加速するエネス!
俺の執務室は、今、凄い状況だ。
重治も兼続も、ヨシカすらも、俺と共に、泊まり込んで、新しいエネスの街を、描きまくっている。
地図が散乱し。資料が散乱し。何枚も、書き直した設計図が、床一面を、埋め尽くしている。
そして、男臭い……。
もう、三日、籠りっぱなしだ。
エローラ達が、心配になり、覗きに来て、
「何やっているんですか!?男四人が、床に寝転がり、資料を散乱させて!それに、臭い!早く、片付けをして、お風呂に入って来なさい!!」
「んあ?」
俺達は、眠気眼を摩り、大あくびをする。
「取り敢えず、城壁の設計図は、完成したな」
「ええ、これは、かなり堅牢な、城壁と成りましょう」
「後は、邪聖の力で、現存させて、兵達を、配置すれば良いな」
「ええ、巡回している兵達を、城壁を創る為、下がらせましょう」
「だな!」
俺達四人は、図面と地図を持って、早速、城壁作りに、取り掛かろうとする。
しかし、
「貴方達は、この街の、中心人物なのですから、どんな時も、身だしなみを、整えなさい!!早速じゃ無くて、先ずは、お風呂に入って、髭を剃って来なさい!見っとも無いですよ!!」
「んあ?確かに、それもそうか……。それじゃあ、ヨシカ達!久々に、風呂に入るか!先ずは、そこからだ!」
「確かに……。この格好を、兵達に見られるのは、問題と成りますね」
「ははは!髪も、ぼさぼさですね♪」
「ふむ。取り敢えず、身だしなみを、整えるか」
俺達四人、早く、城壁を、完成させたくて、我先にと、走り出す。
後ろからは、
「ジャショウ君達!廊下は、走らない!!」
また、エローラに、怒られてしまった。
苦笑を零し、速足で、風呂場に向かう。
さっさと、服を脱ぎ棄て、熱いお湯で、身を清める。
体も洗い終わり、湯船に浸かり、
「ふぅ……。良い仕事をしたな♪」
「まだ、これからが、本番ですよ」
「ああ、これで、西側の防御も固まる。東の、新しい大地も、調査が、殆ど、終了した。次は、そっちだな」
「ええ。モルガン殿も、深度を探り、港に適した場所を、昨日、報告してくれた。エイガ殿と、ロブス殿の方には、既に、報告済みだ。丁度、今日、下見に行ったはずだよ」
「そうか……。じゃあ、さっさと、城壁を創って、俺達も、そちらに向かうか」
今の俺達に、ゆっくりしろとは、無理な話だ。
勢いよく、湯船から飛び出し、脱衣所へ。
パンツだけ履いて、無精髭を剃る。
そのまま、競争する様に、洋服を着て、また、走り出す!
それじゃあ、城壁を、パパっと、作りますか!
城壁建設予定地に、不審者は、存在しないな?
俺達は、兵達に、撤収の狼煙を上げる。
その後、空間転移で、建設予定地へ。
流石、重治が、鍛えているだけの事はある。
兵達は、速やかに、領内へ、撤収してくれた。
全ての兵が、撤収したのを確認し。俺は、勢いよく、天へと昇る!
空中で、我が領内を見下ろし、
「設計図は、頭に入っている……。さあて、頑張りますか!」
領地の境界に沿って、光の道が、浮かび上がる。
俺は、深呼吸し、
「大地よ、この光に沿って、在るべきモノを、現存させよ……!」
大地が、力強く、脈打つ!
その振動と共に、ゆっくりと、重治達が設計した城壁が、姿を現して来た!
二重構造で、城壁の内部からも、弓が打てる。
等間隔で、円柱状の、部屋と階段が在り。長期戦でも、兵達が、休める場所を確保。
城壁の前には、弓の射程に合わせた、薬研堀。
更に、その先には、障子掘り。
少し、遊んでいるな……。
だが、これで、攻城兵器対策も、バッチリだ。
俺達の考えた、最強装備♪
俺達四人、完成を確認し、その場にへたり込む。
誰からともなく、笑いだし、
「私だったら、絶対、攻めたくないですね♪」
「はっ!私だって、絶対嫌だよ!」
「ははは!ここに、兵を並ばせれば、爽快でしょうね!」
「あははは!はぁ……。疲れた……」
「それは、そうでしょう?さっき、仮眠をとっただけで、ほぼ、三徹なんですから」
「だが、のんびりしていられませんよ?今度は、港です!私の方で、集まって来た兵達を、城壁に、並ばせます。既に、シフトは、組んであります。皆さんは、一足早く、ロブス殿の所に、行って下さい」
「済まないな。重治殿」
俺は、立ち上がり、ヨシカと兼続を掴む。
「それじゃあ、先に、行っている!」
空間転移!
さて、もう一仕事、頑張りますか!
港、建設予定地……。
既に、ロブス、ロッド、エレズ、モルガンが集まり、話し合いを、始めている。
俺達の到着を確認し、
「ジャショウよ!大体の話は、既に終わっている!漁業組合は、今まで通りの所を使い。ここには、貨物船、戦艦、旅行船など、大きな船が、停泊する港湾を、創る事にするぞ!南側には、船造所を、建設予定だ!儂とエイガが、中心に成って、ここは、優先的に、建築してゆく。しかし、また、スターリーの、ぼんくら貴族に、邪魔をされたくは無い!設計図を見せるから、土台だけは、ジャショウ、お主が創るのじゃ!」
「んあ?既に、設計図があるのかよ?分かった。確かに、貴族が、海から、ちょっかい出して来るのも、想定している。そう言う事なら、一肌脱ごう。しかし、広いな……。気前良く、東側、全域か」
「うむ!昨今の、商業船の量が、尋常では無い!その上、旅行船も、受け入れを求めている。予てより、港を超えて、港湾と言うモノを、考えていた!まさか、ここまで、条件が合うとは、思わなかった!そして、港湾と言うからには、中心と成る、ターミナルを創り、入出状況を、しっかりと、把握出来るシステムも作りたい。それに、入場ゲートも創り、マルス殿達の様な人に、管理を任せるべきじゃ!カネツグ殿!そこら辺のシステムは、お主の方が、確かじゃろう?」
「うむ……。こちらから、不法者が入って来る事は、何としても避けたい!五重のゲートは、流石に無理だが……。二重のゲートを創り、徹底した、管理を約束しよう。ここ等辺は、ヨシカ殿も、得意な分野ですね」
「ああ、任せてくれたまえ。海軍とは別に、海上特殊部隊も、設立させよう。海での事件に、介入させる。不審な船の調査も、その者達に、任せたい!一々、軍を、動かす訳には、いかないからな」
「うむ!そう言う、小難しい事は、お主達に任す!さあ、早く、土台を創ってくれ!図面に、目を通したのだろう?ジャショウ」
「ん?ああ!それじゃあ、パパっと、創りますか♪」
やれやれ、大忙しだ。
多少、書き直した所があるが。ロブスさんとエイガさんの中には、この大地が出来る前から、この様な構想が、出来上がっていた様だ。
仕事が、早すぎる。
俺は感心しながら、再び、宙に浮き。ロブスの図面に則って、港湾の下地を完成させる。
確かに、ここまでの広さだと、港じゃ無くて、港湾だな……。
ロッドは、算盤片手に、必要材料を、計算してゆく。
ロブスとエイガは、既に、労働者を、確保している様だ。
ロッドも、第一陣の、材料の搬入は、終わらせている様だな。
労働者達が、ロブス達に呼ばれ、迅速に、作業に、取り掛かり始めた。
既に、最低限の話し合いは、終わらせているのか……。
流石に、この三人も、仕事が早いな。
何と言うか、早過ぎる!
この三人は、俺の事を、俺よりも、知り尽くしているようだ。
伊達に、俺の夢想を、現実化させる為、最前線で、この街を、創って来たと言う証拠か。
安心して、任せられる。
ヨシカ達も、感心しているな。
兼続は、鼻息荒く、
「ヨシカ殿!早く、重治殿と合流し、私達も、やるべき事を、やりましょう!」
「そうですね!港湾が出来る前に、入国システムを、厳格化し。海上特殊部隊を、設立しましょう!」
「こうしてはいられない!直ぐに、重治殿を捕まえ、城へと戻るぞ!」
「ええ、急ぎましょう!」
ああ、二人とも、走って行ってしまった。
まあ、あっちは、重治達、三人に任せて、俺は、しばらくの間は、ロブスさん達の、手伝いだな……。




