その目は、世界の外へ……!
「むう……。セナ!ジャショウ達と暮らす!もっと、遊んでいたい!」
「ははは!セナ。お父上が、一人で寂しいと、言っていますよ。また、遊びに来れば、良いじゃ無いですか♪セナだったら、大歓迎です。父上の所に戻って、また、頑張って、勉強して下さい♪いっぱい頑張ったら、また、私が、迎えに来ますよ」
「本当?セナ、いっぱい頑張ったら、ジャショウの所に、遊びに来て良い?」
「ええ、勿論♪」
セナは、今一度、俺に抱き着き、別れの挨拶をする。
そして、ルビアと手を繋ぎ、
「マアマ!パアパ、寂しいしてる!お家に帰ろう!」
「そうですね。また、お父上に言って、遊びに行かせてもらいましょう」
「うん!また、遊びに来る!」
セナは、素直で良い子だなぁ……。
後ろの、お姫様ズは、まだ、ごねているが……。
「ねえ!僕達も、ここで暮らして良いでしょう?」
「あの!私達も、一度、外で暮らすべきだと思うのですが……」
「ジャショウの膝枕が無くちゃ、眠れない」
「私も、シャルちゃん達と、離れたくないぞ!」
はぁ……。
俺は、米神を押え、
「お前達は、少しは、セナを見習え!」
本当、疲れる……。
何とか、ぶうたれながらも、送り返す事と成った……。
街の建設をしていた方が、よっぽど、気が楽だ。
ヨルム達に見送られ、空間転移。
俺一人じゃ、こいつ等を、まとめられないから、ヨシカにも、付いて来てもらった。
ヨシカも、仕事をしていたかったらしい。
少々、ご機嫌斜めだ。
面倒臭そうに、
「早く、兄上に挨拶して、帰りましょう」
「ああ、そうだな……。さっさと、終わらせよう」
俺は、ヨシカと共に、謁見の間に、向かうのであった……。
「やあ、ジャショウ君とヨシカ。セナ達の事、済まなかったね?」
「いえ。セナは良い子で、世話がかかりませんでしたよ。それより、切られた貴族の方が、鬱陶しいです。スターリーの街の問題は、スターリーの街で、片付けて下さい」
「ははは!彼等には、耳が無い様だ。何を言っても、理解出来ない様だよ。それより、エネスの街は、また、何か、大きな事を、始めた様だね?こっちには、肝心な情報が、全然入らなくって、困惑しているよ。その上、巨大な城壁が、エネスの領土を囲い、完全に、家の貴族達は、パニックを起こしている。あんな神業、ジャショウ君にしか出来ない!一体、中で、何が、起こっているのかい?」
「別に……。エネスの街の拡張と、更なる発展ですかね?」
「まだ、大きくするのかい?海まで、陸に変えて」
「はあ……。その情報は、入っているんですね。まあ、スターリーの船が、遠くから、観察しているのは、知っていましたが……、土地の所有権で、揉めるつもりはありませんよ?あの土地は、私が、創造したのですから」
「ははは!大丈夫だよ。流石に、それは、不可能だ。しかも、あの城壁を見させられたら、戦う勇気も湧かないよ。まあ、エネスの街と、元から、戦うつもりは、無いけどね」
「ええ……。私達も、スターリーとは、戦いたくありません。私達の目標は、更なる発展と。多くの国々の、ニーズに応え、世界的に、ビジネスを、展開してゆきたいだけです」
「世界かぁ……。エネスの街は、そこまで、大きくなったんだね」
「まあ、今のところは、順調です」
「順調……。順調過ぎるでしょう?家臣達も、まともに成ったが……。流石に、今のエネスの街を、危険視する者も、少なからず居るよ?少しは、肩の力を抜いて、ゆっくりしたらどうだい?」
「私一人の、力ではありませんから……。今はただ、真っ直ぐ、走り続けるだけです。まだ、九か月……。一年にも、至りません!立ち止まる時では、ありませんよ」
「そうか……。まだ、一年も、経っていないのか……。確かに、立ち止まるには、早すぎるか……」
「ええ。まだまだ、振り返る時では、ありません」
「頼もしいが、恐ろしいな……」
「何を、恐れると言うのですか?自らの手で、壁を創り。自らの意思で、その中へと納まった。ヨセフ国王陛下が、恐れる事など、何処にも無いでしょう?」
「そうかな?しかし、その目は、外の世界を見ている。ジャショウ君。君こそ、王に成るべき、存在なんじゃ、無いのかい?」
「やれやれ……。何を言い出すかと思えば……。ヨセフ・スターリー!他人に目を奪われ。自分の持つモノを、見失うな!俺に、一国の王は、務まらないよ。それでは、失礼致します……」
ヨルムの親父は、ヨセフの奴は、俺の才能に、劣等感を抱いていると言ったが……。
まやかしの力に、目を奪われて。これは、重症だな……。




