俺の使命
ヨルムとフィールは、深々と、ため息をつく。
悲しそうな顔で、
「ジャショウよ……。少し、お前は、生き急いでおるぞ。セナの境遇に、心を痛め、何とかしようと、必死なのじゃろう?しかし、それは、お前一人が、背負う事では無い!もっと、ハッキリ言えば、お前が、背負う事では無いのだ。お前は、本当に、優しすぎる!しかし、その優しさを、もっと自分にも、向けても良いのでは、ないのかい?」
「ははは……。俺は、優しくなんか、ありませんよ……。俺は、セナから、父親を奪ってしまいました……。最低な、男ですよ」
俺は、最低な男だ……。
ヨセフを追い詰め、セナから、父親を、奪ってしまった。
儚く笑い、涙をこらえる。
そんな俺を、フィールは、涙を流し、強く抱きしめる。
俺は、驚き、目を見開く。
ヨルムもまた、涙を流していた。
ヨルムは、力無く、俺を叩き、
「馬鹿を言うな!あ奴の咎を、何故、お前が背負う?今の、セナの笑顔は、まやかしか?お前を慕う、セナの心を、否定するのか?頼むから、そんな背中を、セナに、見せないでくれ!」
「俺は……」
俺は、そこまで言われ、言葉に詰まる。
俺の頬には、一筋の涙が……。
俺は、俯き震え、ヨルムとフィールを、強く、抱きしめる。
「親父、お袋……!」
「お前は、よう頑張っている!頑張ってくれている!」
「そうですよ!だから、貴方も、笑って、暮らしなさい!昔、私に、貴方は、民の笑顔は、まやかしかと、諭してくれましたよね。今度は、私達が問います!ガッツさん達の笑顔は、まやかしですか?貴方を慕う、セナ達の笑顔も、まやかしだと、言うのですか?」
「ああ、ああ……。皆……。皆、笑っています……。俺は……!」
俺は、言葉に迷い、その場で、膝をつく。
ああ、皆笑っている……!
皆、笑って、暮らしてくれている!
俺は、民達の笑顔を、否定していたのか?
俺は、何と愚かで……。
「親父!お袋!」
俺は、二人の腕の中、静かに泣いた。
そうだ、俺は、ヨセフに代わり、セナの為に、その背中を、見せなくちゃならない!
今日ほど、御館様の背中が、大きく見えた日は無い。
俺は、王として、その背中を、セナに見せる、義務がある。
小手先の事だけで、セナ達を助けるのではなく、セナの為に、その背中を、見せ続けるのだ。
愚かな俺は、漸く、俺の使命に気付く。
俺は、涙を拭い、力強く、立ち上がる。
ジャショウ・シルフィール!
俺は、王として、セナの前に、立ち続けると、ここに誓うぞ……!
ヨルブンとローバが、恭しく、俺に、一礼する。
ヨルブンは、深く息を吐き、ヨルムに、
「兄上も、最後に、最大の過ちを、犯してしまいましたな。ジャショウ君を、子とするのであれば、王位は、ジャショウ君に、譲るべきであった」
ヨルムもまた、悲しそうな顔で、深く、息を吐く。
「本当にのう……。儂は、ヨセフを、色眼鏡で、見ていたようじゃ。耄碌したのう」
フィールもまた、涙を流し、静かに頷く。
俺は、苦笑し、
「俺に、大国の王は、務まりませんよ。さあ、パーティーを楽しみましょう」
不安そうな顔で、こちらを窺う、セナ達の下へ、俺は、笑いながら、歩いてゆく。
セナ達は、俺の下へと駆け寄り、
「ジャショウ、ごめんなさい出来た?もう、ジイジ達、怒っていない?」
「あははは!ちゃんと、ごめんなさいと、言って来ましたよ。ヨルム様達は、最初から、怒っていませんよ。ただ、私の事を、心配してくれていたのです。セナ達にも、心配させてしまいましたね?ごめんなさい」
「うん♪セナ達も、怒っていないよ!ジャショウ!一緒に、ご飯食べよう♪」
「そうですね。いっぱい食べましょう♪」
俺は、子供達に囲まれ、笑顔で笑う。
これで最後だ。
ヨセフの事で、心痛めるのも。スターリーの事で、後悔する事も。
セナは、健やかに成長している。
スターリーには、ヨルブン達が居る。
俺が、勝手に嘆き、心配するような事では無い。
それこそ、セナ達の頑張りを、否定するような事だ。
さて、このパーティーを、思いっ切り、楽しむとしようか……。




