鎖無き現状
アルテイシアは、ぶうたれながらも、やっと帰ったか……。
今日も、重治と兼続。エローラにアルサ。多くの者達に支えられ、バリバリと、仕事をこなす。
大変だが、充実していて、楽しいなぁ。
人工的に創ったダンジョンも、他のダンジョンと比べて、遜色ないモノとして、今のところは、冒険者達の、鍛錬の場所。貴重な収入源として、活躍している。
その上、魔法装置を、多く取り入れた、この街にとって、ダンジョンから得られる魔晶石は、重宝している。
必然的に、冒険者達も、この街に、集まりつつある。
その為、子羊の嘶き亭の他に、ベルバレスに習った、冒険者の、仕事の斡旋所を、四軒、建設した。
子羊の嘶き亭を頂きに、この四軒の、冒険者の斡旋所に、仕事を、割り振る仕組みだ。
その為、子羊の嘶き亭は、必然的に、この街の、冒険者家業の、要と成った。
ハニバルは、俺同様、事務仕事に追われ、俺に、愚痴をこぼしていたっけ。
仕事の管理に、冒険者の教育……。
全て、子羊の嘶き亭を中心に、この街では、動いている。
荒くれ者が多い、この稼業だが。頂の、子羊の嘶き亭が、誠実であるが故に、その冒険者達に、教育を受けている冒険者達も、少しずつ、誠実な者達に、変わりつつある。
エネスの街の冒険者は、皆、誠実。
騎士よりも、騎士らしい、優秀な戦士達。
大いに、民達の、助けと成った。
さっきも言った通り、勿論、実力も、折り紙付きだ。
その為に、最近では、本国、スターリーに頼らず、エネスの街に、頼る者達が、後を絶たない。
それは、一人の民から、街と言う、大きな規模に至るまで、皆一緒だ。
ロンベルのユーロン。レブンのエルドア領。この、二つの街は、我が街に、多くの仕事を、回してくれる。
また、アルブレッドが、旅行業に、手を伸ばした事により、護衛の仕事も、多く来る。
まだまだ、大きくなるぞ!
エネスの街!
どの業種も、骨組みは出来た。
後は、民達が、頑張る番だ。
いやぁ、馬鹿な貴族達には、感謝しているよ。
俺達を、何の鎖にも繋がず、解き放ってくれたのだから。
現状、エネスの街は、スターリーに在りながら、完全自由都市。
俺達の、やりたい様にやれて、治安も良好。
貴族達の、干渉も無い。
本当、貴族様様だよ。
城から一望出来る、街の景色は、何と優美で、壮大か。
この街を、俺達が、創り上げた。
俺は、天に、手をかざし。エネスの、更なる発展を望んで、静かに笑った……。




