領主
ナタンか……。
良い拾い物をした。
アルマは、当然の事。孤児院の子供達も、良く、面倒を見てくれている。
忙しい、俺に代わり、子供達に、勉強を教えてくれているらしい。
シスター・アネスが、喜んでいた。
俺は、民達も為に、今日も走り回る。
山を切り開き、野を耕す。
家を建て、鉄を打ち、民達と、笑いあいながら、ニッサ村を、大きくしてゆく。
民達は、俺の肩を叩き、
「ほんに、ジャショウ坊は、良く働くのう。村が、倍以上に広さに、成ってしまったぞ!」
「ほんに、ほんに!ベル坊達も、負けじと、よく頑張ってくれるしのう。この村は、安泰じゃわい!」
村人達に、背を叩かれて、俺は、苦笑を零す。
ベルトラム達も、よく頑張っている。
ベルトラムは、自警団に、武術を教え。ヤファは、魔法を教えている。アデナは、ハラ婆さんの下で、日夜、修行に励んでいる。
三人共、村人達に慕われ、頑張っている様だ。
村人達が言う通り、村が、大きく、広がってゆく。
もう、村などと言えぬな。立派な、街だ。
それの伴い、領主と守備兵が、ニッサ村へと、赴任する事と成った。
領主の名は、ウーナ・サカリ。
女領主にして、少々、堅物な人間だ。
優秀な人なのだが、貴族特有の、社交を嫌い、貴族社会では、孤立していた。
どこか、エローラを、思い出させる。
ルキウス達は、かなり、評価しているよだが。
そして、実際、
「ニッサ村は、今日の、人口増加と、村の発展の鑑みるに、最早、村とは呼べず、街と言っても良いでしょう。今後、ザンギバールとの、貿易の要所と成りうる場所に在り、それを、無視する事は出来ません!歪に広がった、この街を!今一度、見直し、整備してゆきます。また、壁を創る事で、防備を強化し、対外的にも、一つの街だと、宣言するのです!」
その言葉に、私欲は無い。
しかし、まだまだ、若いな……。
それだけ、大きな改革を行えば、民達から、反発されるだろう。
今まで、国の力を借りず、ここまで、大きくしてきたのだ。折角建てた家を壊し、田畑を潰す。
案の定、誰も、納得せず、言う事を聞かない。
着任早々、ウーナの改革は、暗礁に乗り上げる。
やれやれ……。
先ずは、民達の目線で、共に働き、信頼を勝ち得なくては、成らないのだがな。
しばらく、混乱が、続きそうだ……。




