沈みゆく船……。
沈みゆく船に、誰が乗りたがる?
ヨセフの一喝で、シルフィール家への、勧誘は無くなったが、ウルヴア学園に、求人広告を、半ば強引に、掲示してもらったとか。
しかし、もう既に、ウルヴア学園では、エネス地区不干渉の王命を、口を酸っぱくして、学ばせている。
そして、それを破った者の末路を、全校生徒に、教えてしまっている。
故に、腫物の様に、若い生徒達は、その求人広告を、無視し、関わらない様にしている様だ。
孤立無援……。
四面楚歌……。
彼等が望む、駒は、集まらなかった様だ。
人を見出すヨシカ……。
軍を統括するヨーレス……。
スターリーをけん引する俺……。
そして、それを束ねるヨセフ……。
既に、スターリーは、形作られていたのだ。
彼等の、付け入る、隙は無かった。
しかし、彼等は、それが分からず、その輪を乱し、スターリーを、後退させてしまった。
故に、多くの反感を買った事だけ、敏感に感じ取り、ヒステリックに、喚き続ける。
人が集まらぬは、俺の、陰謀であると。
スターリーの後退は、俺の所為であると。
まあ、誰も、相手にせんのだが……。
喚くだけなら良かったが、シルフィール家に、手を出したのは、流石にまずかった。
ヨセフ、大激怒。
王の命も、無視し続けて、これは、反逆であると、徹底的に、男達を糾弾する。
男達は、反論も許されず、ただただ、涙を流し、俯いていた。
さて、どうしたものか……?
俺達が、彼等に、手を差し伸べるにも、今の奴等は、話にならない。
何か一つでも、結果を出してもらわなくては……。
今の奴等に、人は、付いて来ぬ。
誰も助けない。
誰も助けられない。
やはり、エネス地区の為に、退かせるべきだろうか……?
頭が痛い……。
俺もまた、策士策に溺れた、と言う事か。
彼等の治世は、稚拙で幼稚。
結果どころか、悪戯に、エネス地区を、混乱させている。
他の地区と、今までとは、逆の意味で、差が広がり始めている。
まだ、一か月。まだ……。
結果を求めるには、早計過ぎるか?
しかし、悠長な事を、言ってはいられない。
エネス地区の運営は、常に、最大の結果を求められる。
少しの停滞も、許されないのだ。
男達は、半狂乱で、広場に作られた舞台に立ち、全ての者は、一丸と成り、自分達に、従うよう。そして、俺との関係を断つように、喚き続ける。
ガッツ達は、顔をしかめ、怒りに任せて、男達に、石を投げつける。
余りに幼稚で、愚かな奴等だ。
それもそのはず、奴等は、何の経験も無く、それを補う、知恵も無いのだから。
領地運営など、荷が重かろう。
特に、広大に成った、エネス地区の運営など……。
彼等に、出来る仕事などでは無い。
彼等が、残せる実績など無い。
それでも彼等は、結果を出さなくては為らないのだ。
民達から、投げられる石の重さは、彼等に、罪の重さを教える。
果たして、彼等は、為政者として、開花する事は、出来るのだろうか……?




