俺は、俺の戦い方で……!
辺りは静寂に包まれ、物音一つしない。
鳥の囀りが、優しく響き。時折吹き抜ける風が、俺達の頬を優しく撫でる。
何と言うか、絶好のピクニック日和だ。
まあ、横にあるゴブリンの死体が、俺のそんな心境を、現実に引き戻すんだが……。
『さて、サクヤちゃん。魔法、結構得意なのね。土系と風系が、LV3もあるわ』
『アタイ、炎は熱いから苦手やけど、他は、大丈夫なんよ』
サクヤは、得意そうに言うと、手の平に、風の球を作って見せる。
『すごい、すごい♪』
ナビ子は感嘆の声を上げ、俺は感心する。
これは、あれだ。某忍者漫画の螺〇丸と言うやつだ!
俺は興奮し、拍手をしそうになる。
『音を立てちゃだめよ?』
咄嗟に、ナビ子に制止され、手を引っ込める。
『それからジャショウちゃん。さっきから、能力上昇のアラームが鳴り響いていたけど、確認してる?』
ナビ子に指摘され、舌を出して、お道化て見せる。
『戦闘中だったからな……。それにこれ五月蠅い』
悪態を垂れながら、ステータス画面を確認する。
錬気:302600
筋力:2250
体力:2550
敏捷:2350
反応:2050
気配察知LV4
索敵LV4
剛気LV2
創気LV2
能力値、スキルレベルが、一気に上がっている。
『一回の戦闘で、随分上がったな……』
『武神の加護と、時巡りの使者の能力で、上がりやすくなってるけど、それでも急ね』
俺は思案し、ナビ子も何か思う事があるのか、沈黙する。
『やっぱ、今の戦闘スタイルが、合っていると言う事か?』
『それもあるけど……。多分、戦闘の中で、ジャショウちゃんの中に眠っている力が、覚醒しだしているのかも……』
『覚醒……?』
俺の頭の中が、疑問符で埋め尽くされる。
覚醒とか、中二心をくすぐられるが、出だしからと言うと、物語的に早すぎる!
俺達の冒険は、これからだ!
そんな、休刊必死の急展開、今は必要ない。
長く続けるぞ!俺達の物語!
『ジャショウちゃん、半神半人だけあって、能力が異常に高かったから、この世界に転生するために一度、記憶を終う必要があったのよ。それが、戦闘と言うジャショウちゃんにとって、最も因果の強い行動をとったことで、呼び覚まされているのかもしれない……』
どうやら、戦いは俺にとって、縁深いものらしい……。
命を奪う事への抵抗……。それとは別に、命のやり取りでの高揚感も否定できない。
そんな矛盾を抱え、複雑な思いに駆られる。
純粋に、強さの頂を目指している。そう思う事で、漠然とした不安を拭う。
俺は、戦闘狂じゃない……。多分……。
ごめん。嘘……。やっぱ、闘いは、俺のステータスだ。
『さて、ステータス確認もしたし、これからの事を、考えなくっちゃ♪』
ナビ子の陽気な声に、我に返る。
『ジャショウちゃん。またネガティブに、考えてたでしょう?』
まるで、心を読まれている様で、苦笑する。
『また、沈黙して……。肯定と捉えるわよ?』
『ナビ子は、何でもお見通しだな……』
俺は、肩をすくめる。
『ジャショウちゃんの悪い癖!普段陽気に取り繕っているけど、自分を卑下して、考えている。私は、お見通しだよ』
そんなナビ子の言葉に合わせ、サクヤが頭を撫でてくれる。
『あかんよ。ジャショウは、ええ子なんやから……』
まるで、姉を二人持ったように思えて、笑みが零れる。
『ええんよ。アタイが、魔法で倒してあげるんよ』
サクヤは、震える足で必死に立ち、胸を張って鼓舞をする。
本当、この子可愛いなぁ……。
「大丈夫……。俺は平気だよ。ただ、俺のやり方で、やらせてもらえるかな?」
あえて、言葉に出して、話を進める。
『ジャショウちゃんのやり方?』
震えながらも、気丈に振舞うサクヤを抱き上げ、立ち上る煙を見上げる。
「そう、俺のやり方……。正面から行く。ゴブリンに敵意があるか確認してから、戦いを挑む」
俺は、覚悟を胸に秘め、立ち上がる。
さっきは、有無も言わさずに命を奪ってしまった……。
ゴブリンだって、悪い奴らばかりでは無いかもしれない。
『無理よ!妖魔は、歪んだ魂の者達よ。こちらの意思は、伝わりっこないわ』
ナビ子は、声を荒げ否定し、サクヤは、不安そうな顔でこちらを窺う。
「解っているよ……。この世界に来て、初めての本格的な戦闘だ。名乗りを上げて戦いたいんだ」
『大丈夫?危険だよ?』
なおも、不安そうに問い掛けるナビ子に、笑って返す。
『大丈夫。サクヤも守って、無事に帰ってくるよ』
『アタイも戦う!』
すかさず、サクヤも名乗りを上げる。
俺はそんなサクヤを愛おしく思い、優しく抱きかかえた。




