表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天翔雲流  作者: NOISE
スターリーの街角で
81/1794

戦歴……。

「これは……」

 薄目で、モニターを見、唸るマルス。

「オーガにトロル……。それに……」

 アリスは、モニターの最後を指さす。

「シャルさんが所属するギルドは……」

「子羊の嘶き亭です」

「そうですか……。あそこは、冒険者が三人しかおりません。森の奥に行くのも、規制が有る訳では無いですね……。しかし」

「はい……。魔獣ギルバード……」

 二人が、俺を見る。

 魔獣?

 俺は首を傾げ、はたと気付く。

「あ~。もしかしてこれ?」

 背中に背負った、毛皮……。

 二人は、凝視する。

「困りましたね……」

「はい……」

 何か、やばい奴を狩ったのか?

 俺は、冷や汗をたらし、乾いた笑いを零す。

「あ~。狩っちゃまずかった?」

「いえ、実は、国が討伐隊を結成していまして……」

「しかも、二個師団ですよ!二個師団!」

 アリスさん……。顔が近い。

「えっと……」

 口ごもるマルス。

「お名前は……?」

 そう言えば、名乗ってもいなかった……。

「ジャショウ……」

 俺は、頬を掻きつつ、ぼそっと呟く。

 名乗りもしないで、何やってんだ俺……。

 我ながら、強引だった……。

 シャルとサクヤが、心配そうに俺の方を見ている。

 ……。

 逃げるか?

「ジャショウ君!」

 俺の考えている事が分かったのか、アリスが、行く手を阻む。

「あ~。アリスさん……?」

「ジャショウさん、逃げても解決しませんよ?」

 マルスさんまで……。

「すでに、ギルドカードに記録されていますから……。どこに行っても一緒です」

「そうですよ、ジャショウ君!」

「で、俺達どうなるの?」

「この事は、国王の耳に、入れなくてはなりません……」

「転生者って言う事は……?」

「その事は……。せめて、国王だけには……」

「やっぱり……」

「しかし、ここの処、上も、きな臭くなっていますから……」

「そうですね!ジャショウ君達が、利用されない様にしないと!」

「ええ。幸い私は、国王と直接、面会する機会がありますから……」

「そうなんですよ!兵長、その功労が認められて、謁見させて頂くんですよね♪」

「はい。全ては、皆さまの勤労有っての事です」

「またまた、謙遜を~」

 は~。マルスって、結構すごいんだな。

 けど、きな臭いって……。

 利用されるってどういう事……?

「宰相は?」

「幸い、外交で、隣国に行っています!」

「そうですか……」

「ちょっと待て!利用されるって?その宰相と関係あるのか?」

 二人は顔を見合わせ、深いため息をつく。

「ジャショウさんは、心配しなくて大丈夫です。うまく立ち回りますよ」

「そっ!家の兵長に任せれば、万事OKってね♪」

「アリスさん……」

「す、すいません!」

「兎に角。万事お任せください。ジャショウさんは、私の恩人でもありますから、うまく立ち回らせてもらいます」

「あ、ああ、よろしく頼む」

ピロリ~ン

〈マルスと絆が結ばれました〉

 おっと、ここに来て、絆が……。

 と言う事は、やっぱり、マルスは信じられる……か。

 前を向くと、マルスが不思議そうな顔をしている。

「これは……?」

 ああ、そりゃあ、急に、能力が上がったら、驚くわな……。

「それも、俺の固有スキルで……」

 ぼそりと呟く……。

 隠してる訳じゃ無い……。

 訳じゃ無いんだが……。

「ジャショウさんは、色々とある様ですね」

「どうしたんですか?兵長」

「いえ。何も……」

 マルスは、理解したとばかりに、ウインクして見せる。

 話の分かる人で、本当に良かった……。

 俺は、苦笑交じりに頭を下げる。

 まあ、良い……。

 後は、どうとなれ……だ。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ