一輪の華……。
「ジャショウ様……。先ほどは、大変失礼しました……」
「ん?これは……。シセル様。私こそ、大変失礼しました。しかし、分かって下さい。私は、勇者などと呼ばれていますが、ただの人間なのです。今はただ、守るべきモノを、必死に、守りたいと思っているのです」
俺の言葉に、シセルは、唇を噛み締め、静かに頷く。
必死に、納得し様としているのだろう。
俺も、儚く笑い、
「それでも、俺の力を、必要とするのであれば、アルカディアの、ルキウス国王陛下に、相談して下さい。私は、アルカディアの、勇者ですから。これは、人が作った理です。他国の勇者の引き抜きは、固く禁じられています」
「分かっております……。私は、急ぎ過ぎてしまったのですね……?ジャショウ様の立場も考えず、失礼な事を言い、大変、申し訳ありませんでした……」
「別に、俺は……。勇者と言う地位や、あなた達の評価に、興味がありませんから。私は、民達と肩を並べ、野を耕す方が、性に合っています」
「ふふふ……。最も、勇者に近い貴方が、最も、私達と遠い存在で……。アルカディアの勇者は、心まで強い。他国の勇者では、敵わぬ訳です」
「まあ、場数が、違いますから……。他国が、勇者達を飼い殺し、牙を奪って来た、証拠でしょう」
俺は、それだけ言うと、優雅に頭を下げ、
「それでは、失礼致します。家の、過保護な保護者達が、気を揉んでいる様なので」
ソルトとメイニルが、少し離れた所で、うろうろとしている。
それを見て、シセルは、クスクス笑う。
俺は、肩をすくめ、ため息をつく。
やれやれ……。
家も、過保護なんだよなぁ……。
戻る俺の下に、メイニルが駆け寄り、
「ジャショウ君は、こっちで、大人しくしていなさい!」
「はいはい……」
シセルにアースガルド……。
キンブリアより、北の情勢も、少し、目を光らせておく必要があるか……。
やはりと言うか、漸くと言うか……。
勇者の真理を持たない俺を、勇者とした事が、諸外国から、問題視とまでは言わないが、アルカディアは、異議を申し立てられた。
アルカディアは、一般人を、勇者にし、ありもしない力で、水増ししていると……。
まあ、確かに、その通りだ。
しかし、ルキウス達は、余裕の構えで、引き続き、俺を、勇者として扱う。その代わり、外交カードとして、俺を使わない。そう宣言した。まあ、一部の国を除いてだが……。
インスモーンとザンギバール、聖フィナゴールは、俺を勇者と認める事で、援軍として、俺を求める事が、許される事と成った。
まあ、簡単に言えば、俺は、インスモーンなど、一部を除いて、他国の援軍に、駆り出される事は、無くなったと言う事だ。
勿論、ルキウスは、抜かりの無い男だ。
俺に、一代限りの、爵位を与え。他国の引き抜きも、牽制した。
これに、キンブリアは慌て、遅れながらも、俺が勇者であると、宣言する。
そして、現在……。
「やはり、キンブリアの魔巣も、破壊する必要があるか……」
俺は、メイニルと共に、キンブリアの援軍に……。
魔巣は、落ち着いているが、多くが死に、瘴気の巣が、多く存在する。
俺は、それらを浄化し、キンブリアを、元の国へと戻す為、戦場で、妖魔達を圧倒する。
これにより、魔巣の瘴気も、減少し、
「どうやら、現れた様だな……!」
「GAAAAAAA!!」
魔王降臨!!
俺は、アルカディアと、キンブリアの兵達に見守られ、空を駆ける!!
魔王の放った、瘴気を討ち払い、
「はあっ!!」
手刀が、魔王の心の蔵を貫き、血風が吹き上がる!!
俺は、そのまま、魔王の首を刎ね、
「メイニル!軍を動かせ!残りの妖魔を、駆逐するぞ!」
「はっ!」
俺は、魔巣の瘴気を、ソールイーターで、一気に吸収する!
魔巣が崩壊し、俺は、何事も無かった様に、
「キンブリアの民達よ!今日、この日を以て、魔巣の脅威は、キンブリアから去った!!再び、立ち上がれ!キンブリアの民達よ!人の心を思い出し、他者を愛し、新生キンブリアを、再興するのだ!!」
「「「おおっ!!」」」
これで、キンブリアも、生まれ変わる。
金で、命を買う国は、もう、この世界には、存在しない!
俺は再び、少女に、一輪の華を、手渡される。
さて、これで、南部全域の、魔巣は、全て、排除された。
これで、世界の情勢も、大きく変わるだろうな……。




