直線と曲線
「錬気か……」
俺は、ギルムの謎かけに思案していた。
あの後、キリカの作った手料理を美味しく頂き、食休みをしている処だ。
「ジャショウ、どうしたん?」
「ん~~。錬気がなぁ……」
「ピリピリするんよ」
「やっぱりかぁ……」
俺は、サクヤの頭を撫で、苦笑する。
俺だけの問題なら良いが、サクヤ達がピリピリするのは、死活問題だ!
(お父さんのお鬚、ジョリジョリする~)
などと、嫌われるようでは、俺、生きていけない……。
「じいじ。真っ直ぐはいけないって、言っていたんよ」
「真っ直ぐか~」
サクヤにとって、直線的と言う意味は、真っ直ぐになるらしい……。
確かにそうだが……。
ん!?
真っ直ぐはいけない!?
俺は、はたと気付き、その場で立ち上がる。
「サクヤ!それだ!」
俺は、嬉しさのあまり、サクヤを抱擁する。
「くすぐったいんよ~」
直線……。
俺が、今まで見て来た錬気の流れは、血流に沿った直線的なモノだった。
しかし、これを……。
俺は、錬気にうねりを与える。
直線的な流れから、ジグザグに……。
錬気が、体中に浸透する……。
あふれ出ていた錬気が、体に浸み込んでゆく……。
心地よい……。
しかし、まだ、あふれ出ている……。
だったら……。
今度は、螺旋を描いてく。
錬気の流れが、体をかたどる様に、流れる。
「ジャショウ。ピリピリが無いんよ♪」
「出来た!」
俺は再び、サクヤを抱きしめ、高く持ち上げる。
「サクヤのお陰だ!」
サクヤは、何の事か分からずも、嬉しそうに笑ってくれる。
「出来た様じゃな?」
ギルムが手を叩く。
わかっていたら、教えてくれよ……。
「考えるのも、修行じゃよ」
「っ!?ああ……」
「良い事を教えてやろう。錬気の流れは、何も、一つである必要は無い。その錬気に、芯を入れてみい……」
今度は、的確なアドバイス。
錬気の流れを、一つと捉えず……か。
螺旋の気の流れの中に、血流に沿った錬気の流れをイメージする。
骨に、筋肉……。
錬気で、模していく。
錬気が、俺の体で、循環していく!?
鋼の肉体……。
鋼鉄の骨……。
強い、高揚感を覚える。
ピロリ~ン
錬気 430000
剛気LV5
創気LV5
放気LV4
神域LV4
錬気系スキルが、一気に上がった!?
不安定だった気の流れが、途端に乱れれる。
「力に、振り回されるでない!」
軽く、頭をこつかれる。
何か懐かしい……。
平静を……。
じゃじゃ馬を乗りこなす様に、自らが造った気の道を、ゆっくりなぞる。
抑え込むのでは無い。
流れに身を任せるんだ。
「理論上は、可能な事じゃが、まさか出来るとはのう……」
「は?どう言う……」
「錬気の流れを二つにするほど、人の気は、高いもんでは無いんじゃよ。バカデカい気を垂れ流しおって……」
苦笑するしかない。
どこから気付いていた?
「お主が街に来た時、驚愕したぞ?しかも一直線に、このギルドに来おって……。冷や汗モノじゃったわ」
「街に入った時から?」
「儂だけじゃ無い……。何人かは、気付いたようじゃったのう」
「マジか!?」
「大マジじゃ!」
しかし、面倒ごとに関わらなければ良いが。
何にしても、最初に会ったのが、ギルムで良かった……。
錬気を垂れ流して、街中を歩いていたら……。
まあ、良いか……。
IFはよそう。
質の上がった、錬気の重りは心地よく、全身の筋肉を酷使する。
もっとだ!
もっと強く!
そう、強くなるために……。




