強襲!!
微笑……。
狂気に彩られ、篝火に美しく照らし出された顔は、怪しくも、幻想を抱かさる。
斬られたゴブリンの上半身と下半身は、音も無く崩れ落ち、血飛沫が上がり、辺り一面の、血だまりが生まれる。
やれやれ……。結局、こうなるのか。
俺は、スローモーションの様に流れる時を感じながら、苦笑を交え、引き攣った顔でその情景を見るゴブリン達を、まじまじと観察する。
まだ、動く気配がない。
恐らく、今の状況を、理解出来ないでいるのだろう。
〈創気→3〉
上半身と離れた、ゴブリンの下半身が、ゆっくりと仰向けに倒れてゆく。
それを合図に、他のゴブリン達が、一斉に飛び掛かってきた。
やっとか……。
随分と、アクションの遅い連中だ。
『アースウォール!』
サクヤの宣言と共に、四方に土の壁が現れ、ゴブリンの行く手を遮り、俺達を囲う。
サクヤの反応の方が早い。
しっかりと戦況を理解し、次の一手を的確に、決めて行っている。
折角、サクヤもヤル気の様だ。俺は、その一手に乗じて、臨機応変に対処しよう。
『アースショット!』
サクヤの猛攻は、止まらない!
続いて、土の壁から、無数の飛礫がゴブリンを襲う!!
「ぎゃっ!」
辺りは、阿鼻叫喚の様相で、四方から、ゴブリンの叫び声が飛び交い、血の臭いが、鼻にこびり付く。
敵の気配が消えていく……。
俺は、一気に跳躍し、3m程ある壁に、飛び乗る。
おお、絶景、絶景♪
壁の上から辺りを見回すが、ゴブリン達は、サクヤの放った飛礫で、腕を潰されたもの、顔が半分無くなったもの、様相は様々で、皆、苦しみ、地面を転げ回っている。
これは……。俺、要らんかも。
『サクヤやるな~』
『仲間の仇なんよ』
サクヤとハイタッチ。
まだ動き、悶え苦しむゴブリンの首を斬り落とし、とどめを刺していく。
まあ、武士の情けだ。介錯ぐらい、してやるさ……。
騒ぎを聞きつけたゴブリンが、洞窟から、わらわらと押し寄せて来る。
戦況は、刻一刻と変化していく。
しかし、残念な事に、ゴブリンのアクションは、後手、後手にまわっている。
まあ、本来闘いにおいて、数とは、戦局に最も影響するものなんだがな……。
結局、烏合の衆と言った処か……。
さて、追加のお客様は……。
数は、20か。
こりゃまた、団体様のお出ましで。
俺は不敵な笑みを浮かべ、創気で作った刀を構える。
『サクヤ。こいつらは俺がやる』
距離は50m……。
腰を落とし、居合の構えをとる。
「放気・斬月」
目にもとまらぬ速さで、刀を横一線に振る。
刀の軌道の沿って、放気で放たれた錬気が、光の刃となって、ゴブリンを襲う。
〈放気→3〉
〈刀剣→8〉
出てきたゴブリンの多くは、何が起こったのかも分からず、その場で斬り伏せられ、生き残ったゴブリンは、6体……。その後ろには、ひと際大きな個体が残った。
鑑定。
ゴブリンナイト
体長:160~180㎝
HP:180
MP:80
錬気:120
筋力:150 体力:200
器用:100 頑強:250
敏捷:120 反応:180
知力:100 精神:90
幸運:120
ゴブリンの進化形態の一つ。
剣と盾を巧みに使いこなし、前線の指揮を執る。体力か高く、絶倫である。
ゴブリンナイト……。少しは楽しめれば良いのだが……。
ゴブリン同様、呆気ない戦いだけはしないでくれよな……。
数との勝負は終わり、個との戦闘。
この戦いで、少しでも、自分を知る事が出来れば良いんだが……。
……。
無理だろうなぁ……。
戦場の感覚は、感じる事が出来たが……。
所詮、赤子の手をひねる様なモノ。
何か、しらけてきちまった……。




