冒険者としての信用
「終わった……」
俺は、魔獣・アルバードの毛皮を前に、言い様の無い充実感を感じていた。
結局、徹夜になってしまった……か。
鳥のさえずりが、心地よい。
徹夜したせいか、なんか逆に、目がギンギンとしている……。
サクヤは途中から、目をしきりに擦り、頑張っていたが、その場で寝てしまった。
可愛いお尻が……。
って、サクヤ、何も履いて無い!
……。
そりゃ、そうか……。
俺の上着、着ているだけだもんな。
今日は、役所に行って、その後は、買い出しだ。
俺も服が欲しいし、サクヤには、可愛い服を着てもらいたい!
俺は、サクヤの服をそっと直してやり、なめし終わった毛皮の上に寝かしてやる。
「ジャショウ?」
シャルも、眠そうな目を擦り、俺の肩に着地する。
「私、寝てしまったのね……」
「大丈夫?」
「御免なさい……。手伝うと言ったのに」
俺は笑い、シャルの頭を撫でる。
「今日は、どうしようか?」
「そうね。ジャショウ達の服を買わなくっちゃ」
「ん!」
「街も案内したいし……」
「確か、配達に仕事が有ったよな?」
「そうね……。いつも、冒険者に変わって、キリカちゃんがやってるのが……」
「ギルマスには、どっしり構えてもらわなくっちゃな」
「ええ」
「ん、ん~~~」
眠い目を擦り、ゆっくりと起き上がるサクヤ。
起こしてしまったか?
「おはよう」
「あんなあ。あんなあ……。アタイ寝てへんよ?」
どうやら、寝ぼけている様だ。
俺は、サクヤに近づき、優しく抱きかかえる。
「手伝ってくれて、ありがとな♪」
「ん~~~~」
俺の胸に、顔を埋めるサクヤ……。
髪をすく様に、優しく撫でてやる。
「あ、あのう……」
不意に、作業場の戸が開く。
振り向くと、キリカが立っていた。
相変わらず、オドオドと……。
「おはよう」
俺は笑いかけ、それに習って、シャルとサクヤが元気よく挨拶をする。
キリカは、ほっとした顔で、それに応える。
「おはようございます……。あ、あの。これから、オーガの角……。売ってきますね?」
「こんな朝早くから?」
「は、はい……。錬金術の素材は、鮮度が大事ですから……。それで!」
「ん?」
「ご飯……。ご飯は、帰って来たら作りますから……。あの……。その……」
「ん!待ってる」
キリカは、勢いよく頭を下げ、駆けて行った。
何と言うか、せわしない……。
しかし、待つと言っても、着替えは無いし、やる事も無い……。
取り合えず、仕事の確認をするか。
後ろを振り向くと、魔獣の毛皮の上で、シャルとサクヤははしゃいでいる。
朝から、元気な事で……。
「シャル姉、サクヤ……。掲示板を確認しよう」
俺の言葉に、二人は目を輝かせる。
「仕事の確認ね♪」
「また、敵を倒すんよ♪」
「うんにゃ。今日は、雑用」
「雑用するん?」
「立派なお仕事だ」
「そうね。街の人の手助けは、ギルドの信用に関わるものね」
「ああ。それに、俺達の信用にもな」
「信用?大切なん?」
「サクヤは、知ってる人と知らない人、何かを手伝ってもらうなら、どっちが良い?」
「知ってる人!」
「何かをあげるのは、知ってる人?知らない人?」
「知ってる人なん!」
元気よく、手を挙げながら答えるサクヤ。
俺は、頭を撫でてやり、大きく頷く。
「それが、人の繋がりって言うもんだ」
「いっぱいお手伝いして、仲良くなるんよ♪」
冒険者としての信用……。
それこそが、俺達が踏み出す、第一歩だ!




