模擬戦
俺達は、闘技場へと、連れて行かれる。
訓練前に、各々の、能力を測る為の、摸擬戦だと言う事で、話がまとまった。
身分問わず、多くの者達が、勇者同士の戦いを、一目見ようを、集まっている。
これでは、俺が、危惧した事が、現実に成ってしまう。
家臣達は、馬鹿な様だ……。
国王陛下も、片手で、顔を覆い、ため息をついている。
どこから、情報が漏れたか……?
まあ、目の前に居る、勇者君達からなのだが……。
アーロンは、群衆の声援に満足し、両手を振り、
「今日、ここで!俺が!アルカディアの、偽勇者の、化けの皮を剥いでやる!!聖フィナゴールこそが、神々に愛された国だと、証明されるのだ!!」
群衆が、盛大に、声を張り上げる。
アーロンは、俺を睨み、
「よくも、国王陛下の前で、恥をかかせてくれたな!今度は、お前が、この群衆の前で、恥をかく番だ!!」
左様ですか……。
エレズも、勇者に成っていたら、こいつの様に、成っていたのかもな……。
俺は、あくびをしながら、木剣を、肩に乗せる。
ソットとエミネも、余裕の構えだ。
戦いの鐘が鳴り、火ぶたが切られる!
愚かな男だ……。
アーロンが、咆哮を上げて、俺に斬りかかる!!
「邪魔……!」
俺は、もう、お前に、興味が無いのだ。
ソットとエミネの成長を、確認したい!
俺の、神速の拳が、アーロンの顔面に、ヒットする!
「ぐひゃ!?」
加減したんだがなぁ……。
アーロンは、一直線に、壁まで吹っ飛ばされ、ノックアウト!
俺は、剣を、杖代わりにし、
「お~い、ソット、エミネ!こいつ等、弱いから、加減してやれよ?」
っと……。
言うのが遅かったか……。
ソットは、アリエルと言う少年を。
エミネは、アポロニアと言う少女を。
一刀の下に、叩き伏せていた。
静まり返る、闘技場……。
俺達は、木剣を収めると、一礼し、何事も無かったかのように、去ってゆく。
やれやれ……。
ここの国王陛下も、苦労されているなぁ……。




