだな」

「ちがう! この体じゃできないの!」


 んん? だから出来ないんだろ?と思ってるとどうやら違うらしい。

 シーアは何度もこの体じゃ出来ないと言う。


「……あ? もしかして? …体を新しいのにすれば良いってことか?」

「そう! タツキやっとわかったー!」


 そういうとまたキャーっと飛び回る。

 ははーなるほどね。ならドンな魔力体にするか聞いてみる。


「シーア、どんな体が良いんだ?」

「もっと魔力が濃いのがいいー!」

「なるほど」


 いまの魔力体は多分、10くらいしかない。

 なら今度は勇者装備をして、半分の5000ほど使って作ってみるか。

 一気に500倍だ。


 早速着替えて魔力を注いでいく。

 どんどんと人の体を模した水の魔力体に魔力を注いでいくと、大気が揺らめいてくる。

 すると辺りにいた生き物が一斉に逃げ出す。


「きゃー、すごいまりょくだー!」


 シーアが魔力の高ぶりにはしゃぎ出す。

 そして何やら聞いたことのない音を立てながら、魔力を5000も注いだ魔力体は完成する。


「ふぅ~、さすがにここまで魔力使ったのは初めてだから、疲れたな。それになんか変な音するし」

「タツキタツキ! これシーアのからだ?」

「そうだぞ。同じくらいの大きさにしといたが良かったか?」

「これがいいー! 入っても良い?」

「おう、いいぞ。でも魔力が500倍も違うから暴れるなよ?」

「はーい!」


 そういうやいなや、今まで纏っていた魔力体がバシャッと音を立てて地面に落下した。

 その代わりに新しい魔力が動き出す。


 それは命が吹き込まれるように水が色付いていき、人間の子供がそこに現れた。


「おおー! 完璧に見た目は人間じゃないか。人の子供以外には見えないな」


 そう思っていると、ゆっくり目が開いていく。

 その目は金色に光っており、とても吸い込まれるような瞳だ。

 その瞳が笑った瞬間…


 ドンッという衝撃がおれを襲った。


「うおっ!!」


 俺は一瞬にして吹き飛ばされ、たぶん20mは吹っ飛んだだろう。

 何が起きたかと元いた場所を見てみると、少しクレーターが出来ていた。

 そしてシーアはいなくなっていた。


「え?…シーア? どこいった?」


 突然いなくなったシーアに少し動揺する。

 なんだ? もしかして魔力を注ぎすぎて爆発したか?

 ヤバイヤバイと焦るおれは、また10の魔力で魔力体を造り出した。


 だがシーアが来ることはない。

 まさかシーアが死んでしまったのでは?

 そう思うと心が焦りパニックになりかける。


 すると…


「あらあら、またすごい物を創ったわね」


 おれが焦っていると聞き覚えのある声がした。


「え?」


 振り返るとそこには数日前に別れたはずの水の大精霊、ウンディーネがいた。


「なんでここに?」

「シーアが凄いことになってると他の精霊に聞いてね。来てみたのよ」


 すごいこと? なら死んではいないのか? そう聞いてみると…


「まさか。ヒナ精霊でも死なないのに、下位精霊にまでなったシーアが死ぬことはないわよ。それより…」


 なにか含んだような眼差しを向けてくる。

 なんだなんだ?


「貴方は本当に面白いわね。シーアはもう中位精霊くらいの力があるわよ?」

「はえ?」


 よく分からないが、シーアは生きていて、なんか知らないが格も上がった感じになってしまっていた。



『面白そう』『次も読みたい』


と少しでも思って頂けたらブックマーク登録や評価、感想を頂けるとても嬉しいです。


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