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天翔雲流  作者: NOISE
分かつ先に……。
1743/1794

賢王なるか?暴君と成るや?

「お~い、セナ!迎えに来たぞ」

「ジャショウ!」

 ここは、スターリー王城。

 今日は、毎年恒例の、新年会を、エネスの街の我が城で、行う事と成ったので、主だった者達を、迎えに来たのだ。

 セナは、大はしゃぎで、俺に抱き着いて来る。

 俺は、セナと抱き留め、ヨセフの方を向く。

 少し、痩せたか?

 それに、眼光も、鋭くなった。

 らしく無いなぁ……。

 らしく無い。

 俺は、ため息をつき、

「ヨセフよ……。ここが、踏ん張り時だぞ?」

「ああ、ジャショウ君……。分かっているよ。漸く、私にも、必要の無い人間が、見えて来たんだ」

「必要の無い、人間か……」

 ヨセフの、言葉らしく無いな。

 常に、人を慈しむ、ヨセフの口から、出た言葉だと思えない。

 横で、ヨシカとヨーレスが、複雑な顔をしている。

 この、ヨセフの心境の変化が、今までの殻を破り、天高く飛翔するか、それとも……。

 ここが、正念場だぞ、ヨセフ!

 暴君と成るか?

 賢王と成るか?

 ヨセフだけじゃ無い。

 今こそ、スターリー、変革の時。

 不浄を廃し。愚かな貴族を、淘汰する。

 その過程に、憎しみは、必要無い。

 ヨセフよ……。

 その瞳に宿る、憎しみを、無くせとは言わない。飼いならせ。

 清濁、併せ持ち、誠の王に成るのだ。

 袂を分かち、違う道を、歩み始めた俺には、君にかける、言葉は無い。

 ただ、願うだけだ。

 ヨセフよ、誠の王に成れ。

 君は、俺では無いのだ。

 切り捨てる事しか、出来なかった俺とは。

 貴族を、飼いならし。

 貴族を、上手く、利用しろ。

 君なら出来る。

 人を信じ、人を愛した君なら。

 少なくとも一人……。

 俺だけは、信じているからな……。



 新年会は、我が城で……。

 ここなら、馬鹿な貴族も、押し入って、来ないだろう。

 そもそも、エネスの街に、辿り着く事が出来ない。

 毎年恒例の、大馬鹿騒ぎ!

 去年の年末は、エネスの街の立ち上げで、何処の国にも、顔を出す事が、出来なかったからな。

 どの国の王族達も、俺を、酒の席に招き、嫌味を言う。

 アルテイシアに至っては、俺の耳をつねり、先程から、ねちねちと、小言を言って来る。

 景虎の方は、重治と兼続に、近況報告を、聞いている所だ。

 皆、この街の情報を知りたく、必死に成っている。

 それもそうだろう。

 僅か、数か月で、突如として、巨大な街が、世界の盤図に、現れたのだから。

 その内容も、他の街。いや、他の国々と比べても、半世紀以上、進んだ文明を、有している。

 モダンな建造物が、街に建ち並び。それを、彩る様に、魔法装置が、ふんだんに、使われている。

 ロブス、監修の下、五階建て以上の、高層ビルが、立ち並び。ネイルの灯が、今までの研究を、惜しげも無く、披露し。自動階段。エスカレーターや。自動昇降機。エレベーターを、それ等の建物に、設置してゆく。

 道には、等間隔で、魔法の街灯が、設置されている。

 エネスの街の、近未来的な内装は、見る人々を、魅了する。

 アルテイシアは、余程、この街が気に入ったのか。ギリセアのアリネも、大規模な、改築工事を、俺にやれと、五月蝿いのなんのって……。

 当然、今の俺には、そんな余裕は無い!

 丁重に、お断る!

 また、癇癪を起す、アルテイシア。

 俺の体を、激しく揺らし、

「あんた、少しは、私の国でも、働きなさいよ!」

「はぁ……。お前の我が儘で、エステール学園の、生徒をやっているだろう?各国での、騎士としての仕事も有るし、勘弁してくれよ」

「何言ってんのよ!この街だって、半年もかからずに、ここまで、完成させたのでしょう?これは、命令よ!アリネも、こんな街に、発展させなさい!!」

「ああ、五月蝿い……。この街だって、別に、俺一人で、創り上げた訳じゃ無い!仲間達が、頑張ったからだ!家の技術者達を、舐めるんじゃねえ!」

「だったら、エネスの街は、全員、ギリセアに、移住して来なさい!!」

「無茶を言うな……」

 アルテイシアの我が儘に、他の王族達が、目を光らせる。

 景虎は、神妙な顔で、

「うむ。為らば、エネスの街は、倭国に移住するのが、良いだろう!」

「いやいや、ハルスの国に!」

「ジャショウ様!私と結婚し、千年王国を創りましょう!」

「カ国も、ジャショウ様を、受け入れる準備が出来ております!」

「ジャショウよ!ミネは、ジャショウ達と、もっと側で、一緒に居たいぞ!」

「ムストゥーンの民達も、ジャショウ様が、仲間と共に、移住して下されば、大きな支えと成ります!どうか、ムストゥーンへ!」

 ああ……。

 七大国が、スターリーの悪手に乗じて、俺達を、取り込もうとしている。

 ヨセフ達が、慌てた様子で、景虎達を、宥めている。

 やれやれ……。

 ヨセフがまた、荒れるだろうなぁ……。


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