神の子じゃねえから!
「おやまぁ!ジャショウ坊は、相変わらず、私達を、驚かすのが、好きなんだねぇ」
ニル姉さんが、感心した風に、ニコニコ笑い、俺の背中を叩く。
また、慌てるウーナ。
「こ、この方は、本当に、神の子なのですよ!」
「分かってる、分かってる♪こんな事が出来て、私等と同じ人間なんて言われても、困ってしまうさ!ジャショウ坊は、本当に、神の子だったんだねぇ」
「は、はい!だから、もう少し、敬意を以て……」
「勘弁してくれ……。俺は別に、神の子じゃねえよ……」
俺は、顔をしかめ、ニル姉とウーナに、抗議する。
大笑いする、村人達。
「ジャショウ坊は、本当に、変わっておるのう。皆が憧れる、勇者を嫌がり。神の子と言われても、顔をしかめる。驕らず、えばらず、儂等と一緒に、良く働いてくれる!」
「だから儂等は、ジャショウ坊が、大好きなんじゃ!」
「はいはい……。俺の事は、別に良いですから、早く、家を建てる場所を、決めてしまいましょう」
再び、村人達は、大笑いをする。
俺は、アルマ達と、静かに暮らしたいのだ。
ゲルメルが、にやにや笑い、俺の頭を、くしゃくしゃに撫でまわす。
また、慌てるウーナ。
やれやれ……。
さっさと話し合いを、始めてくれないかなぁ……?
「では、中央に、領主様の屋敷を建て。その向かいに、セラフィル様の神殿を建て、ハラ婆さん達には、そこで暮らしてもらう。その他、東西南北、入場門までの、広い道を創り、後は、マス目状に、道を創ってゆくと?それじゃあ、そこまでは、俺が創ってしまいますが、良いんですよね?」
「は、はい!よろしくお願いします!」
ウーナを筆頭に、村人達が、期待した目で、俺を見ている。
仕方が無いか……。
「万物光りて、在るべき姿に……!」
俺の言葉で、予め用意していた、木材、石材、数多の材料が、天上で、弧を描く。
極限まで、光り輝き……!
スタン!!
次々と、石造りの道が創られ。続いて、領主の館と、神殿が、創られてゆく。
その光景に、ウーナは勿論、村人達すら、呆然と眺めている。
俺は、涼しい顔で、最後のピースをはめ、
「はい、完成です♪後は、皆で、頑張って下さいよ?」
俺は、ふぅっと息を吐き、気伸びをする。
後は、人々の仕事だ。
俺が、全てをやってしまえば、人々の発展や、仕事を奪う事に成る。
俺は、役目を終えたと、村人達に、後を託そうとする。
しかし……。
呆然とする一同。
俺は、首を傾げ、
「どうか、しましたか?一応、地中に、下水路を創ったので、上手く、活用して下さい。って、聞いていますか?」
反応の無い村人達に、再び、俺は、首を傾げ、問いかける。
しばらくして、漸く、ニルが、声を振り絞り、
「ジャショウ坊は、本当に、神の子だったんだねぇ……」
「だから、俺は……」
また、俺を、神の子と呼ぶか……。
うんざりする俺の気など、気にもせず、村人達は、大歓声を上げる。
ベルトラム達も、興奮し、
「ジャショウ!お前、すげえよ!本当に、何でも、出来てしまうんだな!」
「ああ、これを、神の奇跡と呼ばず、何と言いましょうか?」
「ジャショウ……。やっぱり、神様なの?」
「いや、俺は、ただの、万事屋なんだが……」
やれやれ……。
人の熱気が、凄まじい。
やはり、少し、やり過ぎてしまったか?
はぁ……。
もう少し、自重しなくてはな……。




