最高の仲間
「邪聖殿!約束通り、遊びに来ましたよ」
「重治殿に兼続殿!よく、来て下さりました♪」
心許せる、輩の来訪……。
重治と兼続は、柔和な笑みを浮かべ、俺と、固い握手を交わす。
重治は、我が城を見て、
「ふむ。倭国の建築技術を交えた、独特な城ですね。実に独創的で、合理的な城です」
「ははは!景虎殿の城を見て、常々、羨ましく思っていましてね。信頼出来る仲間に相談し、一から、建築して見ました」
「ふむ。邪聖殿は、城取(築城術)にも明るいのか。しかし、それだけでは無い!この街も、随分と、計算されて、創られているようだ」
「ははは!兼続殿の目も、ごまかせないか!ええ、その通りです。この街は、龍脈に沿って創られ。いざと言う時の為に、ネイルの灯の技術を使い、戦と成った場合、ここ等一帯は、龍脈から、霊力を借り、強固な、防御幕が張られるのです」
「実に面白いな!観察すれば、観察する程、この街には、驚かされる!しかし、まだ!邪聖殿は、何か、からくりを、考えているようですね?」
「うむ。その様だな?街の創りに、不自然な場所が、四か所ほどある。広大な空き地が、四か所。何を創るつもりなのだ?」
「やれやれ……。重治殿と、兼続殿の目は、誤魔化せないですなぁ。この地は、多くの恩恵で、光が強すぎる。光が強ければ、瘴気が集まってしまう。それを解消する為、人為的に、ダンジョンを創ろうと思っています。上手く、コントロールし。初級ダンジョンから、中級ダンジョン。上級ダンジョン。最上級ダンジョンを、作成するつもりです。これが、完成した暁には、冒険者は勿論、我が兵達にとっても、良い修行場が、完成すると言う算段です」
「ダンジョンを創る?そんな事が、可能なのですか?」
「ははは!可能だから、創るのです!ダンジョンの理論は、既に、理解したつもりです。瘴気を集め、凝縮し。我が錬気で、それを珠へと変える。それが、ダンジョンの、種と成るのです。まあ、言って、簡単に、出来る事ではありませんが……」
「ふん。お前の言う事は、理解出来るが、人の範疇を、大きく、逸脱している!それが、出来てしまうお前を、やはり、放っておく事は、出来ないな」
「ええ、邪聖殿には、その志を理解し。時に、忠言出来る者が、必要ですね」
「ぬ?そんな逸材、心当たりがあるのか?」
重治達の物言いに、俺の心は、期待で踊る。
俺の理想を理解し。
俺の暴走を止める。
そんな仲間が居てくれれば、何と、心強いか!
重治と兼続は、顔を見合わせ、にやりと笑う。
二人は、おもむろに、その場に座り、頭を下げる。
「邪聖殿!我等を、貴方の、麾下に加えて頂きたい!」
「友として、お前の横に、立ちたいのだ!」
突然の、申し出。
俺は、二人の申し出に、顔を高揚させ、震えた声で、確かめる。
「い、良いのか?倭国は?景虎様は?」
「ふふふ。私は、元より、客将の身。邪聖殿が、何時か、共に旅をしようと言ってくれた時より、この日を、待ち望んでいました」
「私も、景虎様に、世界を見よと、お暇を頂いた!勿論、受け入れてくれるよな?」
「あ、ああ!勿論だ!勿論だとも!二人は特別だ!麾下なんて、かたっ苦しい事を言わないで、俺達の、家族に成ってくれ!」
俺は、二人の肩を抱きしめ、何度も何度も、強く頷く。
重治と兼続……。
俺は、この日、最高の仲間を、手に入れる事と成った……。




