終戦
予想通りだ……!
魔王が、ザンギバールに、現存する!
俺は、悠然と歩き、魔王と対峙する。
「よう……。腹が減っている所悪いが、死んでもらうぜ?」
魔王が、咆哮を上げる!
俺は、涼やかな顔で、それを、受け流し……!
斬!!
魔王の体が、ゆっくりと、二つに分かつ。
俺は、背を向け、
「せめて、苦しまず死ね……!」
魔巣が、光へと還る……。
何度見ても、美しい光景だ。
ベルトラム達が、残党を、駆逐してゆく。
俺の下には、メイニルが駆け寄って、
「ジャショウ様!お疲れ様です!魔王の討伐、確かに、確認しました!」
「ん。キンブリアの方は、どうなっている?」
「まるで、地獄の様ですよ。妖魔は氾濫し。国王ベキラは、多くの財宝を持ち、北に逃走!しかし、財宝を持ち出した事が、仇と成って、妖魔に、食われたとの事です!現状、国として、機能していません!」
「愚かだな……。それで、エレズは、どうなった?」
「そちらも、既に、解決済みです!この惨状に、怒った民達が、エレズ一家を捕縛!ルキウス国王陛下の話では、処刑するとの事です!」
「漸くか……」
エレズの悪運も、ここで尽きたか。
キンブリアは、王が不在な上に、領土を、多く失った……。
さて、どう動く……?
数日後……。
キンブリアの将が、数百の兵を従え、
「王は死に、勇者は、アルカディアに返した!我等は、降伏する!速やかに、兵を退いてくれ!!」
占領した地も、返せと言うのか?
虫のいい話だ。
アタウルフは、声を張り上げ、
「兵なら、退いたであろう?ここより先は、ザンギバールの領地だ!貴様等こそ、さっさと立ち去れ!!」
「ここは、古くから、我等の領土であり、貴殿らは、誠に、戦争を始めると言うのか!?」
今更、何を言っているんだ?こいつ等は……。
俺は、冷笑を浮かべ、
「戦争なら、既に、始まっておろう?貴様らが、ニッサ村を襲った時、既に、戦争は、始まっていたのだよ!!」
キンブリアの将は、震え、膝をつく。
必死に、頭を下げ、
「頼む!ニッサ村を、襲った将は死んだ!王も逃亡し、無残に殺された!あの、狂った勇者も死ぬだろう!これ以上、我等に、出来る事は無い!どうか、矛を収め、我等の領土から、去ってくれ!!」
「それは、貴様等の、都合であろう?帰って、残された領土を、必死に守るのだな!」
「貴殿等は、あの地獄を、知らないのだ!最早、我等に、領土など無い!妖魔に蹂躙され、住める地など、もう、何処にも無いのだ!頼む!必ず、見返りは払う!領土を!領土を返してくれ!!」
最早、子供の、我が儘だな……。
やれやれ……。
アルカディアの方から、撤退の狼煙が上がった。
キンブリアは、生かさず殺さず……。
精々、妖魔達の、防波堤に成ってもらおうか……。




