新年を迎える
もう直ぐ、年が明けるな……。
孤児院では、幼い、リアノンとアミルは、眠ってしまったが。残りの子達は、起きて、年を明けるのだと、頑張っている。
八歳に成った、シャフィカは、眠気眼を擦り、俺に、寄りかかっている。
「ジャショウ……。私が、眠りそうになったら、起こして……」
「はいはい……。後三十分で、年が明けるよ。ここまで頑張ったんだから、シャフィカちゃんも、起きて、年を明けようか」
「うん……」
俺は、シャフィカが眠らない様に、アルゴスでの、冒険の話をし、笑わせてあげる。
そうこうしている内に……!
バァン!
バァン!
外では、花火が、打ち上げられていた。
年が明けた様だ。
子供達は、孤児院の扉を開け、興奮した様子で、花火を見上げる。
俺も、シャフィカと手を繋ぎ、外へと出る。
「うわぁ♪」
色とりどりの花火に、シャフィカも、大喜び。
花火を指さし、にっこり笑う。
「ジャショウ!あけましておめでとう♪」
「はい♪おめでとう♪」
俺とシャフィカは、顔を見合わせ、にっこり笑う。
そんな中……。
「ううぅ……。ジャショウ、ジャショウ!」
「ジャショウ、どこ?」
リアノンとアミルが、起きてしまった様だ。
俺は、二人の下へ。
「二人とも、あけましておめでとう♪今、花火が、打ち上げられているから、一緒に見ようか?」
「「うん♪」」
俺は、二人を、抱き上げる。
アミルは必死に、空に咲く華を掴もうと、手を伸ばす。
可愛い子達だ……。
年長のゲメルスが、興奮しながら、
「ハラ婆ちゃんの所に、お参りに行こうぜ!」
ベルキンもまた、シャフィカと手を繋ぎ、
「そうね♪皆で、お婆ちゃんに、挨拶をしましょう♪」
俺達六人は、シスター・アネスに、了承を得て、賑やかな、夜の村を、練り歩く。
子供達は、興奮しながら、
「ジャショウ!あれ食べたい!」
「俺は、これが食べたい!」
「ははは!先ずは、ハラ婆さんに、挨拶だ。それが済んだら、屋台を、見て回ろうか?」
「「「うん♪」」」
俺は、子供達と共に、道行く人々と、挨拶を交わし、ハラ婆さんの所へ。
子供達は、元気よく、
「「「お婆ちゃん!あけましておめでとう♪」」」
「おやおや、おめでとう。皆、来てくれたんだねぇ」
ハラ婆さんは、一人一人の頭を撫で、祝福してくれる。
そして、俺の頭も撫で、
「ジャショウ様。今年も、大変な年に成るでしょうが、どうか、よろしくお願いします」
「ああ、皆で、頑張りましょう!」
俺の答えに、ハラ婆さんは、ニコニコ笑う。
さて、子供達に、お礼を言わせ、屋台を回って、帰るとしようか……。




