口説いてるつもりは、無いのだが……。
訓練が終了し、俺達は、久々に、三人そろって、反省会をする。
メイドが慌て、
「皆様!お風呂の準備と、夕食の準備が、出来ております。少し、お休みに成られて下さい」
「ん?気を使わせてしまったな。ありがとう」
俺は、必殺の、道化スマイル。
メイドは、頬を染める。
その時、エミネが、俺の後頭部を、ぶったたく。
「痛……。何だよ?いきなり……」
「あんたは、誤解されやすいんだから!無暗に、女性を、口説かない!」
「別に、お礼を言っただけだろう?口説いてなどいない!」
「だから!言っているでしょう?勘違いされやすいのよ!あんたは!」
メイドが、クスクス笑う。
俺は、おどけて見せて、
「これでは、アーロンの様に、恥ずかしくて、外も歩けぬか?」
ソット達は、こらえきれず、笑ってしまう。
メイドも、可笑しそうに笑い、
「申し遅れました……。今日から、皆様の、身の回りの事を任されました。ヤスミン・ネガーと申します。どうぞ、よろしくお願いいたします」
「へぇ……。この国は、勇者に、こんな可愛い、メイドが付くのか?それでは、よろしく頼む。ジャショウ・シルフィール!」
「私は、エミネ・ヤーミカ」
「僕は、ソット・ギブソン」
俺達は、ヤスミンに、自己紹介をする。
真っ赤な顔の、ヤスミン。
どうしたと言うのだ?
俺は、首を傾げ、
「済まないな……。こちらの勇者とは違い、マナーに関しては、余り、詳しくない。何か、気に障る事を、言ってしまっただろうか?」
「あっ!い、いえ!私の事を、その……。可愛いと……」
「あははは!確かに、失礼であったな!ガキが、可愛いなどと、年上を評価するのは、失礼であった!訂正させてもらう!美人のメイドに、助けてもらえて、誠に、感謝する!」
「び、美人!?」
益々、ヤスミンの顔が、真っ赤に染まる。
首を傾げる俺に、エミネが、再び、頭を叩く!
「痛……。俺の、何が、いけなかったのだろうか?」
「無自覚なところよ!ヤスミンさんも、注意して下さいね?こいつは、天然だから!」
「ジャショウさん……。流石に僕も、擁護できません!会って直ぐに、口説くなんて。ジャショウさんは、勘違いされやすいんだから、注意して下さい!」
「むぅ……。口説いたつもりは、無かったのだが……」
「「あなたの言葉は、口説き文句に、成ってしまうんです!!」」
「何かそれ、凄く、理不尽だぞ……?」
俺は、深々と、ため息をつく。
何か、ラナ姉達に、怒られている様だよ……。




