何度も言うが、俺は、神の子じゃねえ!(嘘)
年末の、糞忙しい時に、来てしまったよ。
国王陛下……。
本当、勘弁してくれぇ……。
ルキウス達は、目を輝かせ、新ニッサの街を、見まわし、
「こ、これを、ジャショウ君が、創ってしまったと言うのかい?」
「は、はい!国王陛下!ジャショウさんは、まるで、神が、天地を創造した様に、右手を振るい、わずか数時間で、これだけの物を、創って下さりました!ジャショウさんは、間違い無く、神の子です!」
ウーナ……。
余計な事を、言うんじゃねえ……。
ウーナの言葉に、ルキウスは、可笑しそうに笑い、
「神の子かぁ……。確かに、こんな事が出来て、私達と同じ人間だと言われても、困ってしまうよ」
「い、いや、俺は、村人Aですから。勇者の次は、神の子なんて、面倒な事を、言わないで下さい」
「あははは!ジャショウ君は、相変わらず、もてはやされる事を、嫌うよねぇ。まだ、隠し事をしているんじゃ無いのかい?」
「隠し事って……。私は別に、普通の事を、やっているつもりなんですが……」
「あははは!君の普通は、普通と呼べないよ!これなら、ジャショウ君に頼んで、私の別荘を、ニッサの街に、創ってもらおうかな?」
「はあ?」
「いや、本当に!ジャショウ君が、どんな具合に、この城壁を創ったのか、気に成るしね♪場所は、そうだなぁ……。ウーナ君の屋敷の横に、パパっと、創ってくれないかな?ウーナ君も、別に良いよね?」
「み、御心のままに!」
はぁ……。
この国王、本気で言っているのか?
実に、面倒臭い……。
俺は、ウンザリした顔で、
「別荘の大きさは、ウーナ様の屋敷より、少し大きい物で、大丈夫ですか?」
「うん!十分だよ♪」
「何か、他にご要望は?」
「噴水と庭も、創ってくれると、嬉しいかな?」
「畏まりました……」
俺の中から、影が、召喚される。
数百体の影が、凄い勢いで、材料を用意し始める。
驚く、ルキウス達。
「ジャ、ジャショウ君、これは?」
「はあ、俺の分身です。今、材料を、用意しますので、少し待って下さいね」
もう、そろそろ、力を隠すのも、面倒臭くなってきた。
影達は、材料を加工せず、そのまま、建設予定地まで、運んでくる。
俺は、気だるげに、
「少し、離れて下さい。今、創ってしまいますから……」
「えっ?これで、どうやって?」
ルキウス達が、首を傾げているのを尻目に、
「万物光りて、在るべき姿に!あるべき場所に、収まりたまえ!!」
空中で、材料が姿を変え、金色に輝く!
そして、高速で回転すると、次々と、形を成してゆく!
わずか数十秒……!
俺達の前には、壮大な宮廷と、ご要望通り、芳醇な水が沸く、噴水を中心に、美しい庭園が、現存される。
皆、石像の様に、固まってしまった。
俺は、首を傾げ、
「ルキウス国王陛下……。気に入りませんでしたか?」
「え?あ、ああ……。ジャショウ君、君、本当に、神の子なのかい?」
「だから、ニッサ村の、村人ですが?」
「いやいやいや!もう、人の次元じゃ無いから!」
「はあ?」
俺は、首を傾げ、白を切る。
ルキウス達が、呆然としている間。ルキウスが連れて来た建築家が、別荘の強度を、確かめている。
興奮した様子で、ルキウスの下に駆け戻り、
「ほ、報告致します!所々、我々が、見た事の無い様な、建築技術が施され、強度は完璧!その上、繊細で、芸術的な建造物です!失礼ですが、ジャショウ様は、この様な技術、何処で、身に付けたのですか?」
「んあ?まあ、独学と言う事で……」
「いやいやいや!そうだとしたら、ジャショウ様は、天才ですぞ!誰かに習ったとしても、その歳で、これだけの物を創れると言うのは、やはり、天才!国王陛下!是非、この別荘を、研究させて下さい!!」
「あ、ああ……。けど、その前に、私にも、中を、見学させてもらっても良いかな?」
ルキウスは、子供の様に、目を輝かせ、中へと入ってゆく。
俺の技術の基礎は、ロブスさんのモノだ。
この世界でも、革新的なモノなんだなぁ。
やれやれ……。
驚かれない様に、この世界の、建築技術も、勉強しないとな……。




