どんだけ、脳内シミュレーションしてんの?
優しく流れる時……。
命あるものは皆、その時の流れの中で、命燃やし、何かを成そうとしている……。
大成するものは、一握り……。
さりとて、苦汁の中で、もがき、あがらおうとする……。
夢は、儚く。目を瞑る者達……。
命は続く。永遠の先までも……。
「で、シャルは、こんな処で何してたん?」
俺、少しづつだけど、女に対する免疫上がってきたような気がする……。
うん。
これも進歩だ!
シャルの目を見て話せるもん!
草食系男子にとって、これ、重要!
そもそも、人里に行くにも、どうやら俺は、少々、人見知りな処があるようだ……。
まあ、何度も言うが、人間には会っていないのだが……。
小人魚達の様に、グイグイ来られると、物怖じしてしまう……。
しかも、美人。これが問題!
緊張して、うまく会話が出来ない……。
頭の中での妄想……。
もとい!
シミュレーションでは、女の子達と、キャッキャウフフしてるのに……。
大体、他の転生者は、まったく違う環境に放り出されて、なんで動じずにいられるんだ?
それに、転生する奴ってほとんど、会話スキル低そうな奴らばっかじゃん……。
無理だから!
言語スキル貰ったって、会話スキルでは、無いんよ?
どんだけ、脳内シミュレーションしてんの?
しかも、転生なんて言う、あるかどうかも怪しい場面のシミュレーションに……。
「えっと……。ジャショウさん?」
不意に、シャルに声をかけられ我に返る。不意と言っても、そもそも、俺から話しかけたんだった。
いかん、いかん。
これだから、サクヤにも、お年頃と言われてしまうんだ……。
「あ、うん。大丈夫……」
俺は、至って平静を装う。
……。
間が……。
「お~い、クソガキ!何時まで、こんな所にいるつもりじゃ!」
ナイス!腐れ聖獣。たまには、役に立つ。
やはりまだ、一対一での美人との会話は、ハードルが高すぎる……。
こんな時に限って、ナビ子はだんまりを決め込んでいる。
普段なら、マシンガンの様に、べらべらといらんことを喋りまくるのに……。
俺は、恨めしそうに空を見やる。
不意に、ナビ子の、にや付いた顔が浮かんでくる。
あいつ、まさか……。
『お~い。ナビ子ちゃ~ん』
俺は、猫撫で声でナビ子を呼ぶ。
まさかと思うが、この状況を楽しんでいるんじゃないか?
『クスクスクス』
ナビ子の押し殺した、笑い声が聞こえる。
……。
『おい!』
やっぱりか?やっぱりなのか?
ナビ子の、意地悪そうな笑みが浮かぶ。
『ジャショウちゃん、だから言ったじゃない。家の子達は、顔面偏差値が高いって』
それは認める……。
しかし、それとこれとは違う……。
普段は、サクヤが居て、人見知りも緩和していたが、一人となると途端に不安になる。
年上のお姉さんとは、俺にとってハードルが高すぎる……。
『頼むから、俺を一人にしないでくれ!』
『ごめん、ごめん。ジャショウちゃんは、お年頃なのよね~』
くそ!何も、言い返せん……。
あの桜肉は、役に立たない……。
今、俺を助けられるのは、ナビ子しか居ないんだ……。
こんなんだったらやっぱり、サクヤを連れてくるんだった……。
俺は未練がましく、虚空を見上げる。
こんな事したって、まあ、ナビ子は出てこないんだが……。
仕方ないやん……。
一対一で、まともに会話するの、初めてなんよ……。
まさか俺がこれ程までに、会話スキルが壊滅的だなんて、思いもせんかった……。
「お~い、クソガキ!何時まで、待たせるんじゃ!」
「お、おう……」
シャルは、笑顔で、首を傾げている。
あ~~~~~~~!
間が、もたん……。
「と、取り合えず、俺達のキャンプ地に行こうか……?」
ぎこちないスマイルで、シャルを見る。
シャルは、優しい笑顔で頷き、俺の肩へと乗った。
「そうね。取り合えず、落ち着ける場所に行きましょう」
「お、おう……」
俺は、緊張しながらも、血抜きをしているビックボアの方へと向かう。
うっかり、忘れる処だった……。
夢にまで見た、動物性タンパク質なのに……。
まあ、何だ……。
それだけ緊張していると言う事だ。
俺、森から出てやっていけるのだろうか?
一抹の不安を考えながらも、夢に見た動物性タンパク質を前に、花より団子と言い聞かせ、天高く吊るされたビックボアを見上げ、ため息をついた。




