次のステージに向けて……!
ふむ……。
随分と、貴族の数が減り、顔ぶれも変わったな……。
いや。ヨルム前王の時代に、戻ったと言った方が良いか?
力を付けているのは、ロンベル、ヨルブン、レブン、ラグーン……。
地方が、大きく、力を付けている。
中央が、弱体化し。地方が力を付ければ、謀反を恐れる考えも、理解出来よう。
しかし、人質は、決して認めない。
それに、ウルヴア学園が、その代わりを、成している。
貴族専属の学園……。
必然的に、貴族達の子息は、スターリーに集まる。
故に、この話を、強行しようとする人間は、今回の会議には、存在しなかった。
それなりの知恵者が、集まった様だ。
まだ、スターリーの街に、主導権は有る。
それで良い……。
まだ、慌てる、状況では無いのだ。
スターリーの街は、常に、象徴である事にだけ、気にかければ良い。
今の状況、それ以上望めば、破綻する。
今のスターリー、受け皿が有っても、そこに、盛り付け出来る人が居ない。
謙虚に、人を、育てて行くしか無いのだ。
スターリーの街には、それを可能とする力と、施設がある。
そして、ヨセフは、育成者も、取り戻す事に成功した。
後は、時間をかけて、雛鳥達を、成長させるだけの事だ。
ここに集まった、多くの貴族は、それを、よく理解している。
まあ、馬鹿は、数人居るが……。
ヨセフは、そう言う人間を、一人でも見つければ、眼光が、鋭くなる。
ヨセフも、誠の王に、成りつつあると言う事か。
今回の会議、それだけ分かっただけでも僥倖。
会議は、淡々と進み、淡々と終わる。
スターリーの時間は、加速してゆく。
それに、取り残される者達。
次の会議では、顔を見る事も無いな。
恐らく、当事者だけが、分かっていないだろう。
他の貴族の、蔑むような目……。
周回遅れの、的外れな案に。中身の無い、報告……。
自分達が、他人に寄生し。いかに、何もやっていなかったか……。
いや。足を引っ張って来たか……。
この会議で、白日の下に、さらされた。
まあ、予想外に、有意義な、会議であったよ。
後は、主だった者達に、挨拶して。最後に、ヨセフとも挨拶を交わし、エネスの街に、戻るとしようかねぇ……。
「ご無沙汰しております。ヨセフ国王陛下、アルブレッド殿。どうやら、スターリーの街も、落ち着きを取り戻したようですね?」
「やあ、ジャショウ君、心配かけたね。まだ、数名、取りこぼしていた様だが。概ね、愚か者達を、一掃出来たよ」
「ウルヴア学園の方も、大胆な、改革を行った様で。種は、蒔かれましたね。後は、花を咲かせ、実を実らす事を、願いましょう」
「ああ、実ってくれれば良いが……。今は、雑草を駆除し、願い、待つしか無いな」
「ええ、今は、ただ、信じて、待つだけですよ……。ここに呼ばれた、大体の者達は、理解している様です」
「ああ、大体の者達はね」
「ええ、大体の者達は」
そう、一部の者達は、未だ、理解出来ていないのだ。
何時も、ここまでは、上手くいく。
しかし、ウルヴア学園の卒業生と、その一部の人間の為に、スターリーの国は、足踏みさせられている。
そして、窮鼠猫を噛む。
なまじっか、その一部の人間に、家柄と言う武器が、備わっている為、振り回され、スターリーは、後戻りを、余儀無くされているのだ。
しかし、今回は……!
ヨセフは、一部の者達と共に、徹底的に、その家柄だけの人間を、潰して排除した。
今映る、ヨセフの目には、一切の、妥協も、情も、慢心も、見受けられない。
徹底的に、害虫を、排除する!
漸く、腹を括ったか……。
ヨセフに、こんな顔を、させたくなかったのだが……。
本当の所、ヨセフの理想を、実現させてやりたかった。
しかし、愚かな貴族達は、ヨセフの優しさを、穢し続けた。
もう、一切の、容赦はいらない!
敵に、吠えるどころか、飼い主の影に隠れてしまう駄犬など、今のスターリーには、必要無い!
さあ、幕引きの時間だ。
新たな時代の為に、古き因習は、全て、排除せよ!
スターリーに、新たな時代が、訪れる。
これで、心置きなく、エネスの街も、次のステージに、立つ事が出来る。
エネスの街は、本格的に、世界に、進出するか……。
下地は、既に、出来ている。
後は、ただ、昇り行くのみよ……!




