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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1639/1791

先勝会

 馬車に揺られて二日……。

 インスモーンの首都、ラヴェンナに到着する。

 ソルトと共に、メイニルも、俺達の、お目付け役だ。

 特に、メイニルは、俺の側から、離れようとしない。

 王城に入り、謁見の間に通される。

「勇者ジャショウに、その仲間達よ。此度の活躍、我等は救われ、心より、御礼申し上げる。王女シャミラ様、この者達に、労いのお言葉を」

 家臣の言葉に、シャミラは、満面の笑みで頷く。

 俺達の方を見て、

「勇者ジャショウ達よ!戦場に立ち、魔王を討ち払い、良く!我が国を、救ってくれた!誠に、感謝します!ささやかであるが、晩餐の準備をしております。今日は、どうか、楽しんで行って下さい♪」

「「「はっ!」」」

 俺達は、深々と、頭を下げる。

 シャミラは、ニコニコ笑い、

「のう、ジャショウ!わらわは、ちゃんと、王女らしいか?」

「ええ、とても♪ですが……。謁見は、終わっておりません。良い子で、玉座に座っていて下さい」

「うむ♪」

 家臣達が、クスクス笑う。

 それでも、何とか、謁見が終了し、俺達は、応接室に通される。

 ふかふかのソファーに、腰を預け、

「ベルトラム達、緊張するなとは、言わないが……。別に、緊張する様な、パーティーでも無かろう?美味い物を食って、話しかけてきた人に、対応すれば良い。それでも、心配だと言うなら、俺かソルト様の側で、食事をすれば良いさ。まあ、どうにかなる」

「相変わらず、ジャショウは、肝が据わっているなぁ。他国の、王族主催の晩餐で、なんで、普通にしていられるんだよ?」

「ははは!何も知らないのだ!今更、じたばたしても、仕方が無いだろう?」

「ま、まあ、それもそうか……」

 さて、ベルトラム達の緊張も、少しは、和らいだだろうか?

 メイドが、俺達を、呼びに来たようだ。

 まあ、のんびり、晩餐を、楽しむとしようかねぇ……。



 戦勝会が始まる……。

 しかし、おっかしいなぁ?

 若い女性が、俺を、チラチラ見やがる。

 俺の服装が、この場に、合わないと言うのか?

 黒ずくめの服装……。

 辛気臭いとでも、言うのだろうか?

 俺が、地球に居た頃は、白が、喪服の色だったんだが……。

 黒って、結構、高貴な色なんだがなぁ。

 俺が、首を傾げ、女性達に、目線を送ると、直ぐに、顔を伏せてしまう。

 訝しげに思う俺に、メイニルが気付き、

「ジャショウさん!あまり、キョロキョロしないで下さい!勘違いされますよ?」

「勘違い……?」

 何を、勘違いされると言うのだ?

 益々俺は、分らなくなり、首を傾げる。

 メイニルは、ため息をつき、

「そう言う、鈍感なところが、女性達を、翻弄させるのです!良いから、私の横で、じっとしていて下さい!」

「お、おう。分かった……。なあ、メイニル……。俺の服装が、変なんだろうか?アルゴスに戻ったら、一緒に、こう言う場所で着る服を、選んでくれないか?」

 メイニルは、大きな瞳を、更に大きく開け、真っ赤な顔で、

「そう言う、天然なところも、ジャショウさんは、直すべきです!!」

 何故、怒られる……?

 俺は、理解できないまま、首を傾げる。

 女と言うのは、良く分からん。

 ベルトラムが、クククと笑う。

 俺の頭に、手を乗せて、

「エレズの奴は、聡いが、馬鹿な奴だったが。ジャショウは、聡いが、鈍感な奴だな!あれだけ、周りの人の心を、気遣えるのに。自分に対する、人の気持ちが、良く分からないのか?自分が、凄い人間だと言う自覚が、無さ過ぎるんだよ!もっと、自信を持てよ♪」

「お、おう……。褒められているのか、良く分からないが、忠告、感謝する」

「まったく……。褒められているのに、顔に、理解できないと、出ているぞ?何度も言うが、もっと、自信を持て!」

 ヤファとアデナが、クスクス笑う。

 ヤファは、俺の服を掴み、

「ジャショウは、他の女性を、見ちゃダメ……!私達と、一緒に居れば良い……」

「ん?そうか、分かった」

 ヤファに言葉に、俺は、素直に頷く。

 ヤファも、満面の笑みで頷く。

 アデナも、ニコニコ笑い、

「そうですね。ジャショウさんは、周りの女性を気にせず、私達と、一緒に居れば良いんです」

「ん?そうか?そうだな。分かった……」

 何が何だか、さっぱり分からん……。

 まあ、良いか……。

 取り敢えず、俺は、このご馳走を、食べつくしてやろうか……。


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