独立都市エネス……!
「ジャショウ・シルフィール……!今日より君を、エネス地区……。いや!エネスの街の、領主に任命する!」
「エネスの街……?」
「そうだ……。エネス地区は、今日より、スターリーの街から独立し、エネスと言う街として、発展させる事を、命じる!これは、私の失態だ。エネス地区の底力と。彼等の愚かさを、見誤った、私の咎だ。これ以上、エネス地区を、スターリーの街に、納めておく事は、不可能だ。君自身が、ガッツ君達と共に、誰にも邪魔をされず、侵害される事無く、スターリーの片翼となる、街を創るのだ!ジャショウ・シルフィール!君ならやれるね?」
「俺が……?」
俺は今、岐路に立たされている。
自由な冒険が、遠のいてゆく。
今度は、ヨセフが、威圧する様に、
「ジャショウ・シルフィール!君まで、ガッツ君達を、見捨てると言うのかい?」
「くっ……!」
俺は、地を見て、空を見て、大声で叫ぶ!
大気が揺れる!!
大地が、地響きを立てる!!
ふっと、深呼吸!
「分かった……。ガッツ達と、話し合おう。スターリーに、残ると言う者達は、お前達に、任せて良いのだな?」
「ああ、責任は持つよ……」
「分かった……」
俺は、血走った目で、貴族達を睨む!
二度と、俺達の邪魔をするな!
俺の威圧が、貴族達に、警告する。
エネス地区が、街と成る以上、誰にも、邪魔はさせねえ!
誰にも、侵害させねえ!!
後悔するなよ?
スターリーを超える、巨大な街を、建設してやるからな……!!
「俺達で、街を創る……か」
俺は、ヨセフの言葉を、ガッツ達に伝え。ガッツ達は、それを、深く思案する。
生まれた街……。
慣れ親しんだ街……。
されど、
「良いんじゃねえか?もう、この街に、未練はねえ!」
「ああ!ここは、いっちょ、俺達で、最高な街を創ろうぜ!」
「ふっ!ジャショウよ!儂等は、何処までも、お主に付いて行くぞ!」
「うむ!儂の命は、とうの昔に、お主に、捧げたからのう!どこまでも、付いて行ってやる!」
広場中に、次々と、賛同の言葉が上がる。
その中には、マルスやアリス、衛兵達の姿も。
俺は、深く息を吐き、
「済まない……。俺の力が、及ばぬばかりに……。皆、感謝する!俺達で、最高の街を創るぞ!!」
「「「おおっ!!」」」
この日から、俺達の戦いが始まった。
スターリーの街より南東。海に面した土地に、エネスの街を建設する。
俺は、ロブス達とロット達を連れて、建設予定地へ。
その間に、エローラ達に、移住希望者を調べてもらった。
ほぼ、全員か……。
他の地区や、近隣の街や村からも、移住希望者が、多く集まる。
なかには、他国からも……!
これは、思った以上に、大きくなるぞ。
エネス商店街には、生産に集中してもらい。何か所かの商店街を創り、それ等を、販売させる。
構想が、出来て来た。
俺は、神の力を、遺憾なく発揮し、ロブス監修の下、エネスの街を、一夜にして、完成させる。
さあ、貴族達よ、後悔するなよ?
エネスの街は、スターリーの街は元より。スターリーと言う国からも、逸脱してやる!
今日より、この街は、エネスの民と、シルフィール家の土地だ!
そう、エネスは、街を超えて、独立都市と成るのだ。
新しい、家々が、立ち並び。多くの工場が、ネイルの灯、エイガさんを中心に、建設されてゆく。
ネイルの灯も、エネスの街に、移設するようだ。
医療組織、ノエルも、こちらに移るらしい。
多くの知識人が、スターリーを見限り、エネスの街に、移り住んでゆく。
勿論、シャルル劇団を始めとす、芸能人達も……!
シルフィール図書館も、移設完了だ。
最終的に、五万人を超える、大都市に。
丁度、良かったのかもしれぬ。
子羊の嘶き亭も、改築したかったが、土地の確保に、難航していた。
ガルガトさん達も、弟子を取り。工場を創り。産業化を進めていた。
再び、大きく脈動するエネス……!
これからだ……!
これから、俺達の街は、大きく発展するのだ……!
スターリーを超える、大都市に……!
ヨセフよ……。
お前の優しさは、俺達を、切り捨てた。
憎しみは無い。
憎しみは無いが、その事実だけは、後悔させてやる……!




