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天翔雲流  作者: NOISE
分かつ先に……。
1764/1794

お泊り会

「ジャショウ!」

「ん?」

 小さな人影が、俺の胸に、飛び込んでくる。

 久々か……。

 小さな人影は、セナだ。

 セナは、頬を膨らませ、

「ジャショウ!ジイジもバアバも、行っちゃった!詰まんない!ジャショウの所に、遊びに行っても良い?」

「ははは!そうだな。お父上が、良いと言ったら、一緒に、エネスの街に、行きましょう」

「うん!パアパ!ジャショウの所に、遊びに行く!」

「ははは!セナも、ジャショウ君の所に、行きたいのか?」

「うん!センカちゃん達とも遊びたいし、ジイジ達とも、遊びたい!」

「ははは!分かった、分かった。それじゃあ、ジャショウ君、セナの事を、頼めるかい?」

「ん?ああ。それじゃあ、セナ!一週間ぐらい、お泊りしようか?」

「うん!いっぱい、お泊りする!」

 元気の良い子に育った。

 急に、皆居なくなって、寂しい思いをさせてしまったな……。

 セナは、急かす様に、俺の手を引っ張る。

「早く行こう!」

「その前に、ルビア様に言って、お泊りセットを、準備しましょう」

「うん!お泊りセット!」

 本当に、元気いっぱいだなぁ。

 俺は、セナに引っ張られ、ルビアの下へ。

「マアマ!セナ、ジャショウのとこに行く!」

「あらあら……。ジャショウ様、御無沙汰しております」

「はっ!ルビア王妃も、ご壮健の様で、何よりです」

「ふふふ……。ヨシカ様も、アンヌさんが、ご懐妊と聞き、おめでとうございます」

「はっ!姉上、ありがとうございます」

「ふふっ。折角ですから、私も、セナと一緒に、ジャショウ様の所に、お泊りに行こうかしら?アンヌさんとも、お喋りしたいし……。それに……。最近の、ここの空気は、息苦しいわ……」

「ははは!確かに、風通しが良くなったが、ここの空気は、息苦しいですね。まあ、ここだけの話ですけど♪なあ、ヨシカ。アンヌさんも、子供を身籠って、何かと、不安だろう。ヨセフに言って、ルビア様にも、慰安と言う事で、遊びに来てもらおうぜ?」

「ん?そうだな……。ネムさん達が、よく労わってくれているが。アンヌの奴も、ルビア姉さんと、話が出来れば、もっと、安心出来るだろう。兄上達には、散々、振り回されてきたんだ。それ位は、許してもらおう。私が、言ってくる」

「おう!頼んだ♪それじゃあ、ルビア様も、宿泊の準備を」

「ふふふ♪なんだか、久々に、気分が高揚して来ました♪」

 ルビアも、苦労しているなぁ……。

 嬉しそうに笑いながら、セナと一緒に、準備を始めてしまった。

 自ら、準備を始めるルビアに、メイド達が、慌てて、

「お、王妃様!私達が、御用意致しますので、その様な事を、為さらないで下さい!」

「セナお坊ちゃまも、どうぞ、お休み下さい!」

「良いの!セナは、自分の事は、自分でするの!」

「お、お坊ちゃま!?」

 ほう……。

 セナは、しっかりと、成長しているなぁ。

 ルビアは、クスクス笑い、セナと一緒に、準備を続ける。

 メイド達も、慌てて、その手伝いをする。

 丁度、ヨシカも、帰って来た。

 しかし……。

「ジャショウ君、兄上からは、許可を取って来た。しかし……」

 ヨシカの後ろから、六人の影が現れる。

「ヤッホウ♪僕達も行くよ♪」

「あ、あの!ジャショウ様。私も、エネスの街を、見学させて頂きたく……」

「センカちゃん達は元気か?私も行くぞ!」

「ん!最近、眠りが浅い……。ジャショウ、膝枕して……」

 ああ、セシルを始めとする、お姫様ズか。

 それに、

「漸く、身の回りの整理がついた。再び、ヨルム様達の、護衛に戻る!済まないが、ジャショウ君、私達の事も、君達の城で、預かってくれないだろうか?」

「移住するのです!私達も、エネスの街に、移住するのです!」

 ああ、ブロウさんとジャンヌ……。

 ラフィス一家が、エネスの街に、移住するのか……。

 まあ、ヨルム達が来た時から、予想はしていたが……。

 俺は、苦笑し、

「ブロウさん……。漸く、お役御免に成ったのに、また、ヨルムの親父達に、振り回されるのか?」

「う、うむ。半分本意。半分不本意と、言った所か。正直、ここだけの話、スターリーの街は、もういいよ……。私は、ヨルム様の余生に、付き合うつもりだ。早く来いと、手紙も頂いたしな。育てがいのある若者が、何名か居るから、教育してやれと。正直、それが楽しみだ。ヨルム様の目は、確かだからな。それで、済まないが……。使用人達が、後から、家財一式と、祖先の墓を、持って来る予定なのだ。本格的に、定住するつもりだ。許してもらえないだろうか?」

「ははは!ブロウさんなら、大歓迎ですよ♪城の方にも、部屋を用意しますが。ブロウさん達の為に、屋敷も用意しましょう!気楽に、余生を楽しんで下さい♪」

「ああ、私の理解者は、ジャショウ君だけだよ……」

 やれやれ……。

 また、大騒ぎになるな……。

 まあ、それもまた、一興か……。


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