本当の狙い
正に地獄!!
多くの将兵が死に、守る者の居なくなったキンブリアは、妖魔達に、蹂躙される事と成った……。
さて、キンブリアの王は、どう動くかな?
民達から、決死隊を募り、対応している様だが……。
人の方が、多く死んでいる……。
そして、また、瘴気が集まる。
俺は、冷たい目で、その惨状を見ながら、
「カリス様、アタウルフ様……。お気づきでしょうか?この惨状に、瘴気が、呼び寄せられています。ザンギバールの魔巣も、これで、落ち着く事に成るでしょう。インスモーンの前例を考え、魔巣を、警戒して下さい!恐らく、魔王が、瘴気を求め、ザンギバールでも、現存する恐れがあります。その時が、チャンスです!魔王を倒し、ザンギバールを、魔巣の脅威から、解放しましょう」
「おお!ジャショウ殿!あなたの目論見は、それでしたか!至急、兵達に、警戒させます!魔王討伐は、ジャショウ殿達に、お任せしても?」
「そのつもりです……。ただし、この事は、ルキウス様にも伝え、了承を得て下さい!今、勇者の在り方が、全世界で、再び、問われています。他国の勇者を、勝手に使ったとあれば、ザンギバールも、いらぬ風評を、受ける事と成ります。我ら三国は、キンブリアの失策を教訓に、更なる、固い同盟を、結びましょう」
「ふふふ……。ジャショウ様が、感情的に成られていると知らされ。お止めせねばと、参りましたが……。ジャショウ様は、やはり、私達の考えの、先の先を、お考えに成られていたのですね」
「まあ……。エレズの、左腕が、斬りおとされた時、既に、怒りは、収まっていましたよ……。残酷ですが、ザンギバールの為に、キンブリアは、生贄に成ってもらおうと、考えたのです。我ならが、非情な策です」
俺は一人、自嘲する……。
我ながら、恐ろしい策だ。
キンブリアを、生贄にし。ザンギバールに、魔王を召喚する。
誠、非情だ……。
カリスの手が、そっと、俺の肩に乗る。
「ジャショウ様……。余り、ご自分を、責めないで下さい……。今回の咎は、キンブリアに在ります。ジャショウ様の、罪ではありません」
「そうですぞ!金に物を言わせ、我が国の民も、多く、奴隷にされた!その者達を、救う事が出来ただけでも、ジャショウ殿に、感謝せねば!」
俺は、儚く笑い、カリスの手を、力強く握る。
さあ、ザンギバールを開放し、俺の役目を、終わらすとしようか……。




