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天翔雲流  作者: NOISE
不死鳥の如く
1846/1865

悪い事したら、ごめんなさいだよ?

 俺が俺のままである様に、セナはセナのままで、あれば良いのだ。

 俺達は、セナに背を見せ、それを悟らせる。

 セナは、セナのまま……。

 ヨセフが見せる筈であった背を、俺が、セナに見せる。

 御館様の背には、程遠いが。俺もまた、今は、一国の王だ。

 幼き王を、導く義務がある。

 しかし、まあ、今は……。

「お~い!料理が出来たぞ!」

 各国、重鎮が集まり、大宴会。

 俺は、フライパン片手に、セナ達に、手を洗う様に声をかける。

 アルナが、お姉さんの様に、

「セナちゃん!手を洗いに行こう♪」

「うん♪」

 子供も、子供なりに、セナの事を、気にかけている様だ。

 セナは、嬉しそうに、アルナ達と手を繋ぎ、洗面所へと行ってしまった。

 俺は、再び、リリスに、目線を送る。

 リリスも、静かに頷き、セナ達の後を追う。

 さて、今回の宴会も、盛大に、開こうかねぇ……。

 景虎達は、既に、酒を飲み始めている。

 困った、大人達だ。

 しかし、この位の、おおらかさが有った方が良い。

 セナ達は、手を洗い終え、無邪気に、席に着く。

 さあ、祭りの始まりだ!

 景虎の、乾杯の音頭で、皆、グラスを鳴らし、大いに飲み笑う。

 セナも、アルナ達と共に、無邪気に笑い、食事を楽しんでいる様だ。

 ルビア達は、涙を流し、勢いよく、酒を飲み干す。

 ヨルブンは、吐き捨てる様に、

「まったく、我等は、何をやっているのだ?あの子の、あの笑顔を、守れないとは!為政者どころか、人として失格だ!」

 俺は、ヨルブンの背中を、優しく摩る。

 ローバもまた、横で、嗚咽を漏らしている。

 その背中を、エローラが、優しく摩り、

「お父様……。どうか、セナ様の事は、しっかりと、お守り下さい」

「ああ、分かっておる!もう、二度と、息子を失ったりなどせぬ!」

 強く、決意する、ローバ達。

 セナの笑顔を、俺達は、涙を拭い、笑顔で見守る。

 ヨセフよ……。

 お前にも、意地が有ったのは、分かっているが……。

 お前が残した傷跡は、思った以上に、深いものだぞ……。



 さて、スターリーの為に、セナの為に、俺達は、何が出来る?

 取り敢えず、他国同様、研修生を、多く預かり、スターリーの発展の、助けとするか。

 その他には、貿易を再開し、金と物を、流動させる。

 先ずは、そこからか……。

 俺は、漠然と、これからの、スターリーとエネス国の、発展を考える。

 周りの者達は、馬鹿騒ぎをしている。

 それでも、俺は、セナを思い、この世界の故郷と成る、スターリーを思う。

 顔には、出していたつもりは無かったが、そんな俺の下に、セナが、駆け寄って来る。

 セナは、俺に抱き着き、俺の顔を見上げる。

 満面の笑みで、

「ジャショウ、また、お仕事の事を、考えているの?ジイジ達が、駄目って、怒っていたよ?」

「んあ?」

 俺は、ヨルム達の方を向く。

 ヨルム達は、頬を膨らませ、近づいて来る。

「ジャショウよ!お主は、気を張り詰め過ぎじゃ!」

「そうですよ!皆が、楽しんでいるのですから、貴方も、楽しみなさい!」

「ははは……。すみません。顔に、出してしまいましたか?セナが、頑張っているから、俺も、負けていられないと思いまして」

 お道化る俺を、ヨルムとフィールは、じっと見つめる。

 ふっとため息をつき、

「セナや。アルナちゃん達と、向こうで、遊んで来なさい。お爺ちゃんは、ジャショウと、少し話すからのう」

「お話?ジイジ!ジャショウの事を、怒らないでね?」

 セナが、俺の為に、不安そうな顔をする。

 俺は、腰を屈め、

「大丈夫だよ。俺も、ジイジと、少し、話をさせてもらいたいな」

 セナは、じっと、俺を見つめる。

 そして、笑顔ではにかみ、

「ジャショウ、悪い事したら、ごめんなさいだよ?セナ、向こうで、待ってるね」

 セナは、ルビアに連れられ、アルナ達の所に、行ってしまったか。

 はぁ……。

 それじゃあ、俺は、素直に、怒られるとしようか……。


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