リョウカの守備範囲
「あ、あああああああああ」
最近、思うんだ……。
俺、リョウカと一緒じゃね?
迫りくる、美人さんに、鼻の下を伸ばし、砂糖増し増しの、甘い声で囁く……。
俺、リョウカと一緒じゃね?
「あ、あの……」
「なんじゃ。妖精か……」
俺が、感傷に浸っている最中、リョウカの反応は、意外なものだった。
てっきり、突進するものと思い、身構えていたが、妖精の少女を見やると、つまらなそうに、そっぽを向き、その場にうずくまってしまった。
「なんだ、その反応は……」
俺は、露骨な態度のリョウカを見て、少しムッとする。
「妖精は、我のカテゴリー外じゃ」
そう言えばこいつ、サシャの事も、完全にスルーだったな……。
「我は、人間の女子を、所望する!」
よくもまあ、恥ずかしげも無く、欲望をさらけ出して……。
「妖精や人魚は、交配出来ぬのじゃ!」
俺は、こんな奴とは違う。こんな奴とは違う……。
俺は、汚物を見るかの様な目で、リョウカを見詰める。
「やっぱ、お前、キモイ……」
うん。やっぱり、こいつとは違うな、俺。
「なんじゃ。なんじゃ!我はただ、この生存競争を生き残るためにだな……」
生物にとって、当然の反応ってか?
俺は首を横に振り、肩に乗せた麗しの姫君を、優しく撫でる。
「あっ//////」
いかん。いかん。つい、サクヤでの癖で。
「あ~。すまん。いつもの癖で」
「癖……。ですか?」
上目遣いでこちらを伺う、顔……。
やめて~。もう、私のライフは零よ!
「う、うん。黒耀ザルで、とっても可愛いんだ……」
「……そうですか」
なにか、含んだ様なもの言いに、ドキマキしてしまう。
「俺は、ジャショウ。君は?」
俺は、話題を変えるため、自己紹介なんかしてみる。
あ~。あれだ。
何時までも、麗しの姫君じゃ、何かしまらないしな。
べ、別に、美人さんに、クスられるのが、耐えられないからじゃ無いぞ?
「あ、私、シャルロット・シルフィールです。助けて頂き感謝します。簡略に、シャルと呼んで頂いてかまいませんよ?」
シャルか……。
未だ、人間には会えないが……。と言うより、森からも出れて無いんだが。
美人さんとのフラグは、着実と立てている。
うん……。
俺、RPGでは、最初の拠点で、黙々とレベル上げる派なんだ……。
ゲームしたこと無いが……。
だって、俺、戦国武将だもん……。
遊戯と言ったら、蹴鞠に的当て……。だと思う。
瑠璃色の瞳で、俺の顔を覗き込むシャル。
俺は、そんな事にも気づかず、ただただ、無用な事を考え、苦笑していた。




