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天翔雲流  作者: NOISE
魔王降臨
166/1865

攻勢……!

 遠方に、砂塵が見える……。

 俺は、リアカーを止め、目を見開き、前方を睨む。

「おいおい……。数百かと思ったら、ゆうに、千を超えているじゃないか……」

 ゴーレムの大群……。

 遠目で見ても、その巨体は、三mを超えている……。

 それが、千……。

 所々には、十m級も……。

 その侵攻を、ユーロンの騎士に率いられた兵が、必死に防いでいる。

 しかし、変だ……。

 ゴーレムの動きが鈍い。

 こんな物なのだろうか?

 ゴーレムは、攻撃をしていると言うより、ただ、真っ直ぐと、前進しているだけ……。

「きっと、ユーロンの救世主様が、抑えていてくれているんです……」

 エルが、ふらふらと立ち上がり、俺の疑問に答える様に呟く。

「救世主様が?」

「はい……。ゴーレム達からの攻撃は少なく、ただ、街へと帰ろうとするように、ゆっくりと前進するんです……。救世主様は、瘴気の取り込まれても尚、必死にあらがっているんだと思います……」

「そうか……」

 黒玉も、そうだったな……。

 森の中、ただ一人……。

 俺は今一度、前方を睨む。

「サクヤ、リアカーを頼めるか?騎士達と合流し、シャル姉とサクヤは、怪我人の手当てだ!救世主様の、手を汚させるな!」

「分かったんよ!」

「任せて下さい!」

「エルとジャンヌは、ロンベル卿に報告!攻勢に出ると!」

「は、はい!」

「ジャショウは、どうされるのですか?」

 首を傾げるジャンヌを見て、俺は笑う。

 そして、

「ジャ、ジャショウ……。空を!」

 口を開けて、驚くジャンヌ。

 俺は、天高く舞い上がっていた。

 前にも言っただろう?

 空すら支配できるって……。

 右手を、戦場へと向ける。

「放気……!」

 光が、戦場を包み込む!

 千体以上居たゴーレムが、一瞬で、土塊に変わる……。

 残るは、前線のゴーレム……。

 数的には、二百と言った処か……。

 ユーロンの兵を、巻き添えにする訳にはいかないしな……。

 ここからは、肉弾戦だ!

「俺は後ろに回り、挟撃する!」

 下を見る。

 ジャンヌが、目を輝かせ、

「ジャショウ!私も後で、空を飛んでみたいです!」

 ブレない奴だ……。

 俺は苦笑し、空を駆ける。

 兵達の攻撃で、ゴーレムは破損するも、すぐに元に戻っている……。

 俺の攻撃で崩れたゴーレムは……。

 復活する兆しが無い!

 完全に、破壊する必要があるのか?それとも……。

 先ずは、優勢な右翼と合流する!

 俺は、一気に降下し、ゴーレムの背後を取る。

 ゴーレムは、戦局も、俺の存在も完全に無視して、前進している。

 先ずは……。

「はっ!」

 近くの、ゴーレムの腕を砕く!

 予想通り、腕は回復し、ゆっくりと俺の方を向く……。

 無機質な土塊ではあるが、何処かに弱点がある筈……。

 心眼を通して、観察する。

 錬気の流れも、魔力の流れも無い、完全な、土塊か……?

 いや……。

 左胸に、錬気の珠……。いや、師匠の奥義と一緒だ!

 錬気に、魔力を覆った核!

 これが、ゴーレムの心臓!

 そうと分かれば、簡単だ!

 俺は、ゴーレムの左胸を的確に、打ち砕いてゆく……。

 打ち砕かれたゴーレムは、その機能を止め、崩れ去った。

 俺は、流れる様に、ゴーレムの間を駆け抜ける!

 ゴーレムは崩れ去り、ユーロンの騎士達と合流……。そこには、

「ジャショウ!」

 アルフが先陣を切り、奮戦していた。

 手にはクレイモアを持ち、ゴーレムの、石の体を粉砕している。

 しかし、

「ジャショウ!こいつら、どうやって倒してるんだ!?」

「左胸だ!そこに核がある!」

 俺の言葉に、アルフは、にやりと笑う。

「種明かしがされちまえば簡単だ!行くぜ!」

 アルフが、クレイモアを掲げ、斬りかかる。

 一閃!

 ゴーレムが、土塊に変わる……。

「おい!野郎ども!三人一組、隊になって戦え!二人は腕を!残りの一人で、左胸を狙え!」

 アルフの号令に、兵達が動く。

 兵の多くは、ハルバード。もしくは、バトルアックスで戦っている。

 ゴーレム対策だろう。打撃力の強い武器だ。

 これなら、一般の兵でも対応が効く。

 俺とアルフは、顔を見合わせて、にやりと笑う。

「援軍は、期待していなかったんだがな……。ジャショウ!次は、どうする?」

「中央には、黒玉が居るんだろう?良く抑えている。俺は、左翼に周る!」

 右翼は、完全に、掌握した……。

 アルフは良く攻め、包囲網を築いている。

 もう、戦局は決した……。

 ゴーレム達が奏でる地響きも、将兵達の叫び声も無い……。

 砂塵の納まった大地に、兵達の歓声が沸き上がった。


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