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天翔雲流  作者: NOISE
深い森の中で
21/1791

初エンカウント!

 いきなり、100kはまずかったか?

 若干、ふらつきながらも、重りに慣れていく。

 ……。

 よし、成れた!

 高々100K。

 四肢合計で、400K。

 どうと言う事も無い!

 ゴブリンは、未だ気付いていない。

 俺は、足音を消して、一気に駆け寄る。

 ゴブリンは気付かず、バックアタック成功。

 一匹目のゴブリンの、首を飛ばす。

 勢いあまって、上空で、ゴブリンの頭が飛散した。

 案外、容易く行った……。

 しかし、二匹目はこちらに気付き、とっさにかがんで転げる様に距離を取った。

『ジャショウちゃん。重りを取って!』

 ナビ子が叫ぶ。

 しかし俺は、重りを取らず、対峙する。

 まあ、このぐらい余裕でしょう。

 試したい事もあるしな……。

「伸びろ!」

 俺は、刃をゴブリンに向け、創気で出来た刃に、気を流す。

 刃は一瞬、膨れ上がる様に光り輝き、刃が伸びる!

ザシュ!

 刃は、ゴブリンの喉を貫き、後ろの木にも突き刺さる。

「ごぷ……」

 ゴブリンは、声にならない悲鳴を漏らし、そのまま崩れ落ちた。

 すかさず、索敵をかける。

 ゴブリンは、赤く点滅して、しばらくしたのち、色を失った。

『倒したん?』

 サクヤは、不安そうに、こちらを窺う。

 俺は残心を解かず、死体に近づく。

 ふっ……。

 俺に慢心の二文字は、無いのだ!

『パンパカパ~ン♪初勝利おめでとう♪』

 ナビ子のファンファーレに、毒気が抜かれる。

 折角、かっこよく決めてたのに……。

 ナビ子は、どうも、ゲーム感覚でいる様に思える。

 リアルを生きている、俺達とは、少し感覚がずれている様な……。

 しかし、まあ、今回はうまく行った。

 苦笑しながら、死体をまさぐる。

 死体はまだ生暖かく、気分の良いものではない。

 腰に巻いた縄に、麻の子袋が付いている。

 俺は、細心の注意を払い、袋を取り上げる。

 袋の中には、銀色の硬貨が一枚、入っていた。

『ナビ子。これか?』

 俺はそう言うと、硬貨を手に取ってみる。

『ああそれ……。小銀貨ね』

『小銀貨?』

 銀貨を、太陽にかざす。銀貨は太陽の光を反射させ、きらきらと輝いた。

『硬貨は、何種類かあるんだ?』

 硬貨を指で弾く。硬貨は天高く舞い、それをサクヤが、両手でキャッチする。

「ナイスキャッチ!」

 サクヤは嬉しそうに、両手に持った硬貨を、袋にしまう。

『ジャショウちゃん。良い?』

 ナビ子に声をかけられ、我に返る。

『悪い、悪い。硬貨の事だったな……』

 自分で聞いておいて、話を脱線させてしまった。

 苦笑し、頭を掻く。

『硬貨は、七種類あるわ。小銅貨、銅貨、小銀貨、銀貨、金貨、大金貨、白金貨ね。この世界の通貨単位は、エル。

 小銅貨・・1エル

 銅貨・・・10エル

 小銀貨・・100エル

 銀貨・・・1000エル

 金貨・・・10000エル

 大金貨・・100000エル

 白金貨・・1000000エル

 単純でしょ?』

 俺は頷き、再び袋の中の硬貨を確認する。

 小銀貨が、一枚……。100エルだと言う事だ。

『ナビ子。これって多いの?』

『夜店で、何か買ったらお終いね』

 うんざりして、その場に突っ伏す。命を二つ狩って、これだけかと思うと、嫌になる。

 ……。

 二つ?

 そう言えば、まだ一匹しか、確認していなかったことを思い出し、もう一つの、首無し死体に目をやる。

 死体の腰には、やはり無造作に、袋が下げてある。

 俺はおもむろに袋を取り上げ、中を見る。

 中には、金色の硬貨が一枚入っていた。

『おっ!当たりじゃない♪それ金貨よ』

『と言う事は、こいつの方が、各上だったのかな?』

『どうだろう……。こいつら、硬貨の価値、解ってないから……。持ってた数、同数だから、同格なんじゃない?』

 ナビ子の言葉に、顔を引きつらせる。必ずしも、強い奴を倒したからと言って、大金を得るとは限らない。

 TVゲームの様にはいかないか……。

 まとまった金を手に入れるには、それなりに、狩っていかなくてはならなそうだ……。

 いちいち、雑魚を狩るのは面倒だが、これも修行と割り切っていくしかない。

 硬貨を一つにまとめ、立ち上がる。

「じゃあ、本番と行こうか?」

 俺は肩に乗る、サクヤの頬を撫で、前方で揺らめく煙に目をやった。


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