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天翔雲流  作者: NOISE
混沌の中で咲く、一輪の花
1630/1792

壊れた人形……。

 エレズの母が、ニッサ村から追い出され。父親もまた、荷物をまとめて、村を去って行った……。

 後味の悪い、醜い結末……。

 村人達は、顔を見合わせ、ため息をつく。

「おら達にも、責任がある……。エレズ坊を、甘やかせ過ぎちまった。あの母親の、言いなりに成り過ぎちまった」

「はぁ……。女の執念は、恐ろしいぞ。特に、あの女は、特別じゃ」

「もう、村には、帰って来て欲しく無いのう」

「馬鹿言え!帰って来ても、追い払うだけじゃ!」

 村人達は、一抹の不安を覚えながらも、各々の仕事に戻る。

 やれやれ……。

 多分、ルキウス達が、苦労するのだろうなぁ……。



 あれから、一か月後……。

 予想通り、王都アルゴスで、エレズの母が、大騒動を、起こした様だ。

 鬼母の一念、岩をも砕く。

 比較的、安全と成った、アルカディアであるが。王都までの旅は、一般人にとって、決死の長旅だ。

 エレズの両親は、言葉通り、死ぬ思いをしながら、アルゴスまで、旅をしたのだ。

 そして、街中で、狂った様に、エレズこそが、誠の勇者だ!解放せよと、騒いだそうだ。

 勿論、誰も、この狂人の言う事を、真に受ける者は居ない。

 髪を振り乱し、街中を彷徨い、喚く女に、人々は、恐怖を覚えた。

 国王陛下は、エレズを、殺しておくべきだったと、囁く者も居る。

 エレズの母は、そう言った事を、囁く者を見つけては、狂った様に襲い掛かり、

「不遜だ!神への冒涜だ!あの子は、神に選ばれたのだ!!敬い!奉れ!!」

 エレズ同様、エレズの母も、完全に、壊れていた……。

 殴られようと、蹴られようと、狂った様に、襲い掛かる。

 まるで、妖魔の様だと、恐れられている。

 エレズは、妖魔の子であったか?

 人々は、そう言い、エレズの母を見かけると、子供を抱いて、逃げてゆく。

 それから数日後……。

 エレズの母は、衛兵に捕まり、投獄された。

 それでも、エレズの母は、叫び、叫び!叫び続けた!

 その一念が、実を結び、ルキウスと、面会する事と成ったそうだ。

 鎖に縛られ、騎士達に、取り押さえられ、その状態で、ルキウスと、対面した……。

 ルキウスは、笑ったそうだ。

 あの男にして、この母親ありか、と……。

 結局、この狂人達に、振り回され、ルキウス達は、負けてしまったのだろう。

 二度と、アルカディアに戻らないと約束させ、エレズを含む三人を、国外追放とした。

 仲間殺しのエレズ……。

 名を変え、ひっそりと暮らす事を、心から祈ろう……。


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