閑話 戦いに予兆
「私は、ブラウニ家当主、アスターバだぞ!スターリーの街でも、名の知れた家柄の!そんな儂が、わざわざ、一族を引き連れて、エネスの街の発展の為、訪れたと言うのに、中に、入る資格が無いだと!誰に、口をきいているのだ!!」
「失礼ですが!貴方方の様な者達は、エネスの街には、必要ありません!早々に、お帰り下さい!!」
「貴様ぁ!!」
アスターバが、剣を抜いた瞬間、一斉に、衛兵達が集まり、容赦なく、槍を向ける!
「何度も言わせるな!どんな、御立派な、御貴族様だろうと、お前の様な奴は、この街に、必要無い!!我等が、例え通したとしても、住民達に、殺されるだけだぞ!死体処理が、面倒だ!さっさと消えよ!!」
ブラウニ家……。
三代続く、男爵位の、者達か……。
覚醒した、ヨセフの改革で、地位こそ、守られたが、居場所と仕事を失った、哀れな貴族……。
日に日に、そう言う、愚か者達が、エネスの街を頼り、やって来るようになった。
しかし、エネスの街は、決して、この様な者達を、受け入れない。
自らが、追い出した民達に、助けを求めるとは、結局、その程度の、者達なのだ。
その様な人間、エネスの街はおろか、今のスターリーの街にも、必要無い!
しかし、この、愚かな貴族達が、戦の匂いを、エネスの街に、運んでくる……。
エネスの街は、その手に持った武器を、振るう時が、来たのかもしれぬ……。
奴等は、最早、賊に等しい。
さあ、エネスの民よ、武器を取れ!
自由を得る為、戦いの時が来たのだ!
エネスの街が、新たな顔を見せる……!
決して、この防壁は、飾りでは無いのだ。
その実力を、発揮せよ!
愚かな羽虫は、叩いて、潰して、捨てるのみ!
ジャショウ・シルフィール……。
玉座に座り、静かに笑う……。
さあ、人間狩りを、始めるとしようか……!




