変われぬ者もある……。
変わって欲しいと言ったが……。
もう直ぐ、七月……。
この時期に成ると、決まって、馬鹿が現れる。
ウルヴア学園を卒業し、要所を任されるが、納得できない者達……。
要するに、エネス地区の領主に、成ろうと言う能無し達だ。
今年も、例に漏れず、五人の男が、名乗りを上げた。
国王陛下……。
ヨセフは、俺に、力を与え過ぎだと。
今更、誰も、相手にはしない。
その上、今は、二十四地区、結束が固い。
誰も、俺の退位を、許しちゃくれない。
ヨセフ達もまた、蔑む様に、
「君達に、何が出来ると言うのだい?我が弟は、私に忠実だ!これ以上、侮辱すると言うのであれば、容赦はしないよ?」
ありがたいが……。
俺への信頼は、どこから来るのか?
男達は、屈辱に、顔を歪ませる。
何としても、エネス地区の利権を得て、見返してやりたい。
しかし、エネス地区も結束は固い。
ガッツを始めとし、皆、鼻で笑う。
幾ら、金をつぎ込まれようと、信頼までは、得る事が出来ない。
ただ、愚直に、俺を信仰する。
どうあっても、俺を、手放したくない様だ。
俺自身、ドン引きするほど、結束が固い。
古参も新参も、変わりはしない。
兎に角、俺の統治を、強く望んでいる。
テッカ達の時代に、継ぐ為に、少し、自重せねば……。
しかし、最近の、俺の人気は、異常だ。
ヨセフが、何もやっていないと言わないが、ヨセフは、慎重な男で、情に脆い。
悪を、悪だと、裁き切れぬ。
故に、今までを、鑑みるに、悪戯に、事態を、混乱させている。
故に……。
最善を尽くす俺は、民達から、人気が高い。
面倒な話だ。
俺は、冒険者に、戻りたいのだが……。
やれやれ……。
まだ、俺は、楽をさせてもらえない様だ……。




