ねえ、俺、変質者?変質者なの!?
あの後、泣きじゃくるキリカをなだめ、冒険者登録をした。
今、俺の右手には、キングオブ・〇―トが……。
では無く。冒険者の称号が浮かび上がっている。
「は~。これが、冒険者カードかぁ……」
俺は、口角を緩め、手をかざしている。
横ではサクヤが、みんなお揃いと、はしゃぎ、それをシャルが、優しく見守っている処だ。
うん、良い!
戦歴は、シャルのギルドカードから流用され、魔獣討伐の称号が記されている。
惜しむべきは、シャルと会う前……。
サクヤと倒したゴブリンの数は、記されていないと言う事だ……。
しかし、問題無い!
俺にはこれがある!
そう、ゴブリンの討伐部位!
俺は、徐に、ゴブリンの耳をキリカに差し出して見せる。
「ひっ!」
えっ!?
何、ビビってるの?
ああ!また泣きそう!
「ちょちょちょちょっ!討伐部位!討伐部位だから!」
「と、討伐部位ですか?」
「そう、討伐部位!シャルと会う前に、倒したゴブリンの!」
俺の言葉に、不振がるキリカ……。
「小僧……。それは、儂が生まれる前の風習じゃ」
「らしいが、今でも通用するんだよね?」
「するか!阿呆たれ!」
俺は、項垂れ、ゴブリンの耳を投げ捨てる。
じゃあ何?
ゴブリンの耳を首に吊るして、ただの変質者?
ねえ、変質者なの!?
「それでも、十分な数じゃわい!」
「はあ……」
まあ、たかがゴブリン数十匹、どうと言う事も無いか……。
問題は、社会的な俺の立場……。
半裸で、ゴブリンの耳を引っ提げて……。
そりゃあ、周りの人間見るわなぁ……。
しかも、女の子と間違われるし……。
女の子と……。
やばい!恥ずかしくなってきた……。
赤面した顔を、両手で覆う……。
「ジャショウ。大丈夫なん?」
サクヤが、優しく頭を撫でる。
ヤメテ!
その優しさが、俺を惨めにさせる!
「ゴブリンが四〇体、オーガが三十一体、トロルが二十三体、そして、魔獣……。お主ら一体、どれほどの間、森に居ったんじゃ!?」
「ん~~。四日間……。狩りをしたのは、一日だがな……」
「阿呆じゃな……。それで、錬金術の素材になる部位はどうした?」
「ああ、オーガの角ね……。ほれ」
ビックボアの毛皮に包んでいた角を、徐に、取り出す。
きっかり三十一個、品質も申し分ないはずだ。
トロルの肝は……。
運べるはずが無い。
「トロルの肝は……。まあ無理じゃな。今度からは、専用の容器を持って行くんじゃな」
「専用の容器?」
「鉄の容器じゃ。一つあれば、肝が三つは入る……」
「かさばるの?」
「そりゃあのう……」
「面倒くさいな……」
「バカモン!金を溝に捨てる行為じゃぞ!」
「まあな……」
肝一個、十万エルだったか……。
話を聞くと、容器は、五十㎝ぐらいの深さの、円柱の容器らしい。密封性に優れ、鮮度が命のトロルの肝を、乾かす事無く運べるそうだ。
六個ぐらい必要か……。
まあ、トロルを狩るのは、セーブしていこう。
「あ、あのう……。報酬なんですが……」
キリカが、不安そうな顔で、こちらう窺う。
報酬か……。
ゴブリン四十体
オーガ 三十一体
トロル 二十三体
魔獣 一体
果たしていくらに為るのだろう?
オーガは五万エル、トロルは七万エルだったが……。
ゴブリンと、魔獣は……。
「御免なさい!」
って、またあやまる……。
今度は何だ?
「あの、あの……。今、報酬が払えないんです……」
「?」
「本当は、報酬を払うために、ある程度、ギルドにお金を置いとくもの何ですけど……。でもっ!」
「でも?」
「報酬と言っても、二通り有るんです……。街の人から直接受けるもの……。これは、前もって報酬を受け取っているんです。けど妖魔退治は、ギルドカードのデータを王城に送り、報奨金として分配されるんです」
「うん、なるほどね……。確かに、ギルドから無尽蔵にお金が出るはずないよな」
「は、はい……。国から出た報奨金から、冒険者に決められた金額が支払われ、ギルドにも管理料としてお金が入って、ギルドが回るんですけど……」
「ああ。あの馬鹿三人、仕事しないから……」
「は、はい……。ギルドの貯蓄が、ほとんど無、い……」
そこまで言うと、キリカは、俯いてしまう。
「そ、その。有っても、家のような小さなギルドだと、ジャショウさん達の様に、沢山狩ってこられると……」
「払えないと……」
「い、いえ!国から支給されれば!」
「あ~~。すぐに払えないと言う事?」
「は、い……」
ヤバイ……。今にも泣きそう……。
「大丈夫なんよ♪ゴブリンの持ってたお金が、有るんよ♪」
「そうね♪払わないと、言ってるんじゃ無いのだら、問題無いわ♪」
すかさず、サクヤとシャルが、フォローに入る。
俺は、慌てて何度も頷き、肯定する。
お願い!
もう、ナカナイデ……。
「は、い……。うう……。ヒック」
「オーガの角も、自分達で売ってきた方が良いか?」
「い、いえ。それは明日、朝一番に、換金してきます……」
「少しずつ、ギルドを大きくしていくんよ♪」
「そうそう!私達が、いっぱい頑張るわ♪」
「は、い……」
キリカ、涙腺崩壊……。
俺も、二人の優しさに、もらい泣きをしてしまったではないか……。
「キリカ!あんたは、俺達のマスターだ!もっと胸を張れ!」
「キリカちゃん。胸大きいもんね~」
「ジャショウ。ごまかしているつもりかもしれないけど、目線が、泳いでいるんよ」
えっ!?
そこで、それを言う?
二人とも何を言っているのかなぁ……。
キリカまで、胸を隠さないで!
違うから!




