悪い事したら、ごめんなさいだよ?
俺が俺のままである様に、セナはセナのままで、あれば良いのだ。
俺達は、セナに背を見せ、それを悟らせる。
セナは、セナのまま……。
ヨセフが見せる筈であった背を、俺が、セナに見せる。
御館様の背には、程遠いが。俺もまた、今は、一国の王だ。
幼き王を、導く義務がある。
しかし、まあ、今は……。
「お~い!料理が出来たぞ!」
各国、重鎮が集まり、大宴会。
俺は、フライパン片手に、セナ達に、手を洗う様に声をかける。
アルナが、お姉さんの様に、
「セナちゃん!手を洗いに行こう♪」
「うん♪」
子供も、子供なりに、セナの事を、気にかけている様だ。
セナは、嬉しそうに、アルナ達と手を繋ぎ、洗面所へと行ってしまった。
俺は、再び、リリスに、目線を送る。
リリスも、静かに頷き、セナ達の後を追う。
さて、今回の宴会も、盛大に、開こうかねぇ……。
景虎達は、既に、酒を飲み始めている。
困った、大人達だ。
しかし、この位の、おおらかさが有った方が良い。
セナ達は、手を洗い終え、無邪気に、席に着く。
さあ、祭りの始まりだ!
景虎の、乾杯の音頭で、皆、グラスを鳴らし、大いに飲み笑う。
セナも、アルナ達と共に、無邪気に笑い、食事を楽しんでいる様だ。
ルビア達は、涙を流し、勢いよく、酒を飲み干す。
ヨルブンは、吐き捨てる様に、
「まったく、我等は、何をやっているのだ?あの子の、あの笑顔を、守れないとは!為政者どころか、人として失格だ!」
俺は、ヨルブンの背中を、優しく摩る。
ローバもまた、横で、嗚咽を漏らしている。
その背中を、エローラが、優しく摩り、
「お父様……。どうか、セナ様の事は、しっかりと、お守り下さい」
「ああ、分かっておる!もう、二度と、息子を失ったりなどせぬ!」
強く、決意する、ローバ達。
セナの笑顔を、俺達は、涙を拭い、笑顔で見守る。
ヨセフよ……。
お前にも、意地が有ったのは、分かっているが……。
お前が残した傷跡は、思った以上に、深いものだぞ……。
さて、スターリーの為に、セナの為に、俺達は、何が出来る?
取り敢えず、他国同様、研修生を、多く預かり、スターリーの発展の、助けとするか。
その他には、貿易を再開し、金と物を、流動させる。
先ずは、そこからか……。
俺は、漠然と、これからの、スターリーとエネス国の、発展を考える。
周りの者達は、馬鹿騒ぎをしている。
それでも、俺は、セナを思い、この世界の故郷と成る、スターリーを思う。
顔には、出していたつもりは無かったが、そんな俺の下に、セナが、駆け寄って来る。
セナは、俺に抱き着き、俺の顔を見上げる。
満面の笑みで、
「ジャショウ、また、お仕事の事を、考えているの?ジイジ達が、駄目って、怒っていたよ?」
「んあ?」
俺は、ヨルム達の方を向く。
ヨルム達は、頬を膨らませ、近づいて来る。
「ジャショウよ!お主は、気を張り詰め過ぎじゃ!」
「そうですよ!皆が、楽しんでいるのですから、貴方も、楽しみなさい!」
「ははは……。すみません。顔に、出してしまいましたか?セナが、頑張っているから、俺も、負けていられないと思いまして」
お道化る俺を、ヨルムとフィールは、じっと見つめる。
ふっとため息をつき、
「セナや。アルナちゃん達と、向こうで、遊んで来なさい。お爺ちゃんは、ジャショウと、少し話すからのう」
「お話?ジイジ!ジャショウの事を、怒らないでね?」
セナが、俺の為に、不安そうな顔をする。
俺は、腰を屈め、
「大丈夫だよ。俺も、ジイジと、少し、話をさせてもらいたいな」
セナは、じっと、俺を見つめる。
そして、笑顔ではにかみ、
「ジャショウ、悪い事したら、ごめんなさいだよ?セナ、向こうで、待ってるね」
セナは、ルビアに連れられ、アルナ達の所に、行ってしまったか。
はぁ……。
それじゃあ、俺は、素直に、怒られるとしようか……。




