偽りの代償
アルゴス、王城、謁見の間……。
俺は、お得意の、空間転移で、ナタンとアルマを連れて、ルキウスと、謁見をしている。
ナタンは、顔を真っ赤に染めて、般若の形相で、ハキムの悪行を、洗いざらい、ルキウスに訴える。
ルキウスは、黙ってそれを聞き、ふぅっと息を吐く。
ルキウスも、般若の形相に変わり、
「まるで、毒だな……。父を死に追いやり、妹も、道具としてしか考えていない。でも、安心すると言い!アルマちゃんも、今は、我が国の、大切な民だ!事の真実を、大々的に、諸国に宣伝し。これ以上、アルマちゃん達の、害に成らない様に、釘を刺しておこう!」
「はっ!よろしくお願いします!場合によっては、私は、アルマの兄として、鬼に変わり、新生ウルカスムを、滅ぼす事もありましょう」
「ジャショウ君が言うと、冗談に聞こえないね」
「私は、何時でも、本気ですよ……」
俺は、微笑を湛え、静かに、気焔を立ち昇らせる……!
西の小僧が、余り、調子に乗るなよ……?
強国と成った、アルカディアのプロバガンダは、実に恐ろしい……。
たちまち、ハキムと言う男は、父殺しの簒奪者として、諸外国から、敬遠される様に成った。
アルマの方も、俺と一緒に、料理をしたり、遊んでいる姿が、記憶の魔晶石と言う、映像を撮影する魔具で、撮影され。幸せに暮らしている事を、多くの者達が、知る事と成った。
ハキムか……。
所詮、ガキの、浅知恵か……。
全ての事を、知らぬ存ぜぬで、貫き通す構えだ。
しかし、最早、誰も信じない。
特に、インスモーンのアモスは、
「あのクソガキ!!シャミラ様の前で、膝をつき、涙を流しながら、父の過ちを語っていたが、全て、まやかしであったか!!」
再び、ウルカスムは、諸外国から、断交される事と成る。
魔物の脅威も、未だ、西と東を、脅かせている。
はぁ……。
まだまだ、平和には、程遠いなぁ……。




