暴挙と愚策
流石に、アーロンも、今回は、ただでは済まなかった。
他国の要人、殺害未遂。
謹慎どころの、話では無い!
すぐさま、鎖に繋がれ、牢獄へと、投げ込まれてしまった。
国王リシャードの怒りは、尋常では無く、このままでは、アーロンは、聖フィナゴールの、害悪に成ると、即刻処刑を、言い渡す。
家臣達は驚き、今、貴重な勇者を失う事は、国の損失に成ると、必死に宥める。
ここで生かして、リシャードの言う通り、国の害悪に成らなければ良いが……。
取り敢えず、勇者候補生へと降格。
一か月、牢屋で頭を冷やし。その後、一兵卒として、軍で、その性根を、鍛え直す。
はぁ……。
本当に、大丈夫だろうか?
家臣達の考えでは、ここで、アーロンを切る事で、同等であった、アルカディアとの、勇者の数が、劣ってしまう事を、危惧したのだろう。
相変わらず、目先の数値で、盲目に成り下がる、哀れな凡夫達だ。
最早、他国は、アーロンと言う外交カードに、価値を付けないだろう。
それ処か、要人殺害未遂を、勇者であると言うだけで、許してしまうとは……。
この後、聖フィナゴールは、案の定、他国に、距離を取られる様に成ってしまう。
家臣達は、大慌てで、この事件を、揉み消そうと必死に成ったが、後の祭りだ。
事の事実は、大袈裟にねじ曲がり、城内から国内に。国内から国外に。瞬く間に、広がってしまう。
最早、火消しは、多少の水では、どうする事の出来ない、状況と成った。
結局、俺達も、メッセイ観光どころでは、無くなってしまったな。
家臣達は、この事件は、俺にも、責任の一端があると、発表するが、これには、リシャードとソルトが激怒。
民達もまた、その様な妄言を、信じる者は居ない。
逆に、真実を知ろうとする民達が、俺達と共に戦った、騎士達や兵達に、真実を追求する。
騎士達や兵達もまた、俺に命を救われ、今回の一件で、激怒していた。
洗いざらし、全てをぶちまける。
また、それが、誇張されて、話が広がる。
家臣達の行動一つ一つが、全て、裏目に出てしまったのだ。
ソルトもまた、怒りに怒り、結局、少し早いが、聖フィナゴールを、去る事と成った。
やれやれ……。
リシャードも、大変だなぁ……。
折角、アルカディアと、友好な関係を、築き始めていたのに……。
アーロンの愚行と、家臣達の愚策で、全て滅茶苦茶だ。
どう、落とし前を、付けるのかねぇ……?




