益々の発展を願って
子羊の嘶き亭……。
「強欲勇者♪今日も、ヒツジン、大活躍だったよ♪」
「はいはい……」
俺は、黙って、封筒を渡す。
「あれぇ?硬貨が一枚……。なんか、寂しいなぁ」
「黙って、見てみろ……」
チャックは、頬を膨らませ、封筒を覗く。
しかし、次の瞬間、目を見開き、
「こ、これって!?」
「しっ!俺だって、ヨシカが、移住してくれて、嬉しいんだ!黙って受け取れ!」
そう、俺は、舞い上がっている!
ヨシカ達と、本当の家族に成れて、嬉しいのだ!
故に、今回のヒツジンの報酬、白金貨一枚!
要は、百万エルなのだ!
とんでもない額の報酬に、チャックは、舞い上がる!
俺に抱き着き、激しく揺らし、
「なあなあ!ヨーレスの旦那も、移住させようよ!」
「阿呆……。ヨーレスは、ユーロンの跡継ぎだよ……」
「ちぇっ!でも、ヒツジンは、辞められませんなぁ♪」
「現金な奴め……」
お祭り騒ぎの、子羊の嘶き亭!
ガッツが踊り、チャックも、上機嫌で踊る。
そんな、子羊の嘶き亭に、来客が。
「やあ、皆」
「おっ!今日の主役!ヨシカの旦那じゃないか!」
「それに、アンヌ様も!」
一同、大喜びで、ヨシカ達を、店の中央に招く。
ガッツは、ヨシカ達に、エールを持たせ、
「さあ、ヨシカの旦那達が仲間に成って、これから、益々の、エネスの発展に、乾杯だ!」
「「「おおっ!!」」」
本当、愛すべき、馬鹿野郎達だよ。
ヨシカとアンヌは、幸せそうに笑う。
ガッツ達は、益々、調子に乗って、呑めや歌えの、どんちゃん騒ぎ。
ヨシカもまた、珍しく、ガッツ達と肩を組み、笑いながら歌う。
「ジャショウ君!このまま、エネスの街を、何処よりも大きな街に、発展させますよ!」
「おっ!ヨシカの旦那!良い事言いますねぇ!」
「ええ!これからが、本番です!ガッツ君達も、益々、精力的に、働いてもらいます!」
「うっはぁ!明日からが、おっかねえ!」
「良いねえ!燃えて来るぜ♪」
やれやれ……。
今頃、ヨセフは、ヤケ酒しているな。
ヨシカの、こんな姿は、見せられない。
こんなの見たら、本当に、ヨセフが、やさぐれてしまうだろうなぁ……。




