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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1646/1794

敗者は……。

 アタウルフ達に、国境の警備は任せ、俺達は、一路、アルゴスへ向かう。

 見たくも無いが、エレズ達の処遇だ。

 今回の一件は、諸国に、大きな波紋を呼んだ。

 恐らく、処刑と成るだろう。

 俺達が、アルゴスに到着した時には、エレズ一家は、呆然と、処刑台に立たされていた。

 父親の首が転がり、漸く、現実を知ったエレズ達は、必死に、抵抗する!

「こんな事、許される筈が無い!!放せ!僕は、勇者だ!!こんな事、許されないぞ!!」

「不遜だ!私達を、解放しなさい!!この子は、勇者なのよ!!」

 暴れる母親が、断頭台で、跪かされる。

 死刑執行人が、無表情で、母親の首も、斬り落とす!

 般若の形相の、母親の首。

 住民達が、歓声を上げる。

 エレズは、震え上がり、

「こんなのおかしい!狂っている!!皆、落ち着いて!僕を殺しても、何にもならないよ!!」

 執行人が、エレズの肩を掴む!

 エレズは震え、喚き、

「頼む!見逃してくれ!!何でもする!何でもするからぁ!!」

 ああ、無常……。

 最後の首が、ごとりと落ちる……。

 呆気なかったな……。

 アルカディア、インスモーン、キンブリア……。

 多くの国を、巻き込んで、騒動を起こした男は、呆気なく、殺されてしまった……。

 何万もの人の、死を背負って……。

 さて、敗者は、誰であったのだろう?

 エレズ達か……?

 それとも、エレズ達を、今日まで、殺せなかった、ルキウス達か……?

 醜い幕引きに、俺は、目を背ける。

 死人に、問うた処で、答えは出ぬか……。

 俺達は、エレズに背を向け、王城へと向かった……。



「国王陛下……。多くの者が死にました……。エレズを生かした事は、失策でしたね」

「それは、どうかな?彼は、しっかりと、道化を演じてくれたよ。目障りな、キンブリアは、事実上壊滅。同盟国である、インスモーンとザンギバールは、魔巣の脅威から解放された。結果論だけど、私達の、予想通りだよ」

「はぁ……。エレズ達を、野に放ったと聞いた時は、正気かと疑いましたが……。奴等を、キンブリアに、誘導したのですね?私達が、ニッサ村に帰る時、珍しく、引き留めようとしませんでしたから、何かあると、思っていましたが……」

「あははは!彼は、ジャショウ君の力を、ベルトラム君達の力だと、勘違いしていたからね。必ず、仕掛けてくると、思っていたよ。直ぐに、エレズの後を追わせ、キンブリアには、草を潜り込ませておいた!あまりに、予想通りで、拍子抜けしたよ。ニッサ村の方は、君達さえ居れば、大丈夫だと判断した。今更、人間が、三千人集まった所で、ジャショウ君達には、敵わないからね」

「成程……。言いたい事もありますが……。ルキウス国王陛下の、知略には、恐れ入りました」

「あははは!ジャショウ君に褒められると、嬉しいものだなぁ!しかし、予想以上だよ!ジャショウ君も、キンブリアを利用し、ザンギバールの魔巣を、排除したんだから」

 やれやれ……。

 敗者は、ただ一国、キンブリアだったか……。

 人の命を、金で買う国、キンブリア……。

 多くの国から、憎まれている。

 しばらくの間、混乱が続くだろう。

 さてと……。

 エレズ一家が、死した事により、ニッサ村に、害成すモノは、全て、消えた……。

 俺もまた、しばらくの間は、見守る者として、世界の動きを、見続ける事としようか……。


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