警告を込めて……!
「ヨセフからの、親書か……」
俺も、暇じゃ無いのだがな……。
一部の、家臣を連れて、エネスの街を、視察したいと言う事だ。
断る訳にも、いくまいて。
幾ら、エネスの街が、大きく成ろうと、王命を、無視する訳にはいくまい。
我が心に、野心は無く。二臣も、抱いておらん。
しかし、ヨセフは大丈夫だが、家臣達は、大丈夫だろうか?
エネスを見て、また、暴走しなければ良いが……。
まあ、奴等では、指を銜えて、何も、出来ないだろうが。少し、脅してやるか?
俺は、重治の方を向く。
重治も、にやりと笑い、
「騎兵を、五百騎程で」
「ああ、後。一の門から、五の門までの間、統率の取れた兵を、ずらっと、並べてやるか」
「ははは!邪聖殿は、人が悪い!しかし、そこまでやれば、力押しは、愚策だと、彼の者達にも、理解が出来ましょう」
「まあ、そこまでする必要は、無いと思うがな……。奴等は、痛い思いをしないと、理解出来ないからな」
さて、やりすぎに思うか?
逆に、謀反の兆し有りと、捉えられるか?
しかし、その方が良い。
奴等は、何だかんだと、俺は、ヨセフの命に、素直に従う。
そう、思っているだろう。
今回の視察で、ヨセフの威光を示し。その威を借りて、エネスの街に、スターリーの貴族を、ねじ込もうと言う、魂胆なのだ。
しかし、最早、状況は、激変したのだ。
この地は、我が地で、我が領土。
既に、国の手から、離れているのだ。
分からせる必要がある!
スターリーが手放し。または、スターリーを、見限った者達が、集まる、大国。
確かに、ガッツ達は、ヨセフを、恨んでいないが……。
この地に住まう者は、スターリーの貴族を、少なからず、憎んでいる。
エローラや、古くから居る貴族は、大丈夫なのだが。その他の貴族を、決して、認めない。
鈍感な奴等でも、エネスの街を、直接見て回れば、嫌と言うほど、それを、知る事と成ろう。
一応、警邏を、普段よりも多く、巡回させるが……。
間違いが起こらない様に、民達には、念の為に、釘を刺しておく必要があるか……。




