表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
天翔雲流  作者: NOISE
深い森の中で
20/1792

力有る故に……。

 侵略する事火の如し……。

 孫子の理に当てはめれば、情報収集は終わった。ここからは、攻めの時だ。

 敵には、気取られていない。今攻めれば、バックアタックは成功するだろう。

 あとは、如何に他のゴブリンに、気取られないかだ。

『ジャショウちゃん、昨日の調子で暴れたら、他の奴らに、ばれちゃうよ?』

 ナビ子に言われ、昨日の事を思い起こす。

 繰り出した拳からは、衝撃波が飛び、木々を薙ぎ払い、大地を削ってしまう。

 駄目だ……。

 今のまま攻め入っても、目の前の敵は倒せても、他のゴブリンに気取られ、乱戦になるか、悪くて、逃げられてしまう。それだけは避けたい。

『無意識で、剛気を発動させるから……』

『無意識だからなぁ……』

 通り過ぎて行くゴブリンを見ながら、考え込む。

 そもそも、剛気で肉体強化せずとも、尋常ならざる力が有る。

 どう、対処するべきか?

 剛気を意識して発動させてみる。体は羽のように軽くなり、全身に力がみなぎる。

 便利ではあるが、コントロールがうまく行かない。

 しばらく考え、はたと思い付く。

 もしかしたら……。

『何か思いついたの?』

 薄ら笑みを浮かべ、瞑想を始めた俺に、ナビ子が怪訝そうに話しかける。

『逆が、出来ないかってね……』

 俺はナビ子のそう言うと、全身に、鉛の塊を身に着けるイメージをする。

 両手両足に、100kずつの、気の重しを付ける。この場合、創気ではなく剛気でおこなう。

 創気で、発動してもいいが、剛気の方が、内側から重みが加わり、効率が良い。

『なるほどね。それなら鍛錬にもなって、剛気の訓練にもなると』

 まさに一石二鳥。いや、ゴブリンも倒せて、三鳥か……。

 両手に創気で、刃を創る。

 格闘戦術の方が、俺にとって能率が良いのだが、今は、創気のレベルを上げたい。

 何の装備も無い今の状態では、創気で作る刃は、勝手が効く。

 獣の解体。木工の作業道具。全てが、創気で作った刃だ。

『おお、一気に、創気の訓練もすると』

 ナビ子が、感心しながら頷いているのが、目に浮かぶ。

『せっかくだから、色々試してみたいしね』

 初戦闘だ。クールに決める!

 俺は、重りで鈍くなった体の感覚を試す様に、四肢を動かし、試す様に刀を振るう。

 うん、問題は無い。

 四肢への負担は、体全体を酷使するが、それがまた心地よい。

 言っておくが、俺はマゾでは無いぞ?

 再び眼前を見据え、深呼吸をする。

 覚悟は出来た……。

 高ぶる感情を押し殺す。

 最早、迷いは無い。気配を消しながら、茂みから飛び出した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ