お泊り会
「ジャショウ!」
「ん?」
小さな人影が、俺の胸に、飛び込んでくる。
久々か……。
小さな人影は、セナだ。
セナは、頬を膨らませ、
「ジャショウ!ジイジもバアバも、行っちゃった!詰まんない!ジャショウの所に、遊びに行っても良い?」
「ははは!そうだな。お父上が、良いと言ったら、一緒に、エネスの街に、行きましょう」
「うん!パアパ!ジャショウの所に、遊びに行く!」
「ははは!セナも、ジャショウ君の所に、行きたいのか?」
「うん!センカちゃん達とも遊びたいし、ジイジ達とも、遊びたい!」
「ははは!分かった、分かった。それじゃあ、ジャショウ君、セナの事を、頼めるかい?」
「ん?ああ。それじゃあ、セナ!一週間ぐらい、お泊りしようか?」
「うん!いっぱい、お泊りする!」
元気の良い子に育った。
急に、皆居なくなって、寂しい思いをさせてしまったな……。
セナは、急かす様に、俺の手を引っ張る。
「早く行こう!」
「その前に、ルビア様に言って、お泊りセットを、準備しましょう」
「うん!お泊りセット!」
本当に、元気いっぱいだなぁ。
俺は、セナに引っ張られ、ルビアの下へ。
「マアマ!セナ、ジャショウのとこに行く!」
「あらあら……。ジャショウ様、御無沙汰しております」
「はっ!ルビア王妃も、ご壮健の様で、何よりです」
「ふふふ……。ヨシカ様も、アンヌさんが、ご懐妊と聞き、おめでとうございます」
「はっ!姉上、ありがとうございます」
「ふふっ。折角ですから、私も、セナと一緒に、ジャショウ様の所に、お泊りに行こうかしら?アンヌさんとも、お喋りしたいし……。それに……。最近の、ここの空気は、息苦しいわ……」
「ははは!確かに、風通しが良くなったが、ここの空気は、息苦しいですね。まあ、ここだけの話ですけど♪なあ、ヨシカ。アンヌさんも、子供を身籠って、何かと、不安だろう。ヨセフに言って、ルビア様にも、慰安と言う事で、遊びに来てもらおうぜ?」
「ん?そうだな……。ネムさん達が、よく労わってくれているが。アンヌの奴も、ルビア姉さんと、話が出来れば、もっと、安心出来るだろう。兄上達には、散々、振り回されてきたんだ。それ位は、許してもらおう。私が、言ってくる」
「おう!頼んだ♪それじゃあ、ルビア様も、宿泊の準備を」
「ふふふ♪なんだか、久々に、気分が高揚して来ました♪」
ルビアも、苦労しているなぁ……。
嬉しそうに笑いながら、セナと一緒に、準備を始めてしまった。
自ら、準備を始めるルビアに、メイド達が、慌てて、
「お、王妃様!私達が、御用意致しますので、その様な事を、為さらないで下さい!」
「セナお坊ちゃまも、どうぞ、お休み下さい!」
「良いの!セナは、自分の事は、自分でするの!」
「お、お坊ちゃま!?」
ほう……。
セナは、しっかりと、成長しているなぁ。
ルビアは、クスクス笑い、セナと一緒に、準備を続ける。
メイド達も、慌てて、その手伝いをする。
丁度、ヨシカも、帰って来た。
しかし……。
「ジャショウ君、兄上からは、許可を取って来た。しかし……」
ヨシカの後ろから、六人の影が現れる。
「ヤッホウ♪僕達も行くよ♪」
「あ、あの!ジャショウ様。私も、エネスの街を、見学させて頂きたく……」
「センカちゃん達は元気か?私も行くぞ!」
「ん!最近、眠りが浅い……。ジャショウ、膝枕して……」
ああ、セシルを始めとする、お姫様ズか。
それに、
「漸く、身の回りの整理がついた。再び、ヨルム様達の、護衛に戻る!済まないが、ジャショウ君、私達の事も、君達の城で、預かってくれないだろうか?」
「移住するのです!私達も、エネスの街に、移住するのです!」
ああ、ブロウさんとジャンヌ……。
ラフィス一家が、エネスの街に、移住するのか……。
まあ、ヨルム達が来た時から、予想はしていたが……。
俺は、苦笑し、
「ブロウさん……。漸く、お役御免に成ったのに、また、ヨルムの親父達に、振り回されるのか?」
「う、うむ。半分本意。半分不本意と、言った所か。正直、ここだけの話、スターリーの街は、もういいよ……。私は、ヨルム様の余生に、付き合うつもりだ。早く来いと、手紙も頂いたしな。育てがいのある若者が、何名か居るから、教育してやれと。正直、それが楽しみだ。ヨルム様の目は、確かだからな。それで、済まないが……。使用人達が、後から、家財一式と、祖先の墓を、持って来る予定なのだ。本格的に、定住するつもりだ。許してもらえないだろうか?」
「ははは!ブロウさんなら、大歓迎ですよ♪城の方にも、部屋を用意しますが。ブロウさん達の為に、屋敷も用意しましょう!気楽に、余生を楽しんで下さい♪」
「ああ、私の理解者は、ジャショウ君だけだよ……」
やれやれ……。
また、大騒ぎになるな……。
まあ、それもまた、一興か……。




