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天翔雲流  作者: NOISE
問われる、勇者の在り方
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妖魔より醜い人間達……。

 もう、この世界に来て、三度目の冬を迎えるか……。

 俺は、ニッサ村で、子供達の面倒を見ながら、お餅を焼く。

 アミルやリアノンは、膨らむお餅に、興味津々だ。

「ジャショウ!ぷくぅって、膨らんだ♪」

「もう、食べられる?」

「ああ、今、砂糖醤油を、用意したから、皆で食べよう♪」

 子供達が、大喜びで、飛び跳ねる。

 俺も既に、十四歳を超えたか。

 何時までも、孤児院の、厄介に成れないな。

 しかし、子供達の、面倒も、見続けたいものだ。

 そんな事を、思いながら、焼き立ての餅を、砂糖醤油に浸す。

「熱いから、気を付けて食べるんだぞ?」

 子供達は、大喜びで、餅をほおばる。

 アミルには、俺が、少しずつ、食べさせてやるか。

 育ち盛りの子供達……。

 良く食べるなぁ……。

 リアノンが、俺の服を引っ張り、

「ジャショウ!リアノンにも、あ~んして!」

「はいはい……」

 まだまだ、リアノンも、甘えたがりの、五歳児か……。

 俺は、子供達の、口元を拭いてやりながら、ニコニコ笑う。

 束の間の平和の中で、俺は、心の底から、笑顔で笑った。

 西も東も、追い詰められて、きな臭い動きを、見せている様だが……。

 場合によっては、お仕置きも、必要に成るか……。

 残酷な話だ……。

 人を、淘汰しなくては、成らないのだからな……。

 この世界は、人が多すぎる。

 そろそろ、命の天秤が、大きく、傾くだろうなぁ……。



 やはり、非道に出たか……。

 西の国々と、東の国々が結託し、インスモーンと、聖フィナゴールを襲う!

 残念だが、チェックメイトだ。

 予め、予知していた事だが、最悪な選択を、奴等はしてしまった。

 インスモーンの援軍に、ソットとエミネのパーティーが、アルカディアの軍と共に、急行する!

 聖フィナゴールには、ザンギバールが。

 聖フィナゴールにも、アポロニアとアリエルが居る。

 しばらくは、問題無いだろう。

 俺は再び、鬼神と変わる!!

 先ずは、インスモーンに走り、西の連合を、徹底的に潰す!!

 一切の、容赦はしない!

 俺は、ベルトラム達と共に、戦場で、暴れ回る。

 兵達をなぶり殺し、将達の首が、天高く舞う!

 そのまま、西の国々を占拠し、東に、転進する。

 アースガルドは、俺達の軍を、無言で通し、東の国々は、混乱の中で、多くの命を失う。

 東の地も、多くの血が流れ、聖フィナゴールの、領土へと変わる。

 それでも、生かさず殺さず……。

 妖魔達の、防波堤に成ってもらう為に、頃合いを見て、停戦する事と成った。

 これにより、南部は、世界の半分を、領土とし。アルカディアを始めとする、四国で、領土の再分配をする事が、決まった。

 聖フィナゴールは、東部の一部を、得る代わりに、ザンギバールに、元の領土の、一部を渡す。

 インスモーンも、西部を得た事で、元の領土の一部を、アルカディアに渡す。

 各国、遺恨無く、領地の分配を済ませ、西部と東部に、圧力をかける。

 西部と東部は、退路を失い、困窮する。

 自分達の暴挙を棚に上げ、領土の返還を求めるが、後の祭りだ。

 南部連盟は、強気な態度で、東部と西部の使者を、追い払う。

 これにより、東部と西部は、北部同様、地獄と化した。

 守る兵も、多く死に。指揮する将も、悉く死んだ。

 成すがまま、妖魔達に、蹂躙される。

 また、多くの命が散ったか……。

 そうなれば、瘴気が集まり、また、妖魔達が、活発に動き始める。

 学習能力の、無い連中だ。

 東部は、聖フィナゴールに、完全降伏。

 西部は、インスモーンに、完全降伏。

 最早、恥も外聞も無い。

 南部に、必死に、助けを求める。

 自分達の所業を棚に上げ、今は、人間同士が、争う時では無く、助け合う時だと主張する。

 不愉快ではあるが、ここで、西部と東部が、完全に、瘴気に侵されれば、再び、南部にも、戦火が飛び火する。

 中立を保っていた、アースガルドが、シセル王女を中心に、人類存続を賭けて、国家会議を、開催する事と成った。

 妖魔よりも、信じ会えない、人間同士の、醜い、話し合い……。

 言葉が、人を、殺す事に、成るかもしれぬな……。


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