何を言いたいのか、さっぱり分からん!
やれやれ……。
漸く、ルキウス達が帰った……。
年末の忙しい時に、辺境の村の視察なんて、酔狂な王様だ。
しかし、また、面倒な置き土産を……。
この世界でも、年末に、王城で、パーティーをするらしい……。
俺達の世代の勇者達は、今年、随分と活躍したから、ウーナと共に、出席しろと。
面倒この上ない。
また、ベルトラム達は、テンパっている。
じたばたしても、仕方が無かろう。
俺は、ベルトラム達を落ち着かせ、旅の支度をする。
ルキウスの好意で、アルマとナタンも、出席して良いとの事。
俺は、二人の、旅の準備もしてやる。
パーティーでの服が、二人にも必要か。
俺は、万物創造の法で、ガルガトさんの服を、創造する。
俺もついでに、向こうで着ていた服を、複製するか……。
やはり、慣れた服が、一番落ち着くな。
ナタンは、老紳士の様に。アルマは、何処から見ても、お姫様だな。
物はついでだ。ベルトラム達を呼んで、万物創造の法を使い、何着か、洋服を作ってやるか。
目を輝かせ、驚く、ベルトラム達。
気に入った服が、有ったかな?
ベルトラムの趣味は、アルブレッドに似ているな。
落ち着いた、赤と黒の服を選んだ。
ヤファとアデナは、俺オリジナル、桜をモチーフにした、白とピンクのドレスを。
嬉しそうに、ヤファは、俺に抱き着く。
「ジャショウ!ヤファ、奇麗?」
「ああ、とても綺麗だよ♪アデナも、何処かの、お姫様の様だ」
アデナもまた、俺の言葉に、頬を染める。
さて、準備が出来た。
それじゃあ、ウーナと一緒に、アルゴスに向かうかねぇ……。
新年は、ニッサ村で、迎えたいし。さっさと、終わりにするか……。
「ジャショウさん、その服、何故か、ジャショウさんに馴染んでいますね?何か、ジャショウさんの為に有る様な、昔から着ていた様な、不思議な服です」
「んあ?ははは……。昔、ある人が、俺の為に、作ってくれた服を、模倣したのさ。俺にとっては、一番、なじみ深い服さ」
「そうなのですか……。でも、随分と、上等な服。ジャショウさんの過去が、益々、分からなくなってしまいました」
アデナは、不思議そうに、俺を見る。
俺は、笑いながら、曖昧に、言葉を濁す。
俺には、この世界の、過去が無いからな。
アデナが、少し、寂しそうに笑う。
「話してくれないのですね……?ジャショウさんの過去。ジャショウさんの、見ている世界を」
「ははは……。アデナ達に、嘘はつきたくないからな。俺には、過去が無い。それに俺は、今は、ニッサ村の事しか、見ていないんだよ。何時か、話す時が来るかもしれない。それまで、待っててくれないか?」
「分かりました……。ハラ婆様にも、ジャショウさんの事は、詮索しない様に、言われております。でも、何時か!」
「そうだな……。何時か、話せる時が来れば良いな……」
さて……。
馬車が、アルゴスの門を潜ったか……。
俺の膝を、枕にしていた、ヤファとアルマが、目を覚ます。
さてと、いよいよ……。
面倒な、パーティーとやらに、出席しようか……。
「ジャショウ君、三日ぶり♪今回のパーティーには、シャミラちゃんも来るけど、結婚なんて、しないでおくれよ?」
「はあ?私は、誰とも、結婚しませんが?」
「あはは!けど、シャミラちゃんから、もう、百通以上、ジャショウ君と、結婚したいと、手紙が来ているのだ。心配だってするよ」
「はあ……?」
まだ、子供だが。シャミラも、酔狂な子だなぁ。
俺と、結婚したいとか。
無いわぁ……。
心なしか、ルキウスが、やつれている。
盛大にため息をつき、
「はぁ……。ジャショウ君には、もっと、自覚を持って欲しいよ」
「何のですか?」
「いや、こっちの話だ。まあ、パーティーを、楽しんでくれ」
「「「はっ!」」」
ルキウスの言う事が、何一つ分からん。
まあ、美味い飯を食って、適当に、過ごすとしようか……。




