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天翔雲流  作者: NOISE
神魔王降臨、広がる世界……。
1715/1794

舞い戻った、現実

「パアパ、お帰り♪」

「お兄ちゃん……」

 ツクヨとセンカが、俺の下へと駆け寄り、抱き着いて来る。

 二人とも、いつも通り、元気だなぁ。

 二人は、アルマの存在に気づき、

「センカだよ♪よろしくね!」

「ツクヨ……。お友達に成ろう?」

 アルマは、戸惑いながらも、嬉しそうに、

「う、うん♪私はアルマ。アルマ・シルフィール!よろしくね♪」

 アルナも駆けつけて来て、四人仲良く、遊び始める。

 センカとアルナが、何かを思い出したように、俺の下まで、駆け寄って、

「パアパ!アルマちゃんにも、仲良しの服を買って!」

「仲良しの、髪飾りも!」

「ははは。分かった、分かった」

 俺は、子供達を連れて、ガルガト呉服店へ。

 ご要望通り、仲良しの服と、何着かの、普段着を、アルマに買ってやる。

 そのまま、ケナ国へ。

 今度は、ミネを交えて、子供達が、大はしゃぎ。

 俺は、アーファとナタンと共に、そんな光景を、温かく見守る。

 アルマも、よく笑う様に成った。

 一緒の洋服を着て、一緒の髪飾りを付けて、幸せそうに、笑っている。

 ふっと、ローセファールを思い出す。

 今回は、別れの一つも、する事が出来なかったな……。

 ルキウス達は、元気にやっているかな?

 俺は、幻に手を伸ばし、儚く笑う。

 消えゆく残影に、思いをはせて……。

 何時か、輪廻の先で、また、交わう事が出来れば良いな……。



 さて、現実と、御対面だ。

 三年以上、あっちの世界に居たんだ。

 状況整理をしよう。

 輪を乱す、馬鹿な貴族は消えた。

 各地区、手を取り合い、外国との貿易を見据え、産業革命に力を入れている。

 そして、それが軌道に乗り、農業にも、力を入れている。

 我がエネス地区も、例に漏れず、他地区と足並みを揃え、農業を、推奨すると。

 全体の流れは、こんな感じか?

 ここで、もう一押し。と、言いたいところだが、ラグーン殿の、ソドムがある。上手く、折り合いを付けなくては。

 俺は、一通りの書類に目を通し、ふぅっと息を吐く。

 これで、恐らく、問題無かろう。

 漸く、全てが、軌道に乗った。

 長い様で、あっと言う間の、出来事だった。

 エローラから始まり、多くの仲間を得て、漸く、エネス地区を。スターリーを、比類なき大国へと、押し上げる事に成功した。

 後は、後身に託し、静かに、消えゆく定めか……。

 多くを望めば、全てを失う。

 まあ、許して、貰えないのだが……。

 今日も、ヨシカがやって来て、

「ジャショウ君……。何を、悟った顔をしているのですか?言っておきますけど、引退など、許しませんよ?」

「もう、十分、スターリーは、大きくなっただろう?」

「まだまだ、先は続きます!きびきび働きなさい!」

「ふへぇ……」

 やれやれ……。

 俺の自由は、この現世では、手に入らないのだろうか……?



 馬車馬の如く働く俺……。

 エローラとアルサに加わり、ナタンもまた、俺の翼と成りて、政の一端を担う。

 流石、一国の姫君の、教育係だけの事はある。

 エネス地区の情勢を、よく理解し、上手く、立ち回ってくれるな。

 活き活きと、働いてくれる。

 しかし、まあ、他の者達も、良く働いてくれる。

 今の状況を、苦痛に思っているのは、俺だけなのだろうか?

 いや、恐らく、俺だけなのだろう……。

 新しく、我が陣営に入った若人達も、エルとメアリーが、良く面倒見てくれている。

 身分に囚われる事無く、皆笑い、変わりゆくスターリーを、牽引してくれている。

 俺が、取り残されてしまいそうだよ。

 エローラが、俺の背を叩き、

「ジャショウ君!ぼさっとしない!」

「お、おう……」

「直ぐに、ライス地区の、視察に向かいますよ!」

「あ、ああ……。農業復興の為、大地に、祝福を与えれば良いのだな?」

「それだけじゃありません!あの地区には、ガラス産業を、受け持ってもらいます!工場の視察も、行う事と成ります!」

「はぁ……。俺が、他地区の面倒まで、見なくては為らないのか?」

「当たり前でしょう!さあ、きびきび、働きましょう!」

「はぁ……」

 やれやれ……。

 地獄だな……。

 誰でも良いから、俺の代わりを、務めてくれないだろうか……?


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